介護保険2割負担の対象拡大|年金240万円から2割になる案と月の負担増(2026年9月部会)

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  • 公開。厚生労働省 社会保障審議会介護保険部会(第136回・2026年9月18日)資料2「持続可能性の確保(給付と負担)について」、同「介護保険制度の概要」(令和7年7月)、同「一定以上所得者の負担割合の見直しについて」(平成27年)、介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」、財務省 財政制度等審議会 財政制度分科会資料(2026年4月28日)、国税庁タックスアンサーNo.1600、札幌市の公表資料をもとに作成

介護保険サービスの自己負担が2割になる線を、今の「年金収入など280万円」から260万〜230万円まで下げる案が議論されています。2026年9月18日の社会保障審議会介護保険部会(第136回)が、2027年度からの第10期に向けて検討を再開しました。いちばん広い230万円案では、新たに2割になる人は約35万人という試算です[厚生労働省 介護保険部会 第136回 資料2]。

ただし、まだ何も決まっていません。政府の方針は「2026年度中に結論」です。要介護3で在宅サービスを月27万円使う人なら、2割になっても増えるのは月1万7,400円で、上限の案が入れば月7,000円で止まります(本サイトの試算)。まず親の「介護保険負担割合証」と年金の額を確かめてください。

結論:単身で年金240万円の人は、案によって1割のままか2割に変わる

年金収入だけで暮らす単身の65歳以上の人を、部会に示された4つの基準に当てはめました。現行の線は280万円です。

年金収入(単身)現行(280万円)260万円案250万円案240万円案230万円案
220万円1割1割1割1割1割
240万円1割1割1割2割2割
250万円1割1割2割2割2割
260万円1割2割2割2割2割
280万円2割2割2割2割2割
320万円2割2割2割2割2割
350万円3割3割3割3割3割
新たに2割になる人(試算)—約13万人約21万人約28万人約35万人

※本サイトの当てはめ。合計所得金額の基準も、資料の所得分布どおり年金収入から約120万円を引いた水準まで下がると仮定しています。人数は月7,000円の上限を設けた場合の厚生労働省の粗い試算[同資料2 22頁]。

夫婦など65歳以上が2人以上いる世帯の線は、現行346万円です。案では326万〜296万円に下がります。いずれも国の結論が出るまでは「案」にすぎません。

いまの1割・2割・3割は「本人の所得」と「世帯の年金収入等」の2段で決まる

2割かどうかは2つの条件を両方満たすかで決まります。先に本人の合計所得金額を見て、次に世帯の年金収入等を見ます[厚生労働省 介護保険制度の概要(令和7年7月)]。

負担割合本人の合計所得金額年金収入+その他の合計所得金額(単身)同(2人以上世帯)
3割220万円以上340万円以上463万円以上
2割160万円以上280万円以上346万円以上
1割上のどちらにも当たらない人(65歳以上の利用者の91.8%)
  • 合計所得金額は控除前の所得です。年金だけなら「年金収入−公的年金等控除」で、65歳以上・年金330万円以下なら控除は110万円です[国税庁 No.1600]。
  • 「2人以上世帯」は、住民票上の同じ世帯にいる65歳以上の人の合計で見ます[厚生労働省 平成27年 部会資料]。
  • 2割になるのは基準を超えた本人だけです。夫が2割でも、年金の少ない妻は1割のままです。
  • 遺族年金・障害年金は非課税なので「年金収入」に入りません[札幌市]。

2025年3月時点で、利用者約541万人のうち2割は4.3%(23万4,062人)、3割は3.9%です[同資料2 7頁]。2015年に2割を入れたとき、線は第1号被保険者の「上位20%」として引かれました。介護を使う人の中で見ると、2割の人は5%に届いていません。

部会に並んだのは260万〜230万円の4案と、2つの負担軽減策

基準額は4通りで、組み合わせる軽減策が2通りです。9月18日の資料は、2025年12月の部会で示した選択肢と試算を参考資料として並べ直し、「どう考えるか」を論点にしました[同資料2 15頁・22頁]。

