この記事の更新情報
- 事業所得と雑所得の判定を令和4年10月7日の通達改正の原文で整理(所得税基本通達35-2の注=社会通念上事業と称する程度か、帳簿書類の保存がない場合は業務に係る雑所得。ただし収入金額300万円超かつ事業と認められる事実がある場合を除く)し、収入金額×帳簿の有無の判定表を追加。帳簿があっても個別判断となる2つの例外(①例年300万円以下かつ主たる収入の10%未満の僅少、②例年赤字で赤字解消の取組なし)を国税庁の趣旨説明で追記(国税庁 令和4年10月7日 法令解釈通達・同 趣旨説明PDF)。住民税の節を全面改稿——「自分で納付」を選べるのは給与・公的年金等以外の所得だけである点を地方税法321条の3第2項ただし書と国税庁「手順6」の原文で明記し、副業が給与のとき本業に合算される5ステップ(給与支払報告書の1月31日提出/名寄せ/特別徴収義務者の指定/5月31日までの通知/6月からの12分の1徴収)を地方税法317条の6・321条の3・321条の4・321条の5で追加。普通徴収へ切り替える理由の自治体差(東京都6区分 普A〜普F/大阪市4区分)の比較表と、総務省・個人住民税検討会資料の24団体の内訳(退職予定者24・従業員2人以下18・専従者19)を追記(東京都主税局、大阪市、荒川区、総務省 資料6)。無申告の節に申告・納付期限の一次情報(原則翌年3月15日・受付は2月16日から/令和8年分は2027年3月15日)を追記(国税庁 No.2020、主な国税の納期限)。FAQを1件追加(副業がアルバイトでも自分で納付を選べるか)し既存2件を修正、FAQPage構造化データと参考リンクも更新。最終更新日を2026年9月22日に変更。内部リンクを2本追加(/column/juminzei-tokubetsu-choshu-futsu-choshu/・/column/kyuyo-shiharai-hokokusho-toha/)。ja/en/zh/ko の4言語に反映。
「副業が20万円以下なら確定申告しなくていい」。これは半分正しくて半分間違いです。20万円ルールは所得税だけの特例で、住民税は1円から申告が必要。さらに「他の理由で確定申告する人」はこのルールが使えません。この記事では、20万円ルールの正確な意味、所得区分(事業所得か雑所得か)の最新の判定基準、会社にバレない住民税の扱い、無申告のリスクまで、副業ワーカーがつまずく順に整理します。
「20万円ルール」の正確な意味
給与を1か所から受けている会社員が、給与・退職以外の所得(副業など)の合計が年間20万円以下なら、所得税の確定申告は不要です[国税庁 No.1900]。ただしこれは所得税だけの取り扱いで、住民税にはこの20万円の特例がありません。副業所得が1円でもあれば、原則として市区町村への住民税の申告が必要です。
判定するのは売上ではなく所得です。副業の売上が30万円でも経費が15万円なら所得は15万円で、所得税の確定申告は不要(住民税の申告は必要)。逆に売上18万円・経費ゼロなら所得18万円です。
見落としやすい例外:確定申告を「する」人は20万円以下でも全部入れる
20万円ルールは「確定申告をしなくてよい」特例です。したがって、医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ未利用)・住宅ローン控除の初年度・2か所給与などの理由でそもそも確定申告をする人は、20万円以下の副業所得も申告に含める必要があります。「医療費控除のついでだから副業分は省略」はできません。
副業所得の「種類」を正しく分類する
ライティング・アフィリエイト・動画・スポット案件
規模が小さく帳簿管理もしていない副業。青色申告は使えず、損失を給与等と損益通算できない。
継続・反復・独立して営む規模の副業
帳簿を備え事業として営む実態がある。青色申告特別控除や損益通算が使える。
掛け持ちのアルバイト・パート
勤務先から給与として支払われるもの。2か所以上から給与があると確定申告が必要になりやすい。
所得税基本通達35-2の注は、まず事業所得かどうかを「その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうか」で判定するとしています。そのうえで「その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得に該当することに留意する」と定めました(原文)。
| 収入金額 | 記帳・帳簿書類の保存あり | 記帳・帳簿書類の保存なし |
|---|---|---|
| 300万円超 | 概ね事業所得 | 概ね業務に係る雑所得 |
| 300万円以下 | 概ね事業所得 | 業務に係る雑所得 |
出典:国税庁「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)の趣旨説明[国税庁 解説]
国税庁の解説は、帳簿書類の保存があっても次の2つの場合は事業と認められるかどうかを個別に判断するとしています。①収入金額が僅少=「例年、300万円以下で主たる収入に対する割合が10%未満」の場合(「例年」は概ね3年程度の期間)。②営利性が認められない=「例年赤字で、かつ、赤字を解消するための取組を実施していない」場合[国税庁 解説]。会社員の副業は本業の給与が主たる収入になるため、まず①の10%未満に当たらないかを確認してください。
