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- **社会保険の加入条件の全体像(2026年10月以降)**の節を新設(4分の3基準・週20時間・賃金要件の撤廃予定・企業規模要件36人→21人→11人→10人以下の施行時期・学生除外・2か月超/厚労省リーフレット 001633788)。**130万円の判定の細目**(月額108,333円・日額3,611円/60歳以上・障害者180万円/19〜23歳未満150万円/同居は半分未満/令和8年4月1日からの労働契約内容による認定/事業主の証明は連続2回まで・基本給アップは不可)と**扶養を外れた月から払う保険料**(国民年金 令和8年度17,920円・令和9年度18,290円、練馬区の令和8年度料率での国保試算、届出は14日以内)を新設。税金の壁を令和8年分に更新(本人178万円・扶養62万円=給与136万円・配偶者特別控除は給与136万円超207万円以下・基礎控除104万円/国税庁 2026kaisei.pdf)。年収の壁の図も106万・130万・136万・178万に差し替え
- 2026年10月1日開始の「保険料調整制度」(50人以下の勤め先・標準報酬月額12.6万円以下の新規加入者の本人負担を会社が追加負担して緩和・最大3年)を追記
パートやアルバイトで働くときに気になる「年収の壁」。実は税金の壁と社会保険の壁(106万円・130万円)はまったくの別物です。とくに社会保険の壁は、超えると本人の保険料負担が発生して一時的に手取りが減る「働き損」が起こりやすい一方、2026年に大きな見直しが実施されます。この記事では、106万円・130万円それぞれの仕組みと最新の改正、そして損しない働き方の考え方を整理します。
2026年10月に、従業員51人以上の企業で週20時間以上働く人は、年収にかかわらず社会保険に加入します(106万円の壁=賃金要件が撤廃予定で、実質「週20時間の壁」へ)。130万円の壁は当面残りますが、2026年4月から労働契約の内容で判定できるようになりました。扶養を外れると、国民年金だけで月17,920円(令和8年度)の負担が生まれます。
「税金の壁」と「社会保険の壁」は別物
「年収の壁」には2系統あります。混同すると判断を誤ります。
| 系統 | 主な壁 | 超えると何が起きる |
|---|---|---|
| 税金の壁 (令和8年分) | 本人に所得税がかかるのは給与収入178万円を超えてから(基礎控除104万円+給与所得控除74万円)。扶養親族・同一生計配偶者・配偶者控除の所得要件は62万円以下(給与収入136万円以下)。配偶者特別控除は62万円超133万円以下(給与収入136万円超207万円以下)[国税庁 源泉所得税の改正のあらまし] | 本人に所得税/配偶者控除・配偶者特別控除の減少(なだらか) |
| 社会保険の壁 | 106万円・130万円 | 本人が社会保険に加入し保険料負担が発生 |
税金の壁は 103万円の壁から123万円の壁(令和8年分の136万円・178万円まで)で解説しています。ここでは社会保険の壁を見ていきます。
106万円の壁(パート先で社会保険に加入)
勤務先で社会保険(厚生年金・健康保険)に加入する基準です。次の条件をすべて満たすと、本人が加入し、給与から保険料が天引きされます。
① 所定内賃金が月額8.8万円以上(≒年106万円。賃金要件)
② 週の所定労働時間が20時間以上
③ 勤め先が従業員数(厚生年金保険の被保険者数)51人以上の企業(企業規模要件)
④ 学生ではないこと
これに加えて、2か月を超える雇用の見込みが必要です。
2026年10月、106万円の壁は「週20時間の壁」へ
すべての都道府県で令和7年度の地域別最低賃金が時給1,016円を超えたため、週20時間以上働くすべての人が自動的に社会保険の加入対象になります。これを受けて、令和7年年金制度改正法に基づき令和8(2026)年10月に賃金要件(月額賃金8.8万円)を撤廃する予定です[厚生労働省]。撤廃後は、週20時間以上・雇用見込み2か月超・学生でない・従業員51人以上の条件を満たせば、年収にかかわらず本人が社会保険に加入します。つまり実質的な境目は「収入」ではなく週の労働時間になります[厚生労働省]。
さらに企業規模(51人以上)の要件も2027年10月から段階的に撤廃され、2035年までにすべての企業が対象になる予定です。より多くの短時間労働者が社会保険に加入していく流れです。この撤廃は最低賃金の引き上げと同じ2026年10月に重なるため、時給と労働時間の両面から影響を受けます。詳しくは最低賃金と106万円の壁ダブル改正で試算しています。
