定年退職した年の確定申告|必要な人・還付になる人・退職金20.42%の精算

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  • 公開。国税庁タックスアンサー(No.1910・No.2732・No.1600・No.1900)と総務省「個人住民税」をもとに作成

定年退職した年は、1年のうちに給与・退職金・年金・自分で払った保険料が全部そろう特殊な年です。会社を離れた時点で年末調整の相手がいなくなるので、毎月の給与から概算で引かれていた所得税はそのままになります。多くの人は「確定申告の義務はないが、すれば税金が戻る」側に入ります。逆に、退職金の申告書を出していなかった人や、再就職や年金以外の収入がある人は申告が必要です。どれに当たるかの分かれ目と、戻る金額の目安を国税庁の資料で整理します。

結論:定年の年は3つのグループに分かれる

グループあなたの状況確定申告
A 義務はないが還付になる年の途中で退職し、再就職せず年末調整を受けていない。退職金は申告書を出して受け取った還付申告をする(5年間できる)
B 申告が必要退職金の申告書を出さず20.42%引かれた/退職後に年金以外の所得が20万円超(事業・不動産・個人年金など)/給与が2,000万円超/年金が400万円超必要
C 不要12月末退職や再雇用で年末調整を受け、退職金も申告書を出して受け取り、他に所得がない不要(医療費控除・ふるさと納税があれば任意で)

60歳や65歳の誕生月で退職する人はグループAが最も多く、「義務がないから何もしない」で数万円を取り損ねるのが定年の年の典型です。

給与:年の途中で辞めると年末調整が無く、税金は納めすぎになっている

毎月の給与から引かれる所得税は「1年間同じ給与が続く」前提の概算です。年の途中で退職して再就職しなければ年末調整を受けられず、国税庁は「所得税及び復興特別所得税が納め過ぎとなる場合があります」として、翌年1月1日から5年間、還付申告ができるとしています[国税庁 No.1910]。

納めすぎになる理由は2つあります。ひとつは年収が減ったのに税率の高い月額表で引かれていること。もうひとつは、退職後に自分で払った保険料が会社では控除されていないことです。

6月末に定年退職(月給40万円・賞与なし・扶養なし)し、その後は再就職しなかった場合の目安

1〜6月の給与240万円から源泉徴収された所得税:約5万5,000円(月額表・扶養0人の概算)
年収240万円で計算し直した年税額:給与所得控除後160万円 − 基礎控除95万円 − 社会保険料控除約36万円 = 課税所得約29万円 → 所得税 約1万5,000円
還付の目安:約4万円(退職後に払った国保・国民年金の保険料を控除に足せばさらに増える)

※2026年分の基礎控除は合計所得により58万〜95万円(給与収入200万円台なら95万円)。復興特別所得税は省略。金額は概算です。

退職所得の源泉徴収票ではなく、給与の源泉徴収票が申告に必要です。退職後1か月以内に会社から交付されるので、届かなければ請求してください。転職・退職の年の全体の流れは転職・退職時の税金と手続きを参照してください。

退職金:「受給に関する申告書」を出したかどうかで分かれる

退職金は分離課税で、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、退職所得控除を引いたうえで源泉徴収され、それで課税関係が終わります。確定申告は不要です。

申告書を出していない場合、勤務先は退職金の支給額に一律20.42%を掛けた所得税を源泉徴収します。国税庁は「この場合には、退職手当等の受給者本人が確定申告をして、『退職所得の受給に関する申告書』の提出を受けている場合と同様の計算を行い所得税および復興特別所得税の精算をすることになります」としています[国税庁 No.2732]。

勤続38年・退職金2,000万円で、申告書を出さなかった場合

源泉徴収された税額:2,000万円 × 20.42% = 408万4,000円
本来の計算:退職所得控除 800万円+70万円×(38年−20年)=2,060万円 → 課税退職所得は 0円
確定申告で戻る額:408万4,000円全額

ここまで極端でなくても、申告書を出していない人は必ず確定申告で精算してください。退職所得控除の計算は退職金の税金、退職金とiDeCoを両方受け取る人の順番と2026年からの10年ルールはiDeCoと退職金の受け取り順番を参照してください。

定年退職の年に重なる4つのお金と、確定申告での扱い
給与(1月〜退職月) 退職金 年金(退職後〜12月) 自分で払った保険料 還付申告年末調整が無く概算のまま引かれた税金が戻る翌年から5年間 申告書の有無で分岐出した → 申告不要出していない →20.42%を確定申告で精算 原則不要400万円以下かつ他の所得20万円以下還付申告に載せれば年金の源泉分も精算 控除に足す国保・国民年金任意継続の保険料会社は把握していない自分で申告して初めて戻る 4つを1枚の確定申告書にまとめると、還付は最大になる
出典:国税庁タックスアンサー No.1910・No.2732・No.1600 をもとに作成

年金:400万円以下なら原則不要。ただし還付申告に載せると精算される

退職後に年金を受け始めた場合、「その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には確定申告の必要はありません」[国税庁 No.1600]。定年の年は年金が数か月分しかないので、この要件は満たすのが普通です。