事業所得として青色申告のメリットを受けたいなら、複式簿記での記帳と帳簿の保存が前提と考えましょう。
具体例:申告が必要かを判定する
→ 所得税の確定申告は不要。ただし住民税の申告は必要。
会社に副業がバレる仕組みと、住民税の扱い
会社に副業が伝わる主な経路は、住民税額の変化です。給与所得者の住民税は特別徴収(給与天引き)が原則で、市区町村が勤務先を特別徴収義務者に指定して年税額を通知します[地方税法321条の3・321条の4]。副業を含む所得で計算された通知額が増えるため、経理担当が気づくことがあります。制度そのものの全体像は住民税の特別徴収と普通徴収の違いで整理しています。
「自分で納付」を選べるのは給与・公的年金等以外の所得だけ
ここが最大の分かれ目です。地方税法321条の3第2項は、給与所得者の給与所得以外の所得に係る所得割額を給与分と合算して特別徴収できると定めたうえで、ただし書で「申告書に給与所得以外の所得に係る所得割額を普通徴収の方法によつて徴収されたい旨の記載があるときは、この限りでない」としています[地方税法321条の3第2項]。つまり「自分で納付」を選べる対象は、給与所得と公的年金等以外の所得に限られます。
「給与・公的年金等に係る所得以外(令和8年4月1日において65歳未満の方は給与所得以外)の所得に対する住民税については、徴収方法を選択することができます。給与から差し引くことを希望する場合には、『特別徴収』欄に〇を記入し、また、給与から差し引かないで別に窓口等に自分で納付することを希望する場合には、『自分で納付』欄に〇を記入します」[国税庁 手引き]。同じ手引きは、給与所得および65歳以上の公的年金等に係る住民税は「それぞれ給与又は公的年金等から差し引かれます」と明記しています。副業が給与なら、申告書の欄では止められないということです。
副業が給与(アルバイト)のとき、副業分が本業に合算される5ステップ
- 副業先が給与支払報告書を提出する。1月1日現在で給与を支払い所得税を源泉徴収する義務がある事業主は、1月31日までに従業員の住所地の市区町村へ給与支払報告書を提出しなければなりません[地方税法317条の6第1項]。大阪市は対象を「給与支払額の多少にかかわらず、すべての従業員等(短期雇用者、アルバイト・パート、役員等を含む)」と明記しています[大阪市]。書類の中身は給与支払報告書とは何かで解説しています。
- 市区町村が本業分と副業分を名寄せする。両方の給与支払報告書から、その人の年税額をまとめて計算します。
- 特別徴収義務者が指定される。同一の納税義務者に給与を支払う者が2以上あるときは、その全部または一部を特別徴収義務者として指定しなければならないと定められています[地方税法321条の4第4項]。実務上は「原則として、主たる給与の支払を受けている勤務先で特別徴収」です[東京都主税局]。
- 5月31日までに本業へ通知が届く。特別徴収税額の通知は、当該年度の初日の属する年の5月31日までに行われます[地方税法321条の4第2項]。
- 6月からの天引き額に副業分が乗る。特別徴収義務者は年税額の12分の1を6月から翌年5月まで毎月徴収します[地方税法321条の5第1項]。
副業分を普通徴収にできる余地があるとすれば、副業先が給与支払報告書の提出時に「他の事業所で特別徴収」を理由とする普通徴収切替理由書を出すルートだけです。荒川区は「普通徴収切替理由書(兼仕切紙)の提出がない場合は、原則どおり特別徴収となります」と明記しています[荒川区]。一方で大阪市は「他から支給される給与から市民税・府民税・森林環境税を特別徴収する場合は、次の理由(略号a〜d)に関わらず、他から支給される給与に合算して特別徴収します」としています[大阪市]。なお、就業規則で副業が禁止・許可制のことがある点も別途確認してください。
普通徴収を認める範囲は自治体ごとに違う
普通徴収に切り替えられる理由は全国一律ではありません。東京都は6区分(普A〜普F)を示していますが[東京都主税局]、大阪市は4区分だけで「これ以外の理由により普通徴収(本人納付)の対象とすることはできません」としています[大阪市]。
| 普通徴収に切り替えられる理由 | 東京都 | 大阪市 |
|---|---|---|
| 事業所の総従業員数が2人以下 | 普A | なし |
| 他の事業所で特別徴収(乙欄適用者) | 普B | あり |
| 給与が少なく税額が引けない | 普C | あり |
| 給与の支払が不定期 | 普D | あり |
| 事業専従者(個人事業主のみ対象) | 普E | なし |
| 退職者・退職予定者(5月末日まで) | 普F | あり |
総務省の個人住民税検討会の資料でも、特別徴収の一斉指定を行っている都道府県24団体の間で普通徴収を申告する際の理由が異なることが整理されています。「退職者又は退職予定者」は24団体すべてが認める一方、「従業員が2人以下」は18団体、「個人事業主の専従者となっている給与所得者」は19団体にとどまります[総務省]。同じ理由でも対応する符号(普A、a、①など)が団体ごとに違う点も明記されています。確実に分けたい場合は、お住まいの市区町村に事前に確認してください。