従業員50人以下の勤め先で新たに社会保険に入る標準報酬月額12.6万円以下の短時間労働者については、労使で決めれば会社が本人負担分の一部を追加で負担し、手取りの減少を最大3年間緩和できる制度が始まります。会社の追加負担分は全額が制度側で支援されるため、会社の最終負担も増えない設計です[厚生労働省]。新たに保険料を払うのは働く人自身。勤め先が小規模で「加入したら手取りが減る」と悩んでいる人は、この制度を使えないか会社に確認する価値があります。対象条件・軽減額の目安・会社への聞き方は保険料調整制度の解説で詳しくまとめています。
社会保険の加入条件の全体像(2026年10月以降)
加入するかどうかは、年収ではなく働き方で決まっていきます。条件ごとに、いま何が変わるのかを1枚にまとめます。
| 条件 | 内容 | 2026年10月以降の扱い |
|---|---|---|
| 正社員など (4分の3基準) | 勤め先で「4分の3基準」を満たす働き方 | 年収が130万円未満であっても、4分の3基準または短時間労働者の4要件を満たした場合は、厚生年金保険・健康保険の被保険者になります[日本年金機構] |
| 労働時間 | 週の所定労働時間が20時間以上 | 要件として残り、ここが実質的な境目になります。週20時間未満でも、週20時間以上で働く状況が2か月を超えて続くと加入対象になることがあります[厚生労働省] |
| 賃金 | 所定内賃金が月額8.8万円以上 | 令和8(2026)年10月に撤廃予定[厚生労働省] |
| 企業規模 | 勤め先の従業員数(厚生年金保険の被保険者数)が51人以上 | 今後10年かけて段階的に縮小・撤廃されます(下の表)[厚生労働省] |
| 学生 | 学生ではないこと | 現行の4要件のひとつ。撤廃・縮小の予定は示されていません |
| 雇用期間 | 2か月を超える雇用の見込み | 同じく、変更の予定は示されていません |
企業規模要件の段階的な縮小・撤廃
| 企業規模要件 | 施行時期 |
|---|---|
| 従業員51人以上 | 現在 |
| 従業員36人以上 | 令和9(2027)年10月から |
| 従業員21人以上 | 令和11(2029)年10月から |
| 従業員11人以上 | 令和14(2032)年10月から |
| 従業員10人以下(=実質撤廃) | 令和17(2035)年10月から |
出典:厚生労働省「短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入拡大のポイント」(令和8年1月作成)[厚生労働省]
130万円の壁(扶養から外れる)
106万円の対象にならない人でも、年収が130万円以上になると、配偶者などの社会保険の扶養から外れ、自分で国民年金・国民健康保険(または勤務先の社会保険)に加入します。これは企業規模に関係なく全員が対象です。扶養に入れる条件そのもの(収入の数え方・手続き・税の扶養との違い)は健康保険の扶養で詳しく解説しています。
扶養認定日が令和8年4月1日以降で、収入が給与だけの場合は、労働条件通知書などの労働契約の内容から見込まれる年間収入で判定できるようになりました。この賃金には諸手当と賞与も含みます。ほかに収入が見込まれず、同居なら被保険者の年間収入の2分の1未満(別居なら援助額より少ない)であれば、原則として被扶養者として扱われます[日本年金機構]。従来の数え方では基準額を超えていても、労働契約の段階で超えていなければ認定できる可能性があります。
使えないのは、①被扶養者になった日から契約期間が1年未満のとき ②「シフト制による」など労働時間の記載が不明確なとき ③「通勤手当有」など手当の金額が不明確なときです。届出には労働契約の内容がわかる書類と、「給与収入のみである」旨の申立書の両方が必要です[日本年金機構]。
130万円の判定の細目
130万円は「昨年いくら稼いだか」ではありません。被扶養者に該当する時点および認定された日以降の、年間の見込み収入額で判定します。給与などの収入があるなら月額108,333円以下、雇用保険などの受給者なら日額3,611円以下であれば要件を満たします[日本年金機構]。逆に、基本手当が日額3,612円以上支給され始めた場合は、扶養削除の届出が必要です[日本年金機構]。
| 扶養に入る人 | 年間収入の基準 | いつからのルールか |
|---|---|---|
