年金だけで暮らす人の税金と保険料|214万円まで所得税ゼロ、重いのは国保と介護保険料(手取り早見表)

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  • 公開。国税庁 No.1600・No.1199・令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし・基礎控除引上げの質疑応答、財務省 令和8年度税制改正の大綱、総務省 公的年金からの特別徴収、日本年金機構、練馬区・柏市・吉野ヶ里町・東京都主税局の公表資料をもとに作成

65歳以上で年金だけなら、年金収入214万円まで所得税はゼロです[国税庁 改正のあらまし]。令和8年分(2026年分)から基礎控除が104万円に上がったためです。それでも手取りは思ったほど残りません。重いのは税金ではなく保険料だからです。

東京23区・単身で年金180万円なら、1年の天引きは約16万3千円。そのうち8万5千円が介護保険料で、所得税は0円です。まず下の早見表で、自分の年金額に近い行を見てください。

結論:年金収入別の手取り早見表(東京23区・65歳以上)

年金生活にかかるのは所得税・住民税・医療保険料・介護保険料の4つです。東京都練馬区の65歳以上で試算しました。

年金収入(年)所得税住民税医療保険料介護保険料手取り負担率
単身 180万円0円14,600円63,039円85,680円1,636,681円9.1%
単身 240万円0円63,100円159,119円104,160円2,073,621円13.6%
単身 300万円27,200円116,800円222,599円104,160円2,529,241円15.7%
夫婦 夫240万円+妻78万円0円23,500円200,112円162,600円2,793,788円12.1%

本サイトの試算。65〜74歳で国保に加入している前提。率は練馬区の令和8年度の公表値[練馬区 国保料の計算]、住民税の税率は東京都による[東京都主税局]。

国保料の端数処理と、子ども分の均等割に軽減が及ぶかは区の資料から読み取れない。円単位・軽減なしで計算した。

どの行でも保険料が所得税を上回ります。単身180万円では負担の9割以上が保険料です。年金が1.67倍になると天引きは2.88倍に増えます。

所得税:年金214万円までゼロ。引かれすぎた分は12月に自動で戻る

65歳以上で年金以外の収入がなければ、214万円までは所得税がかかりません。内訳は公的年金等控除110万円[国税庁 No.1600]と、令和8年分の基礎控除104万円[国税庁 No.1199]です。

年齢公的年金等控除基礎控除(令和8年分)所得税ゼロの上限
65歳以上110万円104万円214万円
65歳未満60万円104万円164万円

出典:国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」[源泉徴収を要しない公的年金等の額]。引上げの根拠は財務省の大綱[財務省 大綱]。

実際のラインはもっと上です。天引きされた保険料を社会保険料控除として引けるため、早見表の単身240万円でも所得税は0円です。

令和8年は年金にも年末調整のような精算があります。支払者が12月の年金支払時に1年分の税額を計算し直し、引かれすぎた分を返します[国税庁 質疑応答 Q5-1]。受け取る側の手続きは要りません。

この104万円がいつまで続くかは基礎控除104万円は2027年分までで整理しています。

住民税は所得税より先に来る。非課税ラインは住む地域で3段階

住民税の基礎控除は43万円のままで、引上げの対象外です。所得税との差は61万円。だから所得税がゼロでも住民税は届きます。

住民税には「非課税限度額」という別建ての仕組みもあります。均等割の限度額は級地区分に連動するため、同じ年金額でも住む市区町村で結論が変わります。

扶養の人数1級地(東京23区)2級地(柏市)3級地(吉野ヶ里町)
0人(単身)155万円151.5万円148万円
1人211万円201.9万円192.8万円

65歳以上・年金だけで住民税が非課税になる年金収入。1級地は練馬区の式[練馬区]、2級地は柏市[柏市]、3級地は吉野ヶ里町の値[吉野ヶ里町]。合計所得から年金収入への換算は本サイトの計算。

級地に左右されるのは均等割だけです。所得割の限度額は全国一律で、単身155万円・扶養1人222万円です。

時期もずれます。住民税は前年の所得にかかるため、所得税がゼロになった翌年も住民税だけ残ることが起こります。詳しい条件は住民税非課税世帯の条件をご覧ください。

いちばん重いのは保険料。65歳以上は医療と介護の二本立て

65歳を過ぎると、医療と介護の保険料を別々に払います。医療は年齢で制度が変わります。

  • 65〜74歳:国民健康保険
  • 75歳以上:後期高齢者医療制度
  • 65歳以上は全員:介護保険料を上乗せで払う

国民健康保険料は、所得に応じた部分と1人あたりの定額部分の合計です。所得に応じた部分のもとは総所得金額等から43万円を引いた額です[練馬区]。

計算例:単身・年金180万円・65〜74歳(本サイトの試算)
  • 雑所得=180万円-110万円=70万円
  • もとになる所得=70万円-43万円=27万円
  • 国保料=医療分44,077円+支援金分16,360円+子ども分2,602円=63,039円
  • 介護保険料(本人課税・第6段階)=85,680円
  • 合計148,719円(所得税0円)

