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- 公開。国税庁「令和8年版 源泉徴収のあらまし」第5 報酬・料金等の源泉徴収事務、タックスアンサー No.2792・No.2795 をもとに作成
業務委託の報酬が「振込額=請求額 − 10.21%」で入金される仕事と、請求額どおりに入る仕事があります。差は所得税法204条に列挙された「報酬・料金」に当たるかどうかで、原稿料・デザイン料・講演料・翻訳料・士業の報酬・モデル料などは10.21%(同じ相手から1回100万円を超える部分は20.42%)が源泉徴収され、プログラミング・コーディング・動画編集・事務代行・営業代行は対象外です。引かれた税金は「取られた」のではなく所得税の前払いで、確定申告で経費と控除を差し引いた本来の税額との差額が戻ります。年収400万円・経費100万円のライターなら還付は約36万円。職種別の一覧、100万円超の計算、請求書の書き方、還付の計算を国税庁の資料で整理します。
結論:職種別一覧(発注者が法人・源泉徴収義務のある個人事業主の場合)
引かれる(10.21%)
- 原稿料・記事のライティング・コラム執筆・脚本・作詞作曲
- デザイン料(ロゴ・イラスト・ウェブサイトの画面デザイン・パッケージ・工業デザイン)
- 写真の報酬(撮影料)・挿絵・版下
- 講演料・セミナー講師・研修講師・技芸やスポーツの指導料
- 翻訳料・通訳料・校正料・書籍の装丁料・速記料
- 著作権の使用料(印税・原作料)・放送謝金
- 弁護士・税理士・社労士・司法書士・行政書士以外の士業(建築士・不動産鑑定士・技術士・測量士など)
- 中小企業診断士、経営コンサルタント・経営士・労務管理士など企業の診断や経営指導を行う人
- モデル(ファッション・広告写真)・芸能人の出演料・映画や演劇の出演
- 外交員・集金人・電力量計の検針人・プロスポーツ選手・ホステスなど
引かれない(対象外)
- プログラミング・システム開発・アプリ開発・要件定義・設計
- ウェブサイトのコーディング(HTML・CSS・JavaScriptの実装)・環境構築・テスト
- 動画編集・映像制作の編集作業(出演やナレーションは対象)
- 事務代行・データ入力・秘書業務・カスタマーサポート
- 営業代行・SNS運用代行・広告運用
- 行政書士の業務(士業だが列挙されていない)
- 建設業の手間請け・軽貨物の配送・清掃
- 試験問題の出題料・答案の採点料・懸賞応募作品の審査料
- 物品の販売(仕入れて売る)
出典:国税庁「令和8年版 源泉徴収のあらまし」第5 報酬・料金等の源泉徴収事務[国税庁]、タックスアンサー No.2792「報酬・料金等の源泉徴収義務者」[国税庁]、No.2795「原稿料や講演料等を支払ったとき」[国税庁]
対象は法律で限定列挙されているので、「業務委託だから引かれる」でも「フリーランスだから引かれる」でもありません。列挙にない仕事は、いくら金額が大きくても源泉徴収されません。逆に、名目が「謝金」「取材費」「車代」でも実態が原稿料や講演料なら対象です。
同じウェブ制作でも分かれる:デザインは対象、コーディングは対象外
ウェブ制作のフリーランスが混乱する典型例です。国税庁の一覧は「デザインの報酬」を対象に挙げ、工業デザイン・クラフトデザイン・グラフィックデザイン・パッケージ・広告・インテリア・ディスプレイ・服飾など、およそ視覚的な意匠の設計を含みます。ウェブサイトの画面デザイン(見た目を設計する仕事)は対象ですが、そのデザインを実装するコーディングやシステム開発は列挙にないので対象外です。
1本の請求書に「デザイン30万円+コーディング20万円」が混ざる場合は、デザイン部分だけが源泉徴収の対象です。発注側が全額に10.21%をかけてくることがありますが、その場合は内訳を分けた請求書を出し直せば直ります。区分が不明確な一式請求だと全額対象とされることがあるので、請求書は最初から分けてください。
動画も同じで、出演・ナレーション・脚本は対象、編集・エンコード・サムネイル制作のうちデザインに当たらない作業は対象外です。
いくら引かれるか:10.21%と、100万円超の20.42%
計算式(同じ相手から1回に支払われる金額)
100万円以下:報酬 × 10.21%
100万円超:(報酬 − 100万円)× 20.42% + 10万2,100円
例:150万円の原稿料 → 50万円 × 20.42% + 10万2,100円 = 20万4,200円(手取り129万5,800円)
司法書士・土地家屋調査士・海事代理士:(報酬 − 1万円)× 10.21%
- 消費税の扱い。請求書で本体と消費税を区分していれば、本体だけに10.21%をかけてよいことになっています(区分がなければ税込全額)。10万円+消費税1万円の請求なら、区分ありで1万210円、なしで1万1,231円。インボイス発行事業者なら区分は必須なので、自然に本体基準になります。
