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- 公開。地方税法第317条の6、国税庁 No.7411・源泉徴収票のみなし提出の特例・法定調書の作成と提出の手引(令和8年分)、総務省「個人住民税」、東京都主税局・大阪市・荒川区の案内をもとに作成
給与支払報告書は、会社が従業員一人ひとりの1年分の給与を市区町村に報告する書類です。中身は源泉徴収票とほぼ同じで、出す先が税務署ではない点が違います。期限は1月31日、提出先はその年の1月1日現在の住所地の市区町村で、パートや役員も金額の下限なく全員が対象です。この報告書をもとに住民税の年額が決まり、6月から翌年5月まで毎月の給与から引かれます。副業先にも同じ義務があるため、副業の給与は本業の天引きに合算されます。
結論:給与支払報告書の基本を1枚で
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰が出すか | 1月1日現在に給与を支払い、所得税を源泉徴収する義務がある者(会社・個人事業主とも) |
| いつまでに | 1月31日まで(土日の年は翌営業日) |
| どこへ | 従業員の1月1日現在の住所がある市区町村。住所地ごとに分けて作る |
| 何を出すか | 総括表+個人別明細書(役員・パートを含む全員分)+普通徴収切替理由書 |
| 退職者は | 退職日現在の住所地へ。ただしその年の支払額が30万円以下なら提出義務はない |
| 根拠 | 地方税法第317条の6。義務違反には第317条の7の罰則がある |
出典:地方税法第317条の6・第317条の7[法令検索 地方税法]、大阪市[大阪市]、荒川区[荒川区]
大阪市は提出範囲を「給与支払額の多少にかかわらず、すべての従業員等」と明記しています[大阪市]。月数万円のアルバイトでも報告されています。
源泉徴収票との関係:同じ紙が2か所へ出ていく
「個人別明細書」は源泉徴収票と同じ内容で、国税庁が配る様式も「給与支払報告書(個人別明細書)・給与所得の源泉徴収票」という1つの複写用紙です[国税庁 法定調書の様式]。本人に渡す1枚が源泉徴収票、市区町村に出す1枚が給与支払報告書です。
| 給与支払報告書 | 給与所得の源泉徴収票 | |
|---|---|---|
| 出す先 | 従業員の住所地の市区町村 | 税務署(本人への交付は別) |
| 期限 | 1月31日 | 本人へは1月31日。中途退職者は退職後1か月以内 |
| 使われ方 | 住民税の年額を決める | 所得税の資料。本人は確定申告に使う |
| 提出範囲(令和9年1月以後) | 両方そろって同じ=中途退職者で支払額30万円以下の人を除く全員 | |
令和9年(2027年)1月から扱いが変わります。国税庁 No.7411 は、令和9年1月1日以後に提出すべき源泉徴収票は、市区町村に給与支払報告書を出せば税務署に提出したものとみなされるとしています[国税庁 No.7411]。税務署提出用を作る手間は消えますが、本人への交付義務は残ります[国税庁 みなし提出の特例]。
- 提出範囲の一本化:役員150万円超・一般500万円超の線引きが消え、給与支払報告書と同じ範囲になる[国税庁 No.7411]
- 電子提出の義務:前々年に税務署へ提出すべきだった源泉徴収票が30枚以上の会社は、電子申告システム(エルタックス)等で提出[国税庁 法定調書の手引 第2章]
様式も新しくなりました。令和8年8月に税務署提出用の法定調書の書面様式が変わり、令和8年9月24日に国税システムが更改されました。控用がなくなり、配色は原則白黒です[国税庁 国税システムの更改について]。書面で出す会社は古い用紙の使い回しに注意してください。
会社側の手順:3点セットを1月中に出す
- 個人別明細書を全員分そろえる。1人1枚を作り、1月1日現在の住所で市区町村ごとに束を分けます[地方税法317条の6第1項]。
- 総括表を市区町村ごとに1枚付ける。会社名・所在地・その市区町村に出す人数を書く表紙です。多くは前年の実績をもとに用紙が送られてきます[荒川区]。
- 普通徴収にする人がいれば切替理由書を添える。1事業所1枚で、符号を明細書の摘要欄にも書きます。荒川区は「提出がない場合は、原則どおり特別徴収となります」と明記[荒川区]。
- 4月1日現在で辞めた人がいたら4月15日までに届け出る。報告した人が給与を受けなくなった場合の届出書です[地方税法317条の6第2項]。
- 通知にしたがい6月から天引きする。市区町村は5月31日までに税額を通知し、会社は年額の12分の1を毎月徴収して翌月10日までに納めます[地方税法321条の4・321条の5]。
普通徴収の理由は市区町村が決めるので、通る市と通らない市があります。東京都は「総従業員数が2人以下」「事業専従者」を含む6区分を認めますが[東京都主税局]、大阪市は4区分でこの2つがありません[大阪市]。従業員が各地に住む会社は提出先ごとの確認が要ります。
従業員側で起きること:6月から天引きが切り替わる
従業員から見れば、この報告書は住民税の計算書のもとです。市区町村は報告書を名寄せして年額を出し、会社を特別徴収義務者に指定して通知します。総務省の説明では、特別徴収は「納税義務者以外の者(会社など)が、納税義務者から税金を徴収して、納税義務者の代わりに納める方法」です[総務省 個人住民税]。
1月に出した報告書 → 5月31日までに税額通知 → 6月の給与から翌年5月まで12回で天引き。だから6月に手取りが変わります。通知書の読み方は住民税決定通知書の見方で解説しています。
従業員の希望で普通徴収を選ぶことはできません。東京都主税局は「従業員の希望により普通徴収を選択することはできません」と書いています[東京都主税局]。両者の違いは住民税の特別徴収と普通徴収にまとめました。
