住宅ローン控除ガイド|2026年改正後の限度額と初年度の確定申告手順

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  • 令和8年度税制改正を反映(入居期限を令和12年末まで延長・省エネ既存住宅の限度額引上げと13年化・子育て世帯上乗せの既存住宅適用・床面積40㎡要件)。国税庁 No.1211-1/国土交通省 住宅ローン減税ページ

「税額控除」の仕組み

住宅ローン控除は税額控除です。iDeCoや生命保険料控除のような「所得控除」とは異なり、計算後の税額そのものから直接差し引くため、節税効果が確実で大きいのが特徴です。

iDeCo・生命保険料控除 など
所得控除
課税所得 を 減らす → 税額が間接的に減少
節税額 = 控除額 × 税率
税率が低いと効果が小さくなる
住宅ローン控除・配当控除 など
税額控除
算出した 税額 から 直接 差し引く
節税額 = 控除額そのまま
税率に関係なく同額が減る
住宅ローン控除の計算式
年間控除額 = min(年末ローン残高、借入限度額)× 0.7%

対象:令和4年1月1日〜令和12年(2030年)12月31日までに入居した人(令和8年度改正で5年延長)

控除期間:新築・買取再販は13年間。中古住宅は10年間ですが、令和8年以降に入居する省エネ性能の高い中古住宅は13年間に延びました

所得税で引ききれない分は翌年度の住民税からも控除(課税総所得金額等の5%・最高97,500円/年)

所得要件:合計所得金額 2,000万円以下[国税庁 No.1211-1]

2022年の改正:控除率が1%→0.7%に変わった理由

かつての控除率1%は、超低金利時代にローン金利を下回り「ローンを組むほど得をする」逆ザヤ状態が問題視されました。2022年の改正で0.7%に引き下げられた一方、控除期間が10年→13年に延長(新築の場合)されています。

住宅種別ごとの借入限度額

控除の上限額は住宅の種類・省エネ性能・入居した年・世帯によって異なります。令和8年度税制改正で、次の4点が変わりました[国土交通省]。

令和8年度税制改正で変わった点

① 入居期限を令和12年(2030年)12月31日まで5年延長。
② 省エネ性能の高い中古住宅の借入限度額を引き上げ、控除期間を13年に。子育て世帯・若者夫婦世帯の上乗せも中古に広げた。
③ 床面積の要件を新築・中古とも40㎡以上に緩和(合計所得1,000万円超の人と、子育て世帯の上乗せを使う人は50㎡以上)。
④ 新築の省エネ基準適合住宅は、令和8・9年入居で限度額が2,000万円に下がり、令和10年以降に建築確認を受けたものは対象外に。

新築住宅(令和8〜12年入居・控除期間13年)

「子育て世帯」は、19歳未満の扶養親族がいる人、または本人か配偶者が40歳未満の夫婦です(国税庁の用語では「特例対象個人」。入居した年の12月31日時点で判定)。

最高ランク
認定長期優良住宅
認定低炭素住宅
4,500万円
子育て世帯:5,000万円
年間控除の上限:31.5万円(子育て世帯35万円)
高性能省エネ
ZEH水準
省エネ住宅
3,500万円
子育て世帯:4,500万円
年間控除の上限:24.5万円(子育て世帯31.5万円)
省エネ基準適合
省エネ基準
適合住宅
2,000万円
子育て世帯:3,000万円(令和8・9年入居)
年間控除の上限:14万円(子育て世帯21万円)
省エネ基準非適合
その他の住宅
(一般住宅)
0円(対象外)
※令和6年以降の入居は原則対象外

新築:令和7年までの入居との比較

住宅の種類令和6・7年入居令和8〜12年入居
認定長期優良・認定低炭素住宅4,500万円(子育て世帯5,000万円)4,500万円(子育て世帯5,000万円)
ZEH水準省エネ住宅3,500万円(子育て世帯4,500万円)3,500万円(子育て世帯4,500万円)
省エネ基準適合住宅3,000万円(子育て世帯4,000万円)令和8・9年:2,000万円(子育て世帯3,000万円)
令和10年以降:原則0円
その他の住宅原則0円原則0円

※ 省エネ基準適合住宅で令和10年以降に入居する場合も、令和9年12月31日までに建築確認を受けたもの、または令和10年6月30日までに建築されたものは、限度額2,000万円・10年間の控除が受けられます。

