介護保険の負担限度額認定|施設の食費・部屋代が月6万円下がる4段階と82.65万円の線

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この記事の更新情報

  • 公開。厚生労働省 介護保険最新情報(令和8年7月31日事務処理通知・令和8年8月改正の周知リーフレット・省令改正通知・告示第88号)、社会保障審議会介護保険部会「介護保険制度の見直しに関する意見」、介護保険法第22条、江東区の案内、国税庁 No.1125 をもとに作成

親が特別養護老人ホームに入ると、介護費とは別に食費と部屋代(居住費)がかかります。この2つを下げる仕組みが介護保険の負担限度額認定です。特養の多床室に30日入ると目安は73,800円で、認定を受ければ第1段階は9,000円、第2段階は24,600円まで下がります。段階を分ける線は、世帯全員が住民税非課税であることと、本人の年金収入等82.65万円・120万円です。申請先は市区町村で、効力は申請した月の1日にさかのぼります。

結論:4つの段階で、30日の食費・居住費はここまで下がる

特養の多床室に30日入所した場合です。第1段階と第3段階②では、ひと月に4万9,500円の差が出ます。

段階本人の年金収入等(世帯全員が住民税非課税)食費+居住費(30日)下がる額
第1段階生活保護・老齢福祉年金の受給者9,000円64,800円
第2段階82.65万円以下24,600円49,200円
第3段階①82.65万円超〜120万円以下33,300円40,500円
第3段階②120万円超58,500円15,300円
第4段階世帯に住民税の課税者がいる(目安)73,800円0円

本サイトの試算。食費の基準費用額1,545円と多床室の居住費915円、段階ごとの負担限度額を30日で掛けました[厚生労働省 リーフレット]。第4段階は施設との契約で決まります。

これは特定入所者介護サービス費という給付で、基準費用額との差額が介護保険から施設へ支払われます[厚生労働省]。対象は特養・老健・介護医療院とショートステイで、有料老人ホームの家賃は対象外です。

段階を決めるのは「世帯全員が非課税」と年金収入等

判定は2段階です。まず世帯全員が住民税非課税かを見て、次に本人の年金収入等で分けます。片方だけでは認定されません。

ここでの世帯は住民票の世帯だけではありません。配偶者は世帯を分けていても、事実婚でも判定に入ります[厚生労働省]。離婚調停中・行方不明・暴力などの場合だけ、配偶者を見ない扱いができます。

もう一つの落とし穴が年金収入等の中身です。次の3つを合計します。

  • 前年の公的年金等の収入金額(源泉徴収票の支払金額)
  • 年金以外の合計所得金額(給与所得や不動産所得など)
  • 障害年金・遺族年金などの非課税年金(平成28年8月から)[厚生労働省 告示]

非課税年金は税金の計算では所得になりません。それでもこの判定では収入に数えます。振込通知書に「遺族」「障害」と印字された年金です[江東区]。

非課税世帯の条件は住民税非課税世帯の条件、年金生活の収入ラインは年金だけで暮らす人の税金と保険料で整理しました。

預貯金等の上限——生命保険や自動車は数えない

非課税世帯でも、預貯金等が多いと認定されません。上限は段階ごとに違います。

段階預貯金等の上限(本人)
第1段階(老齢福祉年金)1,000万円以下
第2段階650万円以下
第3段階①550万円以下
第3段階②500万円以下

出典:厚生労働省の周知リーフレット[厚生労働省 リーフレット]。配偶者がいれば各1,000万円を加えた額。生活保護受給者に要件はなく、第2号被保険者(40〜64歳)は一律1,000万円以下です[江東区]。

預貯金等に数えるもの

  • 普通預金・定期預金
  • 株式・国債・社債などの有価証券
  • 投資信託、時価が分かる金・銀
  • 手元の現金(自己申告)

預貯金等に数えないもの

  • 生命保険
  • 自動車
  • 時価が分かりにくい腕時計・宝石
  • 絵画・骨董品・家財

住宅ローンなどの負債は合計から差し引けます[厚生労働省]。逆に、申請の直前に多額の引き出しがあると使途の確認を求められます[江東区]。

2026年8月に上がったのは第3段階①と②だけ

令和8(2026)年8月1日から食費と居住費が改定されました。第1段階と第2段階は1円も上がっていません。

区分(日額)2026年7月まで2026年8月から差
食費の基準費用額1,445円1,545円+100円
食費 第3段階①650円680円+30円
食費 第3段階②1,360円1,420円+60円
居住費 第3段階② 多床室(特養等)430円530円+100円

出典:厚生労働省のリーフレット(新旧併記表)[厚生労働省 リーフレット]と告示第88号[厚生労働省 告示]。第3段階②の居住費は従来型個室880→980円、ユニット型個室1,370→1,470円と、部屋を問わず日額100円の上乗せです。

30日に直すと、特養の多床室の第3段階②で月4,800円、第3段階①で月900円の負担増です(本サイトの試算)。

同じ日に、第2段階と第3段階①を分ける線も80.9万円から82.65万円へ動きました。令和7年の老齢基礎年金(満額)が80.9万円を超えたためです[厚生労働省]。年金が上がると制度の境目も追いかけて上がります。

