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- 公開。地方税法321条の3〜5、東京都主税局「特別徴収推進ステーション」、大阪市、総務省 個人住民税検討会資料、国税庁 確定申告の手引きをもとに作成
会社員の住民税は、原則として給与から天引き(特別徴収)です。地方税法がそう定めており、「本人が希望すれば自分で払える(普通徴収)」という選択肢は給与所得にはありません。自分で納付を選べるのは、副業の事業所得や不動産所得など給与以外の所得の分だけです。副業がアルバイト(給与)なら、その分も本業の天引きに合算されます。会社が普通徴収に切り替えられるのは、退職予定者・給与が少なくて引けない人など、自治体が決めた例外に当たる場合だけで、その範囲は自治体で違います。この記事では、特別徴収と普通徴収の違い、切り替えられる例外、確定申告書の「自分で納付」欄の正しい意味、退職した月による扱いを、地方税法と東京都・大阪市の一次情報で整理します。
結論:2つの徴収方法と、誰がどちらになるか
| 特別徴収 | 普通徴収 | |
|---|---|---|
| 払い方 | 6月〜翌年5月の12回、給与から天引き。会社が翌月10日までに納入 | 市区町村から届く納付書で年4回(6月・8月・10月・1月が多い)、自分で払う |
| 対象 | 給与所得者は原則こちら(地方税法321条の3) | 個人事業主・年金生活者・無職の人、給与所得以外の所得で「自分で納付」を選んだ分 |
| 本人の希望で選べるか | 選べない。東京都主税局は「従業員の希望により普通徴収を選択することはできません」と明記 | |
| 会社の事務負担を理由に普通徴収にできるか | できない。「事務の増加や経理担当者がいないといった理由で特別徴収を行わないことは、法令上認められません」(同) | |
| 納税額 | 同じ。徴収方法で税額は変わらない | |
出典:地方税法第321条の3・第321条の4・第321条の5[e-Gov 法令検索]、東京都主税局「個人住民税の特別徴収推進ステーション」[東京都主税局]
地方税法321条の3第1項は、前年に給与を受け、その年度の初日にも給与を受けている人の住民税を「特別徴収の方法によつて徴収するものとする」と定めています。会社側も、所得税を源泉徴収している事業主は特別徴収義務者に指定され、「徴収させなければならない」とされています(321条の4)。東京都と都内区市町村は2017年度から特別徴収を徹底しており、拒否して納期限を過ぎれば滞納処分の対象です。
会社が普通徴収に切り替えられる例外:自治体で範囲が違う
会社は毎年1月末に「給与支払報告書」を市区町村に出します。その際に「普通徴収切替理由書」を添えると、自治体が認める理由に当たる人だけ普通徴収にできます。理由の範囲は自治体ごとに違います。
| 理由 | 東京都(普A〜普F) | 大阪市(a〜d) |
|---|---|---|
| 事業所の総従業員数が2人以下 | 普A:認める | 認めない |
| 他の事業所で特別徴収されている(乙欄の人) | 普B:認める | 認める(ただし他の給与に合算して特別徴収) |
| 給与が少なく税額を引けない | 普C:認める | 認める |
| 給与の支払いが不定期(毎月でない) | 普D:認める | 認める |
| 個人事業主の事業専従者 | 普E:認める | 認めない |
| 退職者・5月末までの退職予定者 | 普F:認める | 認める |
出典:東京都主税局[東京都主税局]、大阪市「給与支払報告書の提出について」[大阪市]
総務省の検討会資料によると、特別徴収の一斉指定をしている24の都道府県のうち「従業員2人以下」を理由に認めるのは18団体、「事業専従者」は19団体で、「退職者・退職予定者」だけが24団体すべてで共通です[総務省 個人住民税検討会 資料6]。自分の勤務先がどの自治体に報告書を出すかで、扱いが変わります。
切替理由書を出さなければ、原則どおり特別徴収です。荒川区は「普通徴収切替理由書の提出がない場合は、原則どおり特別徴収となります」と案内しています[荒川区]。
確定申告書の「自分で納付」は、給与以外の所得にしか効かない
確定申告書の第二表には「給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」という欄があり、「特別徴収」か「自分で納付」に丸を付けます。ここで自分で納付を選べるのは、名前のとおり給与・年金以外の所得の分だけです。国税庁の手引きは「給与所得…に対する住民税については、それぞれ給与…から差し引かれます」と明記しています[国税庁 確定申告の手引き 手順6]。根拠は地方税法321条の3第2項のただし書きです。
