セルフメディケーション税制と医療費控除はどっちが得?18万8,000円の境目と2026年改正の恒久化

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  • 公開。国税庁タックスアンサー No.1129・No.1120、厚生労働省「セルフメディケーション税制について」(令和8年度税制改正の反映)をもとに作成

ドラッグストアのレシートに「セルフメディケーション税制対象」の印が付いている市販薬を年1万2,000円分以上買った人は、セルフメディケーション税制で所得控除を受けられます。一方、病院代や薬代を含めた医療費が年10万円を超えた人は医療費控除です。2つは選択制で両方は使えず、いったん選んで申告すると後から変更できません。損得の境目は「医療費の合計が18万8,000円を超えるか」で、超えれば医療費控除が必ず有利、それ以下は市販薬の割合で逆転します。金額の組み合わせ別の早見表、レシートの見分け方、一定の取組の要件、そして2026年の税制改正でスイッチOTC医薬品の期限が撤廃された点まで、国税庁と厚生労働省の資料で整理します。

結論:2つの控除の違い

セルフメディケーション税制医療費控除
対象対象の市販薬(スイッチOTC医薬品など・レシートに印)治療のための医療費全般(診察・処方薬・市販薬・通院交通費・出産費用など)
控除額対象市販薬の購入額 − 1万2,000円(上限8万8,000円)医療費 − 10万円(総所得200万円未満はその5%)(上限200万円)
追加の条件健康診断・予防接種などの「一定の取組」をその年に受けていることなし
家族の分生計を一にする家族の分も合算同じ
保険で補填された分差し引く差し引く(高額療養費・出産育児一時金・生命保険の給付金)
併用どちらか一方だけ。選択後は更正の請求・修正申告でも変更不可
手続き確定申告(年末調整では受けられない)。明細書を添付し、レシートは5年保存

出典:国税庁 タックスアンサー No.1129「特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(セルフメディケーション税制)」[国税庁]、No.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」[国税庁]

国税庁は「これらのいずれかの適用を選択した後、更正の請求や修正申告によりこの選択を変更することはできません」と明記しています。申告してから「あっちの方が得だった」と気づいても戻れないので、申告前に両方を計算してください。

早見表:医療費と市販薬の組み合わせで、どちらが得か

控除額が大きい方が得です(戻る税金は控除額 × 所得税率、住民税は控除額 × 10%)。医療費の合計には対象市販薬も含みます。

医療費の合計(市販薬含む)うち対象市販薬医療費控除の控除額セルフメの控除額有利
6万円3万円0円(10万円以下)1万8,000円セルフメ
9万円9万円(全部市販薬)0円7万8,000円セルフメ
12万円3万円2万円1万8,000円医療費控除(僅差)
12万円6万円2万円4万8,000円セルフメ
15万円5万円5万円3万8,000円医療費控除
15万円10万円5万円8万8,000円(上限)セルフメ
18万8,000円10万円以上8万8,000円8万8,000円同じ(境目)
18万8,000円超いくらでも8万8,000円超最大8万8,000円必ず医療費控除

ルールは2つに要約できます。

  1. 医療費の合計が18万8,000円を超えたら医療費控除。セルフメの上限8万8,000円を、医療費控除(合計−10万円)が必ず上回るからです。
  2. 18万8,000円以下なら「対象市販薬 − 1万2,000円」と「医療費合計 − 10万円」を比べる。差し引く額が8万8,000円違うので、市販薬が医療費全体の中で8万8,000円以上を占めていればセルフメ、そうでなければ医療費控除です。医療費合計が10万円以下なら医療費控除は0なので、市販薬が1万2,000円を超えていればセルフメ一択です。
控除額の比較(横軸=医療費の合計、市販薬が全部対象の場合)
1.2万10万18.8万25万医療費の合計(円) 8.8万15万 セルフメディケーション税制(上限8.8万円) 医療費控除 交点 18万8,000円
出典:国税庁の控除額の計算式をもとに作成。市販薬以外の医療費が混ざると、セルフメの線は市販薬分だけで計算する