案(単身/夫婦)被保険者の上位新たに2割(上限7,000円の場合)給付費の減少保険料の減少
260万円/326万円約24%約13万人約80億円約40億円
250万円/316万円約26%約21万人約120億円約60億円
240万円/306万円約28%約28万人約170億円約80億円
230万円/296万円約30%約35万人約210億円約100億円

出典:厚生労働省 介護保険部会 資料2(22頁の財政試算、19頁の所得分布)。上位の割合は令和7年4月1日現在の第1号被保険者の分布で、線の上にいる人の割合です。

軽減策の1つ目は、負担増を当分の間、月7,000円までに抑える案です。2割になっても、1割のときより月7,000円を超えて増えた分は払わなくてよい仕組みです。2つ目は、預貯金等が一定額以下なら申請で1割に戻す案です。線は単身700万円・500万円・300万円(夫婦1,700万円・1,500万円・1,300万円)の3通りが示されました。

預貯金の案では、230万円の線で700万円の基準を使うと、新たに2割になる約16万人に対し、約19万人が申請で1割に戻ると試算されています[同資料2 22頁]。通帳の写しなどを添えた自己申告で、市町村が金融機関に照会することもあります。

2割になると月いくら増えるか——上限4万4,400円で頭打ちになる

増える額は「使っているサービスの量」で決まり、多い人ほど上限で止まります。一般的な課税世帯の自己負担は、高額介護サービス費で月4万4,400円が上限だからです[厚生労働省 介護サービス情報公表システム]。

要介護3・在宅サービスを月27万円使う人(本サイトの試算)
  • 1割のとき:27万円×10%=2万7,000円
  • 2割のとき:27万円×20%=5万4,000円 → 上限4万4,400円を超えた9,600円は払い戻し → 4万4,400円(月1万7,400円増・年20万8,800円増)
  • 月7,000円の上限が入った場合:2万7,000円+7,000円=3万4,000円(年8万4,000円増)

要介護3の在宅の支給限度額は月27万480円(1単位10円換算)。地域によって1単位の単価は10円より高くなります。

利用のしかた(月)1割2割(上限4万4,400円)増える額月7,000円上限の案
要介護1・在宅10万円10,000円20,000円+10,000円17,000円(+7,000円)
在宅22万2,000円22,200円44,400円+22,200円(最大)29,200円(+7,000円)
要介護3・在宅27万円27,000円44,400円+17,400円34,000円(+7,000円)
要介護5・在宅36万円36,000円44,400円+8,400円43,000円(+7,000円)
特養・要介護5・多床室26,130円44,400円+18,270円33,130円(+7,000円)

※本サイトの試算。特養の施設サービス費は厚生労働省の目安(871単位×30日)。食費・居住費は負担割合と関係なく別にかかります。

注意したいのは、上限を超えた分があとから戻る点です。窓口では2割の全額をいったん払い、市区町村への申請で払い戻されます。初回だけ申請が要る仕組みは高額介護サービス費の解説にまとめました。

夫婦世帯は「346万円」の線——配偶者が亡くなると単身の280万円で判定し直す

夫婦の線は単身より66万円高く、世帯の人数が変わると判定も翌月から変わります[厚生労働省 平成27年 部会資料]。見落とされやすいのがこの切り替わりです。

夫の年金290万円・妻の年金40万円の夫婦(本サイトの当てはめ)
  • 夫の合計所得金額:290万円−110万円=180万円(160万円以上)
  • 世帯の年金収入等:290万円+40万円=330万円 → 346万円未満なので現行は1割
  • 296万円案・306万円案・316万円案・326万円案のどれでも330万円は線を超え、2割
  • 妻が亡くなった場合:単身で290万円 → 現行でも280万円以上なので翌月から2割

妻が受け取る遺族年金は非課税なので、線の計算に入りません。夫婦の線がどこまで下がるかで、今の1割世帯の多くが入れ替わります。65歳からの保険料の水準は介護保険料の自治体比較で、年金にかかる税と保険料の全体は年金だけで暮らす人の税金と保険料で確かめられます。