注意したいのは、「給与以外の所得20万円以下」の判定は年金と給与を合わせて見ることです。給与と年金以外に、個人年金・不動産・事業・株の譲渡(特定口座の源泉なし)などの所得が20万円を超えれば、申告が必要になります[国税庁 No.1900]。

還付申告をするなら、年金の源泉徴収票も一緒に載せます。年金からも所得税が源泉徴収されているので、給与と合算して計算し直すと年金分の税金も精算されます。年金の課税のしくみは年金にかかる税金と確定申告を参照してください。

保険料:退職後に自分で払った分は、申告しないと1円も戻らない

在職中の社会保険料は会社が年末調整で控除しますが、退職後に自分で払った国民健康保険料・国民年金保険料・健康保険の任意継続の保険料・介護保険料は、会社は把握していません。確定申告で社会保険料控除として自分で足す必要があります。

7〜12月に自分で払った保険料が国保30万円+国民年金10万円=40万円の場合

所得税率5%の人:40万円 × 5% = 2万円の還付が上乗せ
翌年度の住民税:40万円 × 10% = 4万円の減額(申告した所得をもとに計算される)

国保・任意継続・家族の扶養のどれを選ぶかで保険料は大きく変わります。比較は退職後の健康保険3択を参照してください。定年の年は退職金や給与で所得が大きいため、翌年度の国保料も高くなりがちです。退職金は国保料の計算に入りません(分離課税の退職所得は算定対象外)。

住民税:翌年に「前年の給与」ベースの請求が来る

住民税は前年の所得に対して翌年度に課税されるため、定年退職の翌年度は、在職最後の年の給与をもとにした住民税の請求が来ます。年金だけの生活になってから届くので、資金を残しておく必要があります。退職金の住民税は分離課税で、支給時に特別徴収されて完結します(翌年度の請求には含まれません)。

退職月によって、在職中に天引きされていた住民税の残りの払い方も変わります。1〜5月退職は残額を最後の給与から一括徴収、6〜12月退職は普通徴収(納付書)に切り替わるのが原則です。定年の翌年に出てくる出費の全体は定年前後のお金ロードマップを参照してください。

そのほか定年の年に多い論点

  • 失業給付・高年齢雇用継続給付は非課税——確定申告に載せません。国保料の計算にも入りません。
  • ふるさと納税——定年の年は所得が多いので控除の上限も大きい年です。ただし確定申告をするならワンストップ特例は使えず、寄附をすべて申告書に載せます。
  • 医療費控除・生命保険料控除・地震保険料控除——年末調整がないので、これらも確定申告で自分で入れます。証明書は10〜11月に届くので捨てないでください。
  • 再雇用で12月まで勤務した人——年末調整を受けられるので、退職金の申告書さえ出していれば確定申告は不要です。ただし再雇用先が年の途中で変わった場合は、前の勤務先の源泉徴収票を再雇用先に提出して合算してもらいます。

今日やること

  1. 退職所得の受給に関する申告書を出したかを人事に確認する。出していなければ、退職所得の源泉徴収票の税額欄が支給額の20.42%になっている。
  2. 退職後に払った保険料の領収書・控除証明書をひとつの封筒にまとめる。国保・国民年金・任意継続・介護保険。
  3. 年明けに給与と年金の源泉徴収票がそろったら、作成コーナーで入力して還付額を見る。還付申告は2月16日を待たず1月から出せる。

よくある質問

3月末に定年退職して、その後は年金だけです。確定申告は必要ですか?

義務としては、退職金の申告書を出していて年金が400万円以下なら不要です。ただし1〜3月の給与は年末調整を受けていないので、源泉徴収された所得税が納めすぎになっている可能性が高く、退職後に払った国保や国民年金の保険料も控除されていません。還付申告をすれば戻るのが普通です。

退職金を受け取るときに申告書を出し忘れました。どうすればいいですか?

支給額の20.42%が源泉徴収されているので、確定申告で退職所得控除を使った本来の計算に直して精算します。退職所得の源泉徴収票を添えて申告すれば、納めすぎた分が還付されます。勤続年数が長い人は全額戻ることも珍しくありません。

還付申告はいつまでにすればいいですか?

退職した年の翌年1月1日から5年間できます。確定申告の受付期間(2月16日〜3月15日)を待つ必要はなく、1月に源泉徴収票がそろえばすぐ提出できます。早く出すほど還付も早く振り込まれます。

退職金は翌年の住民税や国民健康保険料に影響しますか?

影響しません。退職金の住民税は支給時に特別徴収されて完結し、翌年度の住民税の計算には含まれません。国民健康保険料の算定も退職所得は対象外です。翌年度に影響するのは在職最後の年の給与所得です。

参考リンク(出典)

本記事は次の資料をもとに作成しています。制度は改正されるため、申告前に最新の内容をご確認ください。

※本記事は一般的な情報提供であり、税務アドバイスではありません。計算例は概算で、扶養や各種控除の有無で変わります。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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公開日:2026年09月27日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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