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- 公開。厚生労働省「医療保険制度改正法が成立しました」「健康保険法等の一部を改正する法律の概要」「後期高齢者医療制度における金融所得の公平な反映」・参考資料、社会保障審議会医療保険部会「議論の整理」(2025年12月25日)、衆議院の法律案本文と議案の経過(令和8年法律第31号)、東京都後期高齢者医療広域連合「保険料の決め方・賦課」「自己負担割合」、国税庁タックスアンサー No.1330・No.1463、東京都北区をもとに作成
75歳以上の後期高齢者医療で、特定口座の配当や株の売却益が保険料と窓口負担の判定に入ることが決まりました。2026年6月5日公布の改正法(令和8年法律第31号)です。施行日は政令で決まり、法律上の期限は2031年6月4日。厚生労働省の見込みでは公布後4〜5年程度、2030〜2031年ごろの反映です[厚生労働省 改正法の概要]。
東京都の今の料率で試算すると、年金250万円と配当100万円の単身者は保険料が年15万2,900円から25万4,300円へ上がります。年金180万円と配当50万円なら、窓口負担が1割から2割に変わる計算です。NISAは対象外です。親の証券口座を見ている方も、配当と売却益の額を確かめておいてください。
結論:特定口座の配当・売却益が75歳以上の保険料と窓口負担に入る。反映は2030年前後の見込み
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠 | 健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号・2026年6月5日公布) |
| いつから | 政令で決める日。期限は2031年6月4日。厚生労働省の見込みは公布後4〜5年程度 |
| 対象の人 | 後期高齢者医療の加入者(原則75歳以上)。74歳以下の国民健康保険は今回は対象外 |
| 対象の所得 | 源泉徴収ありの特定口座などで申告不要にしている上場株式等の配当・譲渡益、投資信託の分配金、特定公社債の利子 |
| 対象外 | NISA口座の配当・売却益、預貯金の利子、預貯金などの資産そのもの |
| 変わるもの | 保険料(所得割と軽減の判定)、窓口負担の1割・2割・3割の判定 |
| 本人の手続き | 不要。金融機関が税務署に出す報告書の内容を広域連合にも届ける仕組み |
出典:法律案本文 第9条・附則第1条第7号[衆議院 法律案本文]、公布日と法律番号[衆議院 議案の経過]、対象外の所得[厚生労働省 金融所得の公平な反映]。
法案は2026年3月13日に閣議決定され、5月29日に成立しました[厚生労働省 医療保険制度改正法が成立しました]。同じ法律の高額療養費の見直しは2026年8月から始まっていますが、金融所得の部分だけは施行が数年先です。
いつから:法律の期限は2031年6月4日、厚生労働省の見込みは2030〜2031年ごろ
施行日はまだ決まっていません。法律の附則は「公布の日から起算して5年を超えない範囲内において政令で定める日」としています。
時間がかかるのは、金融機関と国と自治体のシステムを新しくつなぐ必要があるからです。厚生労働省は、次の順番で進む見込みを示しています[厚生労働省 改正法の概要 4頁]。
- 国が報告書を集めるデータベースを作るのに約2年
- そのあと1年分の報告書が集まり、翌年6月に所得が確定する
- 8月の負担割合と保険料の切り替えから反映する
厚生労働省は「他の要因でスケジュールが後ろ倒しになる可能性」も書き添えています。報道で見かける「2029〜2030年ごろ」は早めの見立てで、一次資料の見込みは公布後4〜5年程度です。
対象は特定口座で申告不要にしている配当・売却益。NISAと預貯金の利子は入らない
数える所得は、金融機関が税務署に出している報告書から拾います。法律が挙げた報告書は3種類です[衆議院 法律案本文 第9条]。
- 特定口座年間取引報告書(特定口座の売却益と配当)
- 上場株式等の配当等の支払調書
- 上場株式等の配当等に関する信託の計算書・名義人の調書
新しく数えられるもの
- 源泉徴収ありの特定口座で申告していない売却益
- 申告不要にしている上場株式の配当
- 投資信託・上場投資信託・不動産投資信託の分配金
- 特定公社債の利子
数えられないもの
- NISA口座の配当・売却益(非課税のため)
- 預貯金の利子(報告書の対象外)
- 預貯金や株式などの資産の額そのもの
- 遺族年金・障害年金
出典:厚生労働省「後期高齢者医療制度における金融所得の公平な反映」と参考資料4頁[厚生労働省 参考資料]。預貯金の利子は法律の報告書の一覧に入っていないことから本サイトが整理。
