病気やケガ、うつ病などのメンタル不調で働けなくなったとき、会社員・公務員には「傷病手当金」という強力なセーフティネットがあります。健康保険から給与のおよそ3分の2が、通算1年6か月支給され、非課税。「休んだら収入ゼロ」ではありません。支給額の計算、待期3日のルール、退職後ももらい続けられる条件まで、休職前に知っておくべきことをまとめます。
① 支給額:直近12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3(日額)。月給30万円なら日額約6,667円=月約20万円。
② 期間:支給開始から通算1年6か月(2022年改正で「通算化」され、途中で復職した期間は数えない)[厚生労働省]。
③ 条件:業務外の病気・ケガで働けない/連続3日休んだ後の4日目から(待期3日には土日・有休も含む)/その間の給与が出ない(または手当金より少ない)。
④ うつ病・適応障害などの精神疾患も対象(実際の支給件数で最多クラス)。
⑤ 退職後も継続受給できる:退職日までに被保険者期間1年以上+退職時に受給中(または要件充足)なら、辞めても残り期間もらえる。
⑥ 非課税で確定申告も不要。収入が減った年は配偶者控除の対象になれることも。
いくらもらえる?(計算式と例)
- 月給(標準報酬月額)30万円 → 日額 約6,667円 → 月約20万円
- 月給45万円 → 日額 10,000円 → 月約30万円
- 加入12か月未満の場合は「自分の平均」か「加入保険の全員平均(協会けんぽは30万円前後)」の低い方で計算
※支給されるのは「労務不能で給与が出ない日」分。会社から一部給与が出る場合は差額支給。健保組合によっては付加給付で2/3超になることもあります。
非課税なので、この金額がほぼそのまま手取りです。ただし休職中も社会保険料(健康保険・厚生年金)と住民税の支払いは続くため、実際の可処分は「手当金 −月数万円」を見込んでおきましょう(産休・育休と違い、傷病休職には保険料免除がありません)。
もらう条件と「待期3日」のルール
- 業務外の病気・ケガが対象(業務上・通勤災害は労災保険の休業補償=給与の約8割)。
- 連続3日間仕事を休む(待期)と、4日目から支給。待期3日は土日祝・有給休暇でもカウントされるため、「金・土・日」と休めば月曜から対象になります。
- 医師の「労務不能」の意見が必要(申請書に療養担当者の証明欄あり)。うつ病・適応障害・自律神経失調症などの精神疾患も、医師が労務不能と認めれば対象です。
- 申請は「傷病手当金支給申請書」(本人記入+医師の証明+会社の証明)を保険者へ。1〜2か月ごとに区切って申請するのが実務の通例です。
退職するともらえなくなる?(継続給付の条件)
「休職期間が満了して退職……収入が途絶える」。ここで効くのが資格喪失後の継続給付です。次の両方を満たせば、退職後も通算1年6か月の残り期間を受給できます。
- 退職日までに継続して1年以上健康保険の被保険者だったこと
- 退職日の時点で傷病手当金を受けているか、受けられる状態(労務不能)であること
退職日に「最後だから」と出勤して挨拶やデスク整理をすると、その日は労務不能でなかったことになり、継続給付の権利を失う運用が原則です。退職日も療養を続けてください。また、継続給付中は「働ける状態に回復したら」その時点で終了し、失業手当(求職活動できる人向け)とは同時にもらえません。傷病手当金が終わってからハローワークで受給期間延長を解除して失業手当へ、が正しい順番です。
休職中のお金まわり(あわせて確認)
よくある質問
傷病手当金はいくらもらえますか?
直近12か月の標準報酬月額の平均÷30×2/3が日額です。月給30万円なら月約20万円、45万円なら月約30万円が目安で、非課税のためほぼそのまま手取りになります。ただし休職中も社会保険料と住民税の支払いは続きます。
うつ病でももらえますか?
もらえます。医師が労務不能と認めた業務外の傷病であれば、うつ病・適応障害などの精神疾患も対象で、実際の支給件数でも精神疾患は最多クラスです。申請書に医師の証明欄があるため、主治医に相談してください。
退職してももらい続けられますか?
退職日までに被保険者期間が継続1年以上あり、退職時に受給中(または労務不能で受けられる状態)なら、退職後も通算1年6か月の残りを受給できます。退職日に出勤すると権利を失うのが原則なので注意してください。
傷病手当金に税金はかかりますか?扶養はどうなりますか?
非課税で、所得税・住民税はかからず確定申告も不要です。税の扶養判定でも収入に含めません。ただし健康保険の被扶養者認定(130万円)では収入とみなす保険者が多いため、家族の扶養に入る場合は保険者に確認してください。
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データの出典
- 傷病手当金の支給要件・支給額(2/3)・支給期間の通算化:厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会資料「傷病手当金について」
- 申請手続き・継続給付:全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき」
※健康保険組合の付加給付・支給実務は保険者により異なります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の支給可否は加入先の保険者にご確認ください。