「自分で納付」を選べる副業
- 業務委託・フリーランスの報酬(事業所得・雑所得)
- 不動産の賃貸収入(不動産所得)
- 原稿料・講演料・ネット販売の利益(雑所得)
- 株の配当を総合課税で申告した分
選べない副業(本業の天引きに合算される)
- アルバイト・パートの給与
- 2社目の役員報酬
- 日雇いの給与(丙欄)
副業が給与の場合、副業先も給与支払報告書を出すので、市区町村は2社分を合算した税額を本業の会社に通知します。大阪市は「他から支給される給与から…特別徴収する場合は、次の理由(略号a〜d)に関わらず、他から支給される給与に合算して特別徴収します」と明記しています[大阪市]。給与支払報告書の経路は給与支払報告書とはで、副業と会社の関係は副業の確定申告で解説しています。
なお、確定申告書等作成コーナーで「自分で納付」に丸を付け忘れると、給与以外の所得の分まで特別徴収に合算されます。申告時に必ず確認してください。
退職した月で扱いが変わる:1〜4月退職は残りを一括天引き
退職すると、その翌月以降の月割額は会社の徴収義務から外れます。ただし退職の時期によって残額の扱いが決まっています[地方税法321条の5第2項]。
| 退職した月 | 残りの住民税 |
|---|---|
| 6月〜12月 | 本人が申し出れば最後の給与・退職金から一括徴収。申し出なければ普通徴収の納付書が届く |
| 1月〜4月 | 本人の申し出がなくても、5月分までを最後の給与・退職金から一括徴収(残額を超える給与・退職金がある場合) |
| 5月 | 5月分を天引きして終了 |
1月に辞めた人は、1〜5月の5か月分がまとめて最後の給与から引かれるので、手取りが大きく減ります。転職先が決まっているなら、新しい会社を通じて「特別徴収への切替申請」を出せば、天引きを引き継げます(地方税法321条の4第5項)。退職月ごとの実額は会社を辞めた月で住民税の請求額が変わるで試算しています。
普通徴収になる人の納期と、特別徴収との損得
個人事業主や退職後の人は普通徴収です。納期は市区町村の条例で決まり、多くは6月末・8月末・10月末・翌年1月末の4回です(自治体で異なります)。全期分を6月に一括で払うこともできます。
- 金額は同じ。徴収方法で税額は変わりません。特別徴収は12回払い、普通徴収は4回払いという違いだけです。
- 普通徴収はまとめて来る。年12万円なら1回3万円の納付書が届きます。会社員から独立した1年目は、前年の給与に対する住民税が普通徴収でまとめて来るので資金を確保しておきます。
- 会社側の負担は納期の特例で軽くできる。従業員が常時10人未満の事業所は、市区町村に申請して承認を受ければ、年12回の納入を年2回にできます[東京都主税局]。
住民税そのものの計算は住民税の仕組みと計算、6月に届く通知書の読み方は住民税決定通知書の見方を参照してください。
よくある質問
副業が会社に知られたくないので、住民税を普通徴収にできますか。
副業が業務委託など給与以外の所得なら、確定申告書の「自分で納付」に丸を付ければその分は普通徴収にできます。副業がアルバイトなど給与なら選べず、本業の天引きに合算されます。
会社から「うちは普通徴収」と言われました。合法ですか。
所得税を源泉徴収している会社は特別徴収義務者に指定され、事務負担を理由に普通徴収にすることは法令上認められません。自治体が認める例外(退職予定・給与が少ない等)に当たる場合だけです。
2か所で働いています。どちらで天引きされますか。
原則として主たる給与の支払いを受けている勤務先で、2社分を合算して特別徴収されます。市区町村が2社に分けて指定することもあります。
3月に退職しました。住民税はどうなりますか。
1〜4月の退職は、申し出がなくても5月分までの残額が最後の給与か退職金から一括で天引きされます。残額を超える給与・退職金がない場合は普通徴収の納付書が届きます。
参考リンク(出典)
- 地方税法(e-Gov 法令検索)——第321条の3(特別徴収の原則・給与以外の所得のただし書き)、第321条の4(特別徴収義務者)、第321条の5(一括徴収)
- 東京都主税局 個人住民税の特別徴収推進ステーション——徹底の経緯、普A〜普F、納期の特例
- 大阪市 給与支払報告書の提出について——切替理由a〜d
- 総務省 個人住民税検討会 資料6「特別徴収の推進について」——24団体の理由の違い
- 国税庁 確定申告の手引き 手順6 住民税に関する事項
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