本人が何かを出す必要はありません。厚生労働省は「個人の事務負担等が増えることはありません」としています。義務を負うのは金融機関で、報告を怠ると1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。
今はなぜ保険料に乗らないのか:「申告不要」を選ぶと市区町村に所得が届かない
保険料と窓口負担は、市区町村の住民税の所得情報で決まります。申告不要を選んだ配当や売却益は、この情報に載りません。
上場株式等の配当は、所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%が差し引かれ、金額にかかわらず確定申告は不要です[国税庁 No.1330]。源泉徴収ありの特定口座の売却益も同じ扱いです[国税庁 No.1463]。
| 配当の扱い | 税金 | 今の保険料・窓口負担 |
|---|---|---|
| 申告不要(源泉徴収で終わり) | 約20%で終わり | 入らない → 改正で入る |
| 総合課税で申告(総合課税) | 配当控除が使える | すでに入っている |
| 申告分離課税で申告(分離課税) | 損失と相殺できる | すでに入っている |
このため「配当は申告しないほうが保険料が安い」は、高齢者の家計管理で定番の考え方でした。厚生労働省の例では、同じ収入でも申告の有無だけで窓口負担が1割と2割に分かれます。
以前は、所得税は申告して住民税だけ申告不要にする方法もありました。これは令和6年度(2023年分)の住民税から廃止され、所得税の選び方に住民税もそろうようになっています[東京都北区]。今回の改正は、申告不要の場合でも所得を数える方向へさらに一歩進めるものです。配当の課税方式の選び方は配当金の税金と配当控除で、損益通算の手順は株とNISAの確定申告で整理しています。
保険料はいくら上がるか:配当100万円で年約10万円、50万円で年約8万円(東京都の試算)
後期高齢者医療の保険料は、全員同じ均等割と、所得に比例する所得割の合計です。配当や売却益が所得に加わると、所得割が増え、低所得の人は均等割の軽減も外れます。
均等割53,300円 +(所得−43万円)× 9.88%
これに子ども・子育て支援金分(均等割1,300円+所得割0.26%)が加わります。上限は医療分85万円、子ども分2万1千円。それぞれ100円未満は切り捨てです。
- 今:所得は年金の140万円だけ(250万円−公的年金等控除110万円)
- 医療分149,100円+子ども分3,800円=年152,900円
- 反映後:所得は240万円。医療分247,900円+子ども分6,400円=年254,300円
- 差は年10万1,400円(月約8,450円)。配当100万円に対し約10%
- 今:所得70万円で均等割が5割軽減。年54,600円
- 反映後:所得120万円。軽減の判定所得105万円が2割軽減のライン100万円を超え、軽減なし
- 医療分129,300円+子ども分3,300円=年132,600円
- 差は年7万8,000円。配当50万円に対し約16%
※東京都の令和8年度の率で、配当の全額がそのまま所得に加わると仮定した概算。反映後の率・計算方法は施行時の政令と広域連合の条例で決まります。例Bの「今」の額は75歳からの後期高齢者医療制度の仕組みの計算例と同じです。
例Bのほうが配当に対する負担の割合が大きいのは、軽減が外れる分が上乗せされるからです。年金が少なめで配当がある人ほど、率で見た影響は大きくなります。料率は都道府県で違うので、住んでいる地域の水準は後期高齢者医療保険料の47都道府県ランキングで確かめてください。
窓口負担は1割から2割に変わる人がいる:分かれ目は課税所得28万円と年金+その他の所得200万円
窓口負担の割合も、配当が所得に入ると上がる可能性があります。判定は毎年8月1日を基準日に、前年の所得で行います[東京都後期高齢者医療広域連合 自己負担割合]。
| 負担割合 | 判定の基準(同じ世帯の被保険者) |
|---|---|
| 3割 | 住民税の課税所得が145万円以上の人がいる。ただし収入が単身383万円未満・2人以上520万円未満なら申請で1割か2割 |
| 2割 | 課税所得28万円以上145万円未満の人がいて、年金収入+その他の合計所得金額が単身200万円以上・2人以上320万円以上 |
| 1割 | 全員の課税所得が28万円未満など、上のどちらにも当たらない |
- 例B:今は年金収入180万円で200万円に届かず1割。反映後は180万円+配当50万円=230万円、課税所得47万円で2割
- 例A:今は課税所得67万円・年金収入250万円で2割。反映後は課税所得167万円で3割の区分に入る