対象の市販薬の見分け方と「一定の取組」

  • レシートの印。対象商品はレシートに「★」や「セルフメディケーション税制対象」などの印が付き、対象額の小計が出ます。パッケージにも共通の識別マークがあります。厚労省が対象品目一覧(スイッチOTC・非スイッチOTC別)を月1回更新しています[厚生労働省]。
  • 対象になるもの。医療用から転用されたスイッチOTC医薬品(ロキソニン、ガスター、アレグラなど)と、一定の効能の非スイッチOTC(かぜ薬・解熱鎮痛薬・鼻炎薬・胃腸薬など)。2026年の見直しで消化器官用薬と一部の漢方が追加され、効果の低い約50品目が外れました。
  • 対象にならないもの。ビタミン剤・栄養ドリンク(医薬部外品)、目薬の多く、絆創膏・マスク、サプリメント、処方薬。処方薬は医療費控除の対象です。
  • 一定の取組。申告する本人がその年に、会社の定期健康診断、市区町村の健康診査・がん検診、特定健康診査、予防接種(インフルエンザなど)のいずれかを受けていることが条件です。家族の分の市販薬を合算する場合も、取組は申告者本人が受けていれば足ります。結果通知や領収書は5年保存(添付不要)。

2026年の税制改正:スイッチOTCは恒久化

セルフメディケーション税制は2017年に5年間の時限措置として始まり、2022年から5年延長されて2026年12月31日までとされていました。令和8年度税制改正で、スイッチOTC医薬品については適用期限が撤廃され、非スイッチOTC医薬品の部分は5年延長されました[厚生労働省]。「2026年で終わる制度」ではなくなったので、毎年の市販薬の購入額を意識する価値があります。

控除額の上限8万8,000円は据え置きです。年間10万円以上を市販薬に使う世帯は少数で、実際の利用者の多くは控除額1万〜3万円、戻る税金は数千円です。それでも申告の手間は医療費控除と変わらず、e-Taxで明細書に金額を入れるだけなので、対象になる年は忘れずに使ってください。

申告の手順と注意

  1. 1年分のレシートを集め、対象額を合計する。レシートの小計を足すだけです。家族の分も合算。
  2. 医療費控除の額も計算して比べる。上の早見表で判定。両方の明細書を作る必要はなく、有利な方だけ申告します。
  3. 確定申告書に「セルフメディケーション税制の明細書」を添付。作成コーナーで医療費控除の入力画面から「セルフメディケーション税制」を選び、薬局名・金額・取組の種類を入力します。一定の取組の証明書類は添付不要ですが5年保存。
  4. 年末調整では受けられない。会社員も確定申告(還付申告)が必要で、翌年1月から5年間できます。過去の年分も同じです。

確定申告をすると、ふるさと納税のワンストップ特例は無効になります。ふるさと納税をした人はワンストップ分も申告書に書くのを忘れないでください。医療費控除側の対象範囲と計算は医療費控除の計算方法、高額療養費で戻った分の扱いは高額療養費を参照してください。

よくある質問

市販薬を医療費控除の方に含めることはできますか?

できます。治療のために買った市販薬(風邪薬・胃腸薬など)は、セルフメディケーション税制の対象かどうかに関係なく医療費控除の医療費に含められます。逆に、セルフメディケーション税制には処方薬や診察代は含められません。両方の控除に同じ薬を使うことはできません。

レシートをなくしました。対象額をどう証明しますか?

レシートや領収書がないと対象額を証明できず、その分は控除に入れられません。ドラッグストアのアプリやポイントカードの購入履歴で再発行に応じる店もあるので確認してください。明細書には薬局ごとの合計を書くので、今後は店ごとにレシートをまとめて保管すると楽です。

まとめ

  • 対象の市販薬が年1万2,000円分以上ならセルフメディケーション税制、医療費が年10万円超なら医療費控除。両方は使えない
  • 医療費の合計が18万8,000円を超えれば医療費控除が必ず有利。それ以下は市販薬の割合で逆転
  • 選んで申告した後は更正の請求・修正申告でも変更できない。申告前に両方を計算
  • セルフメの条件は本人がその年に健康診断・予防接種などを受けていること。年末調整では受けられず確定申告が必要
  • 令和8年度税制改正でスイッチOTC医薬品は適用期限が撤廃。控除額の上限8万8,000円は据え置き

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参考リンク(出典)

本記事は次の資料をもとに作成しています。対象品目は毎月更新されるため、最新の一覧は厚生労働省のページでご確認ください。

※本記事は一般的な情報提供です。戻る税金の額は所得税率で変わります。個別の判断は税務署にご確認ください。

公開日:2026年11月02日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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