2027年度からは第3段階が4つに分かれる予定

介護保険部会の意見では、第3段階①を100万円、②を140万円で区分する方向が示されています[厚生労働省 介護保険部会]。実施は令和9(2027)年度からが基本ですが、具体的な金額はまだ公表されていません。老健・介護医療院の多床室の室料負担は結論が出ていません。

申請先は市区町村。効力は申請した月の1日に戻る

この制度は申請しないと受けられません。市区町村の側で要件を先に確認できない、と通知に書かれています[厚生労働省]。入所が決まったら施設の手続きと並行して出します。

  1. 介護保険負担限度額認定申請書をもらう。預貯金等の額と非課税年金の種別を書く欄がある。
  2. 預金通帳の写しを用意する。記帳は原則として申請日の直近2か月以内。
  3. 金融機関への照会に関する同意書を添える。省令で定められた必須の添付書類。
  4. 届いた認定証を施設に提示する。提示して初めて請求額が下がる。

有効期間は8月1日から翌年7月31日までで、毎年の更新が必要です。9月以降の申請なら、申請した月の1日から翌年7月末までです[江東区]。入所が続いて預貯金等に変動がなければ、2年目以降の通帳は省略できます[厚生労働省]。

預貯金等を少なく書くと、返還額と合わせて最大3倍

虚偽の申告で給付を受けると、市区町村は支給額の200%以下の加算金を徴収できます(介護保険法第22条第1項)[介護保険法]。一方で、不正の意図がない書き間違いは対象になりません[厚生労働省]。迷う資産は隠さず窓口に相談するのが安全です。

課税世帯でも第3段階②になれる「特例減額措置」

世帯に課税者がいると第4段階で、原則として軽減はありません。例外が特例減額措置です。夫婦の片方が施設に入り、残った家計が苦しくなる場合の救済です[厚生労働省]。次の6つをすべて満たすと、課税世帯のまま第3段階②の限度額が使えます。

  • 世帯の構成員が2人以上(配偶者が別世帯なら1を加える)
  • 介護保険施設に入所し、第4段階の食費・居住費を負担
  • 収入合計から1年分の利用者負担・食費・居住費を引いた残りが82.65万円以下
  • 現金・預貯金・有価証券などの合計が450万円以下
  • 居住用の家屋など以外に活用できる資産がない
  • 介護保険料を滞納していない

この措置も申請が前提で、市区町村から声はかかりません。有効期限には「退所するまで」が付きます。

医療費控除は「下がったあとの実負担」で計算する

施設の費用は医療費控除の対象です。使うのは、認定で下がったあとに実際に払った額。介護保険から施設へ支払われた給付分は入りません。

施設医療費控除の対象
特別養護老人ホーム介護費・食費・居住費の自己負担額の2分の1
介護老人保健施設同じく全額
介護医療院同じく全額

出典:国税庁 タックスアンサー[国税庁 No.1125]。日常生活費や特別なサービスの費用は対象外。領収証には控除対象額が書かれています。

試算:特養・多床室・第3段階②・30日(本サイトの試算)

食費1,420円×30日=42,600円、居住費530円×30日=15,900円で合計58,500円。介護費の自己負担(1割)を仮に27,000円とすると合計85,500円。特養は2分の1が対象なので、医療費控除に使えるのは42,750円です。

高額介護サービス費の払戻しを受けたら、その額を医療費から差し引きます。特養の施設サービス費だけへの払戻しは2分の1です[国税庁 No.1125]。なお高額介護サービス費に食費・居住費は含まれません[厚生労働省]。

医療と介護を1年分まとめる高額介護合算療養費や、要介護の親の障害者控除も確認しておきましょう。

まずやることは2つ。施設の請求書で食費と居住費の額を確かめ、窓口で自分が何段階かを聞くことです。

よくある質問(負担限度額認定)

入所した後に申請した場合、前の月の分はどうなりますか。

効力は申請した月の1日までしかさかのぼりません。ただし通帳の準備に時間がかかったなど、やむを得ないと市区町村が認めれば、施行規則第83条の8でさらにさかのぼれます。

まとめ

  • 施設の食費と居住費を下げる制度。特養の多床室30日で目安73,800円が、第1段階は9,000円
  • 段階は世帯全員の住民税非課税と、本人の年金収入等82.65万円・120万円の線で決まる
  • 年金収入等には遺族年金などの非課税年金も入る。預貯金等の上限は第2段階で650万円以下
  • 申請先は市区町村で、効力は申請した月の1日から。有効期間は8月1日から翌年7月31日で毎年更新
  • 2026年8月に上がったのは第3段階①と②だけ。医療費控除は認定で下がったあとの実負担で計算

参考リンク(出典)

※本記事の試算は、公表された基準費用額と負担限度額を30日で掛けたものです。老健・介護医療院の多床室は室料を徴収する施設かどうかで居住費が変わるため、対象かは施設に確認してください。個別の判断は市区町村の窓口・税務署・税理士へ。

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公開日:2026年10月03日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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