| 原則 | 130万円未満(月額108,333円以下/雇用保険等の受給者は日額3,611円以下) | —[日本年金機構] |
| 60歳以上、またはおおむね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者 | 180万円未満 | —[日本年金機構] |
| 19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く) | 150万円未満 | 扶養認定日が令和7年10月1日以降。年齢は認定日が属する年の12月31日時点で判定します[日本年金機構] |
※月額・日額の目安が公表されているのは130万円の区分だけです。180万円・150万円の月額換算は示されていないため、年間の見込み額で確認してください。
収入の上限を下回っていても、同居なら被保険者(扶養する人)の収入の半分未満、別居なら被保険者からの仕送り額未満であることが必要です。半分以上でも、被保険者の年間収入を上回らず、日本年金機構が世帯の生計の状況を総合的に勘案して被保険者が生計維持の中心的役割を果たしていると認めるときは、被扶養者となることがあります[日本年金機構]。共働きで子どもを扶養に入れる場合は、被扶養者の人数にかかわらず年間収入の多い方の被扶養者として認定されます[日本年金機構]。どちらに入れるかの考え方は共働きの子どもはどちらの扶養に入れるかでまとめています。
給与だけを数えるのではありません。雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含めて判定します。自営業の収入は、その事業を行うための必要経費を差し引いた額で見ます[日本年金機構]。
残業などで一時的に130万円を超えても、勤務先の事業主が「一時的な収入変動である」と証明すれば扶養にとどまれる仕組みが、2023年10月から続いています[厚生労働省]。使えるのは連続2回までで、収入確認が年1回なら連続する2年間の各年で証明を使うことが「連続2回」に当たります[厚生労働省 Q&A]。
一時的と認められるのは、時間外勤務(残業)手当や臨時の繁忙手当など。他の従業員の休職・退職で業務量が増えた、受注が好調だった、突発的な大口案件があった、といったケースが想定されています。一方で基本給が上がった場合、恒常的な手当が新設された場合、労働契約の所定労働時間・日数が増えた場合は対象外です[厚生労働省 Q&A]。金額の上限は「新たな年収の壁になりかねない」として示されていません[厚生労働省 Q&A]。
扶養を外れた月から払う保険料
扶養を外れて勤務先の社会保険にも入らない場合は、国民年金(第1号被保険者)と国民健康保険を自分で払います。金額の内訳は次のとおりです。
| 保険 | 金額 | 押さえておくこと |
|---|---|---|
| 国民年金 | 月17,920円(令和8年度) 月18,290円(令和9年度) | 全国一律。納付期限は納付対象月の翌月末日。払った額は全額が社会保険料控除の対象です。月400円の付加保険料を足して将来の老齢基礎年金を増やすこともできます[日本年金機構][厚生労働省] |
| 国民健康保険 | 自治体ごとに異なる | 市区町村が条例で料率と均等割を定めるため、全国共通の目安はありません。お住まいの自治体の国保のページで確認してください |
例:東京都練馬区・令和8年度・給与収入140万円・39歳・単身の場合
給与所得=140万円-74万円(給与所得控除)=66万円
旧ただし書き所得=66万円-43万円(住民税の基礎控除額)=23万円
基礎(医療)分=23万円×7.51%+均等割47,600円=64,873円
後期高齢者支援金分=23万円×2.80%+均等割17,600円=24,040円
子ども・子育て支援金分=23万円×0.27%+均等割1,873円=2,494円
国民健康保険料の年額=およそ9万1,400円(月あたり約7,600円)
国民年金17,920円と合わせると月あたりおよそ2万5,500円。40歳以上65歳未満の人は介護分(旧ただし書き所得×2.43%+均等割17,800円)も加わります。端数の処理は自治体の定めによるため、実際の通知額とは多少ずれます[練馬区]。
① 扶養から外れる届出:勤め先(被保険者の会社)を通じて「健康保険 被扶養者(異動)届 国民年金第3号被保険者関係届」を日本年金機構へ。年間収入が130万円以上(60歳以上・障害者は180万円以上)見込まれるときは、この削除の届出が必要です[日本年金機構]。