確定申告の要・不要まとめ
| ケース | 所得税の確定申告 | 住民税の申告 |
|---|---|---|
| 会社員・副業所得20万円以下(他に申告理由なし) | 不要 | 必要(市区町村へ) |
| 会社員・副業所得20万円以下+医療費控除等で申告する | 必要(副業も合算) | 確定申告で反映 |
| 会社員・副業所得20万円超 | 必要 | 確定申告で反映 |
| 2か所以上から給与 | 必要になりやすい | 確定申告で反映 |
| 個人事業主(金額問わず申告するのが基本) | 必要 | 確定申告で反映 |
無申告・申告漏れのリスク
「ばれないだろう」で放置すると、後から本税に加えてペナルティがかかります。所得税では無申告加算税・延滞税、住民税でも延滞金(最大年14.6%)が生じ得ます。取引先が支払調書を提出していたり、プラットフォームの支払データから把握されたりして、申告漏れが判明することは珍しくありません。期限内の正しい申告が最も低コストです。申告・納付の期限は原則としてその年の翌年3月15日で、申告の受付は翌年2月16日からです[国税庁 No.2020]。令和8年分(2026年分)の確定申告の期限は令和9年(2027年)3月15日(月)です[国税庁 納期限]。
よくある質問
副業所得が20万円以下なら本当に何もしなくていい?
いいえ。所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告は原則必要です。また医療費控除などで確定申告をするなら、その20万円以下の副業所得も申告に含めます。
フリマやポイ活の収入も対象?
生活用動産(衣類・家具など)を売った利益は原則非課税ですが、転売目的の継続的な販売や、ポイント・報酬は課税対象になり得ます。利益(所得)ベースで20万円超かどうかを確認しましょう。
事業所得と雑所得はどう違う?
令和4年10月7日の通達改正で、帳簿書類の作成・保存の有無が主な判定基準になりました。帳簿を備えて事業として継続していれば事業所得として青色申告(最大65万円控除・損益通算)が使えます。帳簿がなければ、収入金額が300万円を超え事業と認められる事実がある場合を除き、業務に係る雑所得です。帳簿があっても、例年300万円以下で主たる収入に対する割合が10%未満の場合や、例年赤字で赤字解消の取組がない場合は個別に判断されます。
副業がアルバイトでも「自分で納付」を選べる?
選べません。確定申告書第二表で選択できるのは給与所得・公的年金等以外の所得に係る住民税だけです。副業が給与なら、副業先が1月31日までに市区町村へ給与支払報告書を提出し、本業分と名寄せされて本業の給与から天引きされます。分けられる可能性があるのは、副業先が「他の事業所で特別徴収」を理由に普通徴収切替理由書を提出した場合だけです。
会社にバレずに副業の税金を納めたい。
確定申告書第二表で住民税を「自分で納付(普通徴収)」に選ぶ方法があります。ただしこの欄は給与・公的年金等以外の所得にしか使えません(地方税法321条の3第2項ただし書)。副業がアルバイト等の給与なら副業先の給与支払報告書が市区町村に届き、本業の特別徴収額に合算されます。普通徴収を認める範囲も自治体ごとに違うため、事前確認が安全です。
まとめ
参考リンク(出典)
本記事は次の公的機関の資料をもとに作成しています(中立・一次情報)。制度は改正されることがあるため、申告前に最新の内容をご確認ください。
- 国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
- 国税庁 No.1500 雑所得
- 国税庁 No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)
- 国税庁 No.2070 青色申告制度
- 総務省 個人住民税(制度の概要)
- 国税庁 No.2020 確定申告
- 国税庁 主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日
- 国税庁 手順6 住民税、事業税に関する事項を記入する
- 国税庁 令和4年10月7日 所得税基本通達の一部改正(事業所得と業務に係る雑所得の区分)
- e-Gov法令検索 地方税法(317条の6・321条の3・321条の4・321条の5)
- 東京都主税局 個人住民税の特別徴収推進ステーション
- 大阪市 給与支払報告書の提出と特別徴収
- 荒川区 給与支払報告書の提出について
- 総務省 個人住民税検討会 資料6 特別徴収の推進について
※本記事は一般的な情報提供であり、税務アドバイスではありません。所得区分の判定や個別の手続きは、税務署・お住まいの市区町村・税理士にご確認ください。
コメントみんなの意見
コメントの閲覧・投稿は会員限定です(無料・Googleアカウントでログイン)。
コメントは会員限定です。ログインすると読む・書くができます。
無料・Googleアカウントだけで登録できます
コメントを読み込んでいます…