副業の給与が本業に合算される5つのステップ
副業が給与(アルバイト・パート・掛け持ち勤務)の場合、次の順で本業の天引き額に反映されます。
- 副業先も提出義務がある。副業先も「1月1日現在において給与の支払をする者」なので、あなたの住所地の市区町村に提出します[地方税法317条の6第1項]。金額が少なくても対象です[大阪市]。
- 市区町村が名寄せする。本業分と副業分が合算され、住民税の年額が計算されます。
- 会社が特別徴収義務者に指定される。支払者が2以上あるときは全部か一部を指定しなければならず[地方税法321条の4第4項]、実務では「原則として、主たる給与の支払を受けている勤務先で特別徴収」します[東京都主税局]。
- 外すには副業先の手続きが要る。副業先が「他の事業所で特別徴収」として切替理由書を出さない限り、原則どおり特別徴収です[荒川区]。本人が本業に頼んでも動きません。
- 本業の給与から合算額が引かれる。本業だけでは説明がつかない住民税額が6月の通知に現れます。
「自分で納付」が使える副業
- 原稿料・配達・物販などの事業所得・雑所得
- 不動産所得など給与以外の所得
- 第二表の「自分で納付」に丸を付ければ納付書で払える
「自分で納付」が使えない副業
- 副業が給与のとき(アルバイト・パート)
- 徴収方法を選べるのは給与・公的年金等以外の所得だけ
- 大阪市は「他から支給される給与に合算して特別徴収」と明記
出典:地方税法第321条の3第2項ただし書[法令検索]、国税庁「住民税、事業税に関する事項」[国税庁]、大阪市[大阪市]
「自分で納付にすれば副業は伝わらない」は、副業が給与でない場合だけ成り立ちます。申告の流れは副業の確定申告で確認してください。
辞めた人の分:30万円以下は「出さなくてよい」が「出してほしい」
年の途中で辞めた人の分も、退職日現在の住所地に出します。ただし317条の6第3項のただし書きで、その年にその会社から受けた給与の総額が30万円以下の人は提出しなくてよいとされています[地方税法317条の6第3項]。
もっとも市区町村の姿勢は「できれば出してほしい」です。荒川区は30万円以下の退職者について「提出義務はありませんが、公平・適正な課税の観点から提出にご協力」を求めています[荒川区]。
- 30万円以下でも提出されることがある
- 出されないと市区町村は給与を把握できず、住民税の申告が必要になる場合がある
- 源泉徴収票は全員に交付される。退職者は退職の日以後1か月以内[国税庁 No.7411]
退職した年は前年分の年額が残るため、退職月によって一括徴収されることがあります。詳しくは会社を辞めた月で住民税の請求額が変わるで整理しています。
令和9年1月からはマイナポータル連携の対象になる
国税庁の特設ページは、令和9年1月1日以後(令和8年分以後)、電子申告システムで給与支払報告書を提出した場合はマイナポータル連携の対象になるとしています[国税庁 みなし提出の特例]。確定申告で給与の情報を打ち込まずに取り込める方向です。同じページには、源泉徴収票と支払報告書を同時に出せる「電子的提出の一元化機能」が令和8年9月で終了することも書かれています[国税庁]。
働く側から見れば、会社が1月に出す1枚が住民税の金額を決めます。年末調整の書類をおろそかにすると、翌年6月からの12か月に響きます。
よくある質問
給与支払報告書と源泉徴収票は何が違うのですか。
中身はほぼ同じで、出す先が違います。給与支払報告書は1月1日現在の住所地の市区町村へ、源泉徴収票は税務署へ出し、本人にも交付します。令和9年1月1日以後は、市区町村に出せば税務署に提出したものとみなされます。
アルバイトの給与が少なければ提出されませんか。
在職中の人は金額に関係なく提出されます。除外されるのは年の途中で辞めた人で、支払額が30万円以下の場合だけです。市区町村は協力を求めているので、30万円以下でも出されることがあります。
住民税を「自分で納付」にすれば、副業は本業に伝わらないのですか。
副業が給与の場合は使えません。徴収方法を選べるのは給与・公的年金等以外の所得に対する住民税だけです。副業が給与なら副業先も報告書を出し、市区町村が名寄せして本業の給与から合算して天引きします。
会社が給与支払報告書を出さないとどうなりますか。
地方税法第317条の6の義務違反で、第317条の7に罰則があります。報告がないと市区町村は住民税を計算できず、従業員が自分で住民税の申告をすることになります。
参考リンク(出典)
- 法令検索 地方税法——提出義務・期限・30万円以下の除外・特別徴収
- 国税庁 No.7411 源泉徴収票の提出範囲と提出枚数等——提出範囲の一本化とみなし提出
- 国税庁 源泉徴収票のみなし提出の特例——一元化機能の終了とマイナポータル連携
- 国税庁 法定調書の手引(令和8年分)第2章——提出期限と電子提出の義務
- 国税庁 法定調書の様式(手続案内)——個人別明細書と源泉徴収票の共通様式
- 国税庁 国税システムの更改について——令和8年9月24日の更改と様式の変更
- 国税庁 手順6 住民税、事業税に関する事項を記入する——「自分で納付」の対象範囲
- 総務省 個人住民税——特別徴収の定義
- 東京都主税局 特別徴収推進ステーション——普通徴収の6区分
- 大阪市 給与支払報告書の提出——提出範囲と切替理由4区分
- 荒川区 給与支払報告書——3点セットと30万円以下への協力依頼
※一般的な情報提供です。様式や普通徴収の可否は市区町村で異なります。個別の判断は市区町村の課税課・税務署・税理士へ。
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