配当金の税金と配当控除|総合課税・申告分離・申告不要の選び方

配当金の税金|3つの課税方式とトクする選び方

株の配当金は、受け取る時点で20.315%が源泉徴収されているので申告しなくても完結します。しかし実は、課税方式を3つから選べて、選び方で手取りが変わります。年収がそれほど高くない人は「総合課税+配当控除」で税金の一部が戻ることが多く、株で損した年は「申告分離」で損益通算がトク。2024年度分から住民税も同じ方式に統一された注意点も含めて、選び方を整理します。

課税方式の選び方

① 上場株式の配当は3方式から選択:(A)申告不要(源泉20.315%で完結)/(B)総合課税+配当控除/(C)申告分離(株の譲渡損と通算)[国税庁 No.1331]
② 配当控除は総合課税を選んだときの税額控除で、所得税10%・住民税2.8%(課税総所得1,000万円以下の部分)[国税庁 No.1250]
③ 目安:課税所得695万円以下なら(B)総合課税が有利になりやすい。株で損した年は(C)。それ以外・手間を省くなら(A)。
2023年分所得税・2024年度住民税から、所得税と住民税で別々の方式を選べなくなった。申告すると配当が国保料や扶養判定の「所得」に入る点に注意。
NISA口座の配当は非課税(受取方法を「株式数比例配分方式」にしている場合)。

投資・配当

3つの課税方式の比較

(A) 申告不要(B) 総合課税(C) 申告分離
税率20.315%(源泉のみ)累進税率 − 配当控除10%+2.8%20.315%
メリット手間ゼロ。所得にカウントされない中低所得なら実効税率が20.315%を下回る株の譲渡損と損益通算・繰越控除
向く人高所得者・扶養や保険料への影響を避けたい人課税所得695万円以下の目安株で損した年
総合課税の実効税率の目安(配当控除後・住民税込み)
  • 課税所得195万円以下:約 7.2%(vs 20.315%)→ 大幅に有利
  • 〜330万円:約 7.2%/〜695万円:約 17.4% → 有利
  • 〜900万円:約 20.3% → ほぼ同等(手間と保険料影響を考えると申告不要が無難)
  • 900万円超:申告不要(A)が有利

※復興特別所得税込みの概算。配偶者控除等の判定・国民健康保険料への影響は含みません。

申告する前に必ず確認する2つの注意点

  • (1) 住民税も連動する(2024年度分〜):以前は「所得税は総合課税・住民税は申告不要」という良いとこ取りができましたが、現在は所得税と住民税で同じ方式に統一されています。申告すると住民税側でも配当が所得に入ります。
  • (2) 「所得」が増えることの副作用:申告した配当は合計所得金額に含まれるため、配偶者控除扶養の判定、国民健康保険料、後期高齢者の医療費窓口負担割合などに影響することがあります。年金暮らしの方・自営業の方は、税金の損得だけでなく保険料まで含めて判断を。

配当控除が使えないもの

配当控除は「国内法人からの利益の配当」が対象です。次のものは総合課税にしても配当控除が使えない(または率が低い)ため注意[国税庁 No.1250]

  • 外国株の配当(米国株など)・J-REITの分配金:配当控除の対象外。外国株は外国税額控除の検討を。
  • 投資信託の分配金:商品により控除率が下がる(外貨建て・非株式の組入れ割合による)。
  • NISA口座の配当:そもそも非課税ですが、受取方法を「株式数比例配分方式」にしていないと課税されてしまうので証券口座の設定を確認(新NISA活用ガイド)。

よくある質問

配当金は確定申告した方が得ですか?

課税所得が695万円以下の目安なら、総合課税+配当控除で源泉徴収された税金の一部が戻ることが多いです。ただし申告すると配当が所得に含まれ、扶養判定や国民健康保険料に影響し得るため、保険料まで含めた損得で判断してください。株で損した年は申告分離で損益通算が有利です。

配当控除とは何ですか?

配当を総合課税で申告したときに受けられる税額控除で、課税総所得1,000万円以下の部分は配当の所得税10%・住民税2.8%が税額から差し引かれます。法人税と所得税の二重課税を調整する仕組みです。

米国株の配当にも配当控除は使えますか?

使えません。配当控除は国内法人からの配当が対象です。米国株は現地で10%源泉徴収された後に国内でも課税されるため、確定申告で外国税額控除を使って二重課税を調整するのが定石です。

住民税だけ申告不要にできると聞きました。

その方法は廃止されました。2023年分の所得税(2024年度の住民税)から、所得税と住民税で異なる課税方式を選択できなくなり、申告すると両方に反映されます。

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データの出典

※有利不利の目安は概算であり、他の所得・控除の状況で変わります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。