本サイトの試算。練馬区の令和8年度の率(医療分7.51%、支援金分2.80%、子ども分0.27%)と均等割額、5割軽減による。

75歳になると医療の保険料が下がることがあります。年金180万円の単身なら後期高齢者医療は54,600円[東京都後期高齢者医療広域連合]。国保より8,439円安い計算です。

介護保険料の基準額は市区町村で違います。地域差は65歳からの介護保険料は自治体で年4万円以上の差で比べました。

211万円の壁は税の壁ではなく、介護保険料の壁

年金生活には「211万円の壁」と呼ばれるラインがあります。中身は所得税ではありません。世帯全員が住民税非課税かどうかで介護保険料の段階が動きます。

練馬区の介護保険料は基準額80,040円を中心に19段階です[練馬区]。世帯非課税かどうかで段差はこうなります。

段階対象年額
第3段階世帯全員が非課税・課税年金収入等が120万円超49,680円
第4段階本人は非課税・世帯に課税者あり(同82万6,500円以下)58,440円
第6段階本人課税・合計所得120万円未満85,680円
第7段階本人課税・合計所得120万円以上210万円未満104,160円

出典:練馬区「65歳以上の方の介護保険料の決め方」[練馬区]。

夫の年金が211万円を超えると、1級地では世帯が非課税でなくなります。夫の介護保険料は第3段階から第7段階へ移り、年54,480円増えます。妻も第3段階から第4段階に上がり、8,760円増えます。

増えるのは保険料だけではありません。世帯非課税を条件にした給付や高額療養費の低い限度額からも外れます。所得税が1円もかからない年金額で、これだけの段差です。

壁を避けるために年金は減らせません。できるのは控除を漏らさず申告することです。医療費控除は住民税の判定にも効きます。

年金から引かれる4つと、その時期

年金からの天引きは特別徴収と呼ばれ、何がいつ引かれるかは制度で違います。

引かれるもの主な条件時期
所得税65歳以上は214万円超、65歳未満は164万円超。税率5.105%偶数月の支払6回。12月に精算
住民税4月1日時点で65歳以上、年金が年18万円以上仮徴収4・6・8月/本徴収10・12・翌2月
介護保険料年金が年18万円以上。65歳になった年度は天引き不可同上
国保料・後期高齢者医療保険料同じ年金からの介護保険料との合計が年金の半分以下同上

出典:総務省「公的年金からの特別徴収」[総務省]、練馬区[練馬区 後期高齢者医療の保険料]、国税庁[国税庁 No.1600]。

仮徴収は前年度の年額をもとにした概算です。10月からの本徴収で差を調整します。4月と10月に天引き額が変わるのはこのためです。

扶養親族等申告書には誤解があります。出しても出さなくても税率は5.105%のまま[日本年金機構]。変わるのは障害者控除などを差し引けるかどうかです。

手取りを守るために、今できる4つのこと

  1. 扶養親族等申告書を出す。控除がある人が出さないと、源泉徴収にも翌年の住民税にも反映されません。
  2. 非課税の配偶者の保険料は、課税される側が口座振替で払う。天引きのままだと社会保険料控除は本人にしか付きません。国保と後期高齢者医療は変えられます(介護保険料は不可)。
  3. 医療費や生命保険料があるなら確定申告をする。年金400万円以下で他の所得20万円以下なら申告は不要ですが、還付の申告はできます[国税庁 No.1600]。
  4. 確定申告が不要でも住民税の申告は要ることがある。国税庁も注記しています。要否は年金にかかる税金と確定申告で確認してください。

令和8年度の老齢基礎年金は満額で月70,608円です[日本年金機構]。自分の年金額を確かめ、早見表の近い行と見比べてください。

年金と保険料のよくある質問

所得税がゼロなのに住民税の通知が来ました。間違いではありませんか。

間違いではありません。基礎控除が所得税104万円、住民税43万円と61万円違うためです。住民税は前年の所得にかかるので時期もずれます。

令和8年12月に引かれすぎた所得税が戻ると聞きました。手続きは要りますか。

要りません。年金の支払者が12月の支払時に1年分の税額を計算し直し、差額を返します。12月に支払がなければ確定申告で精算します。

住民税が非課税になる年金額は、どこでも155万円ですか。

いいえ。65歳以上の単身で1級地は155万円、2級地は151.5万円、3級地は148万円です。均等割の限度額が生活保護法の級地区分に連動するためです。

75歳になると保険料は上がりますか。

下がることもあります。東京都で年金180万円の単身なら、国保の63,039円に対し後期高齢者医療は54,600円という試算です。

参考リンク(出典)

※金額は上記の一次情報をもとにした本サイトの試算です。実際の額は市区町村が決めます。

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公開日:2026年09月27日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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