向かない読み方・注意点——決定前の数字と、住民税の申告で変わる判定

この記事の案の数字は、そのまま来年の負担にはなりません。そのうえで、今の制度でも起きる判定のずれを押さえておきます。

決まっていること・決まっていないこと
  • 決まっている:現行の基準(280万円・346万円・160万円)と高額介護サービス費の上限4万4,400円
  • 決まっていない:どの案か、軽減策を入れるか、いつから適用するか。政府の方針は「2026年度中に結論」(経済財政運営と改革の基本方針2026)で、部会は第10期が始まる2027年度の前までに結論を出すとしています
  • 財務省の財政制度等審議会は「2割負担の対象者の拡大を図るべき」と求めています[財務省 2026年4月28日]。一方、部会には利用控えで重度化を招くという慎重意見も並びました

判定に影響しないもの

  • 医療費控除・障害者控除・社会保険料控除(合計所得金額は控除前の額)
  • 遺族年金・障害年金(非課税)
  • 配偶者の少ない年金(本人の所得が160万円未満なら1割のまま)

判定を変えるもの

  • パート収入や家賃収入など年金以外の所得
  • 住民税の申告内容の修正(さかのぼって負担割合が変わる)
  • 世帯の人数の変化(転出入・死亡の翌月から)

判定は住民税の前年所得データで市町村が自動で行います。年金以外の収入を申告しておらず、あとで所得が更正されると、負担割合は直近の8月までさかのぼって変わります[厚生労働省 平成27年 部会資料]。差額はまとめて請求されます。要介護の親の障害者控除は住民税を下げますが、負担割合は変えません。控除の取り方は要介護の親は障害者控除の対象で解説しています。

負担割合証の見方——7月下旬に届き、8月1日から1年有効

割合は毎年8月に切り替わり、証の数字がその1年の負担を決めます。要介護・要支援の認定を受けた人には、1割の人も含めて全員に届きます。

  1. 届く時期を確かめる。多くの市町村が7月下旬に郵送します。有効期間は8月1日から翌年7月31日です[札幌市]。
  2. 「利用者負担の割合」欄を見る。1割・2割・3割のどれかが印字されています。ケアマネジャーと事業所にも写しを渡します。
  3. 年金の源泉徴収票と突き合わせる。1月に届く公的年金等の源泉徴収票の「支払金額」が、判定に使う年金収入です。
  4. 新しい基準が決まったら、同じ手順で当てはめ直す。預貯金の軽減策が入る場合、切り替えを10月に遅らせる案も資料に出ています[同資料2 25頁]。

施設の食費・居住費の軽減は、負担割合とは別の申請です。住民税非課税の人は介護保険の負担限度額認定もあわせて確かめてください。75歳以上の医療の窓口負担も同じく8月に判定し直されます(後期高齢者医療制度の仕組み)。

よくある質問

2割になると介護サービスの使える量は減りますか。

減りません。要介護度ごとの支給限度額は負担割合と関係なく同じです。変わるのは自己負担の割合で、一般的な課税世帯では高額介護サービス費により月4万4,400円を超えた分が払い戻されます。

まとめ

  • 介護保険の2割負担の線を「年金収入など280万円」から260万〜230万円に下げる4案を部会が検討中。2026年度中に結論
  • 230万円案なら新たに2割になる人は約35万人。夫婦の線も346万円から296万〜326万円に下がる
  • 2割になっても高額介護サービス費の上限は月4万4,400円。要介護3で在宅27万円なら月1万7,400円増
  • 負担増を月7,000円までに抑える案と、預貯金が一定額以下なら申請で1割に戻す案も並んでいる
  • まず親の介護保険負担割合証と年金の源泉徴収票で、いまの割合と年金額を確かめる

参考リンク(出典)

※案ごとの判定表と増加額は、厚生労働省の資料の基準を本サイトが当てはめた試算です。本記事は一般的な情報提供です。個別の判定は市区町村の介護保険の窓口やケアマネジャーに確認してください。

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公開日:2026年09月30日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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