- 旅費・宿泊費。発注者がホテルや交通機関に直接払った分は対象外、本人に「交通費」として渡した分は報酬に含めて対象です。
- 1回5万円以下の懸賞金・投稿謝金は源泉徴収不要です。
- 発注者が個人(給与を払っていない人)なら引かれない。源泉徴収義務があるのは法人と、従業員に給与を払っている個人事業主です。個人客からデザインを受注しても引かれません。
確定申告でいくら戻るか
源泉徴収は「報酬の10.21%」で、経費も控除も考慮していません。実際の所得税は「収入 − 経費 − 所得控除」に税率をかけた額なので、経費が多い人・所得が低い人ほど引かれすぎになり、確定申告で戻ります。
| 年間の報酬(すべて対象) | 経費 | 源泉徴収された額 | 本来の所得税(青色65万円控除・基礎控除95万円・社保60万円) | 還付 |
|---|---|---|---|---|
| 200万円 | 50万円 | 20万4,200円 | 0円(課税所得0) | 約20万円 |
| 400万円 | 100万円 | 40万8,400円 | 約4万円(課税所得80万円) | 約36万円 |
| 600万円 | 150万円 | 61万2,600円 | 約16万円(課税所得257万円) | 約45万円 |
| 800万円 | 200万円 | 81万6,800円 | 約40万円(課税所得412万円) | 約41万円 |
基礎控除は令和7年分以降の所得段階別の額(合計所得132万円以下で95万円・336万円以下で88万円・489万円以下で68万円)で計算しています。国民年金・国保の社会保険料控除、iDeCoや生命保険料控除を入れるとさらに増えます。青色申告を使わない場合は控除が65万円減るので、還付もそのぶん減ります。青色の要件は青色申告と白色申告を参照してください。
還付申告は翌年1月1日から受け付けられ、e-Taxなら2〜3週間で振り込まれます。発注者から「支払調書」が届くのを待つ必要はありません。支払調書は発注者が税務署に出す書類で、本人への交付義務はなく、確定申告への添付も不要です。自分の帳簿と入金記録(振込額と請求額の差が源泉徴収額)で申告できます。会社員の副業なら副業の確定申告と事業所得か雑所得かの判定を参照してください。
請求書の書き方と、引かれていないときの対応
- 対象の仕事なら、請求書に源泉徴収税額を明記する。「小計10万円/消費税1万円/源泉徴収税額 −1万210円/お振込額 9万9,790円」のように書くと、発注者の処理が揃い、入金額との突合が楽になります。書かなくても発注者は源泉徴収する義務があります。
- 対象外の仕事なのに引かれた場合。発注者に列挙外であることを伝えて修正を頼みます。修正されないまま納付された分も、確定申告で源泉徴収税額として申告すれば戻るので、実害は資金繰りだけです。
- 対象の仕事なのに引かれていない場合。納付義務は発注者にあり、受け取る側に罰則はありません。確定申告では源泉徴収税額0円として本来の税額を納めれば足ります。ただし発注者が後から気づいて「源泉分を返してほしい」と言ってくることはあり得ます。
- 帳簿では「事業主貸」または「仮払税金」。売上は請求額の全額で計上し、源泉徴収された分を別に記録します。振込額を売上にすると収入が過少になります。
よくある質問
住民税は源泉徴収されていますか?
されていません。10.21%は所得税(10%)と復興特別所得税(0.21%)だけです。住民税は確定申告の内容をもとに翌年6月から納付書で請求されるので、還付された所得税を使い切らず、住民税の分(課税所得の10%)を残しておいてください。
まとめ
- 原稿料・デザイン料・講演料・翻訳料・モデル料などは10.21%が源泉徴収。同じ相手から1回100万円を超える部分は20.42%
- プログラミング・コーディング・動画編集・事務代行・営業代行は対象外。対象は所得税法204条の限定列挙
- 発注者が個人(給与を払っていない人)なら引かれない。デザインとコーディングが混ざる請求書は内訳を分ける
- 引かれた税金は所得税の前払いで、確定申告で差額が戻る。年収400万円・経費100万円のライターなら還付は約36万円
- 住民税は源泉徴収されていない。翌年6月からの納付分を残しておく
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参考リンク(出典)
本記事は次の資料をもとに作成しています。対象の判定は業務の実態によるため、迷う場合は発注者の経理担当や税務署にご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供です。還付額の例は概算で、控除や所得で変わります。