② 国民年金に切り替える手続き:住所地の市区役所または町村役場に「国民年金被保険者関係届書(申出書)」を提出します。退職にともなって切り替える場合の期限は退職日の翌日から14日以内です[日本年金機構]。
外れるきっかけと、外れた月からの負担額は第3号被保険者とは|外れる7つのきっかけで詳しく整理しています。
「働き損」の正体と、損しないための考え方
社会保険の壁を超えると保険料(給与の約15%)が天引きされ、超えた直後は手取りが一時的に減ることがあります。これが「働き損」と言われる現象です。ただし、次の2点を押さえると判断が変わります。
- 一定以上働けば手取りは逆転する:保険料負担を上回るまで年収を増やせば(目安として年収150〜160万円前後)、手取りは加入前を上回ります。中途半端に抑えるのが一番もったいないケースもあります。
- 社会保険加入はメリットもある:厚生年金で将来の年金が増え、病気やケガの傷病手当金、出産時の出産手当金など保障も手厚くなります。健康保険料・厚生年金保険料は会社と折半です。
① 保険料調整制度(2026年10月〜):前述のとおり、標準報酬月額(保険料計算のもとになる月給の区分)12.6万円以下の人について、労使合意により最初の3年間、事業主が本人分の保険料の一部を追加負担できる制度が始まります。
② 年収の壁・支援強化パッケージ(実施中):社会保険適用促進手当やキャリアアップ助成金など、手取りの減少を抑える既存の支援策です。いずれも勤務先に確認してみましょう。
よくある質問
103万円の壁と106万円の壁は何が違う?
103万円は税金の壁の旧称です。令和8年分では、本人に所得税がかかるのは給与収入178万円を超えてから、扶養親族・配偶者控除の基準は給与収入136万円以下に広がっています。一方の106万円は社会保険に加入する壁で、系統がまったく違い、超えたときの影響も別です。
106万円の壁はなくなるの?
なくなります。2026年10月に月額賃金8.8万円(年106万円)の要件が撤廃される予定で、以後は週20時間以上働くかどうかが実質的な境目になります。企業規模51人以上の要件も2027年10月から段階的に撤廃される予定です。
2026年10月から自分は社会保険の加入対象になる?
次の4つをすべて満たすと加入対象です:①週の所定労働時間20時間以上 ②雇用見込み2か月超 ③学生でない ④従業員51人以上の企業に勤務。年収額は関係なくなります。④に当てはまらない企業でも、2027年10月以降は段階的に対象が広がります。
130万円を一時的に超えたら必ず扶養を外れる?
残業などによる一時的な収入増は、勤務先の事業主の証明により連続2回(最大2年)まで扶養にとどまれる特例があります。恒常的な収入増は対象外です。
扶養を外れると月いくら払う?
勤務先の社会保険に入らない場合は、国民年金が月17,920円(令和8年度。令和9年度は18,290円)と、国民健康保険料がかかります。国保は自治体ごとに異なり、東京都練馬区の令和8年度の料率で給与収入140万円・39歳・単身なら年およそ9万1,400円(月約7,600円)。合計で月2万5,500円ほどが目安です。
社会保険に入ると損?
超えた直後は手取りが一時的に減ることがありますが、一定以上働けば逆転し、将来の年金増・傷病手当金・出産手当金などの保障も得られます。保険料は会社と折半です。
まとめ
参考リンク(出典)
本記事は次の公的機関の資料をもとに作成しています(中立・一次情報)。制度は改正されるため、判断前に最新の内容をご確認ください。
- 厚生労働省 「年収の壁」への対応(事業主の証明による被扶養者認定の円滑化 Q&A)
- 厚生労働省 社会保険の加入対象の拡大について
- 厚生労働省 短時間労働者の社会保険の加入拡大のポイント(令和8年1月作成)
- 日本年金機構 家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
- 日本年金機構 労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定(令和8年4月1日から)
- 日本年金機構 国民年金保険料/厚生労働省 令和8年度の年金額改定について
- 国税庁 令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし
※本記事は一般的な情報提供であり、税務・社会保険上の助言ではありません。個別のご判断は勤務先・年金事務所・専門家にご確認ください。
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