- 例Aの収入は年金250万円+配当100万円=350万円。383万円未満なので、申請すれば2割にとどまる
厚生労働省の例では、年金230万円と配当50万円の夫と、基礎年金83万円の妻の世帯で差が出ます。配当を申告しなければ夫は1割・保険料年118,928円、申告すると2割・年169,978円です(令和6・7年度の全国平均の率)[厚生労働省 参考資料5頁]。改正後は申告の有無にかかわらず後者の扱いになります。
負担割合が上がると、高額療養費の自己負担の上限も区分に合わせて変わります。通院や入院が多い人ほど、保険料より窓口の差のほうが大きくなることがあります。
向かない読み方・注意点:細部は政令待ち、国保は別の話、申告済みの人は変わらない
決まっているのは「報告書を広域連合に届ける仕組み」までです。保険料にどう数えるかの細部はこれから決まります。
- 計算方法は未定。医療保険部会は具体的な反映の方法を「引き続き検討する」としています[社会保障審議会医療保険部会 議論の整理]。売却損との相殺や繰越控除をどう扱うかは政省令待ちです。
- 74歳以下の国民健康保険は今回の対象外。部会は国保も候補に挙げましたが、自治体システムの標準化などに留意し「まずは後期高齢者医療制度から」としました。国保への拡大は別の議論です。
- 配当を総合課税で申告している人は変わらない。すでに所得として数えられています。変わるのは申告不要で済ませている人だけです。
- 慌てて売るのは逆効果になりえる。売却益そのものが、売った年の所得として数えられる可能性があります。売るかどうかは運用の目的で決め、保険料だけを理由にしないほうが安全です。
- 試算は今の料率。保険料率は2年ごとに改定されます。反映が始まるころの東京都の率は、今の率と違う可能性があります。
負担の公平という考え方には、部会でも賛成が多く出ました。一方で「現役世代の金融所得も勘案すべき」「資産も把握すべき」という意見もあり、線引きは今後も動きます。年金生活の税金と保険料の全体像は年金だけで暮らす人の税金と保険料にまとめました。
今のうちに確かめること:親の口座の「特定口座年間取引報告書」を見る
施行はまだ先ですが、影響の大きさは今の書類で分かります。毎年1月ごろに証券会社から届く特定口座年間取引報告書に、売却益と配当の年額が載っています。
申告と申告不要の損得は、税金だけでなく保険料まで入れて比べる必要があります。考え方は総合課税と分離課税はどちらが得かで扱っています。
よくある質問
源泉徴収なしの特定口座や一般口座の場合はどうなりますか。
これらの口座の売却益は原則として確定申告が必要で、申告すれば今も保険料に反映されています。改正で新しく数えられるのは、源泉徴収で課税が終わり申告していない所得です。
まとめ
- 75歳以上の後期高齢者医療で、特定口座の配当・売却益が保険料と窓口負担の判定に入る。NISAと預貯金の利子は対象外
- 反映は厚生労働省の見込みで2030〜2031年ごろ。法律上の期限は2031年6月4日
- 東京都の試算では年金250万円・配当100万円の単身で保険料が年15万2,900円から25万4,300円に
- 年金180万円・配当50万円なら窓口負担が1割から2割に変わる計算
- 本人の手続きは不要。いまのうちに特定口座年間取引報告書で配当と売却益の額を確かめる
参考リンク(出典)
- 厚生労働省「医療保険制度改正法が成立しました」
- 厚生労働省「健康保険法等の一部を改正する法律の概要」——施行期日、想定スケジュール
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度における金融所得の公平な反映」——NISAは対象外
- 厚生労働省「参考資料」——勘案される所得・されない所得、申告の有無による差の例
- 社会保障審議会医療保険部会「議論の整理」(2025年12月25日)
- 衆議院「健康保険法等の一部を改正する法律案」本文——第9条、附則第1条第7号
- 衆議院「議案の経過」——令和8年6月5日公布・法律第31号
- 東京都後期高齢者医療広域連合「保険料の決め方・賦課」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「自己負担割合」
- 国税庁 タックスアンサー No.1330 配当所得があるとき
- 国税庁 タックスアンサー No.1463 株式等を譲渡したときの課税
- 東京都北区「所得税と異なる課税方式を選択することが出来なくなりました」
※試算は東京都の令和8年度の率に配当の全額を加えた概算です。本記事は一般的な情報提供です。個別の判断は広域連合・市区町村の窓口・税務署・税理士などの専門家に確認してください。
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