※ その他の住宅でも、令和5年12月31日までに建築確認を受けたもの、または令和6年6月30日までに建築されたものは、限度額2,000万円・10年間の控除が受けられます[国税庁 No.1211-1]。

※ 買取再販住宅(不動産会社が改修して売る中古)は、認定住宅・ZEH水準の限度額が新築と同じです。省エネ基準適合住宅は令和8〜12年入居で2,000万円(子育て世帯3,000万円)・13年、その他の住宅は2,000万円・10年です[国税庁 No.1211-2]。

中古住宅(既存住宅)

住宅の種類令和7年までの入居(10年)令和8〜12年入居控除期間(令和8年以降)
認定長期優良・認定低炭素住宅3,000万円3,500万円(子育て世帯4,500万円)13年
ZEH水準省エネ住宅3,000万円3,500万円(子育て世帯4,500万円)13年
省エネ基準適合住宅3,000万円2,000万円(子育て世帯3,000万円)13年
その他の住宅(一般住宅)2,000万円2,000万円10年

※ 年間控除の上限は「借入限度額×0.7%」。中古の認定・ZEH水準は24.5万円(子育て世帯31.5万円)、省エネ基準適合は14万円(同21万円)、その他は14万円です[国税庁 No.1211-3]。

※ 床面積40㎡以上50㎡未満の住宅に令和8年以降入居した場合、子育て世帯の上乗せは使えません。

新築は省エネ性能が事実上の条件。令和10年からは立地も

令和6年(2024年)1月以降に入居する新築の「その他住宅」(省エネ基準を満たさない住宅)は借入限度額が0円で、住宅ローン控除が受けられません。さらに令和10年以降は、令和10年以降に建築確認を受けた省エネ基準適合住宅も対象外になります。令和10年以降に入居する土砂災害特別警戒区域などの「災害レッドゾーン」の新築住宅も対象外です(建替え・中古・リフォームは対象)。新築を買う・建てるときは、省エネ性能の証明書と立地を必ず確認してください[国土交通省]。

節税シミュレーション

ローン残高の0.7%が毎年税額から差し引かれます。残高は毎年減少するため、初年度が最も控除額が大きくなります。

年末残高別・年間控除額の目安

年末ローン残高 年間控除額(×0.7%) 13年間の上限 上限がこの額になる住宅の例(令和8年以降入居)
2,000万円140,000円182万円新築の省エネ基準適合住宅(令和8・9年)・中古の省エネ基準適合住宅
3,000万円210,000円273万円上の2つの子育て世帯
3,500万円245,000円318.5万円新築のZEH水準・中古の認定住宅/ZEH水準
4,500万円315,000円409.5万円新築の認定住宅・新築ZEH水準の子育て世帯・中古の認定住宅/ZEH水準の子育て世帯
5,000万円(上限)350,000円455万円新築の認定住宅の子育て世帯
借入限度額別の住宅ローン控除 13年間の上限額
182万2000万273万3000万318.5万3500万409.5万4500万455万5000万
出典:国税庁 No.1211-1・No.1211-3(控除率0.7%×13年。年末残高が13年間ずっと限度額以上の場合の上限。令和8〜12年入居)

この図表はPNGで保存でき、出典明記とリンクで自由に利用できます。

※ 残高は毎年返済で減少するため、残高が限度額を下回った年からは実際の控除額が上限より少なくなります。上記は簡易計算の目安です。

計算例:令和8年入居・新築の省エネ基準適合住宅・3,500万円借入(35年ローン)
借入額3,500万円
1年目の年末残高(概算)約3,430万円
1年目の控除額(3,430万 × 0.7%)240,100円
適用される借入限度額2,000万円(子育て世帯は3,000万円)
実際の控除額(min適用後)140,000円(子育て世帯は210,000円)
13年間控除累計(目安)約182万円(子育て世帯は約273万円まで)
同じ3,500万円でもZEH水準なら限度額3,500万円で初年度は240,100円。年末残高が借入限度額を下回った年からは、実残高×0.7%が控除額になります。

所得税が少ない場合は住民税からも控除

年間控除額が所得税額を超えた場合、引ききれない分は翌年度の住民税から控除されます。上限は所得税の課税総所得金額等の5%で、最高97,500円/年です(令和4年以降の入居)。所得税の手続きをしていれば、市区町村への申告はいりません[総務省]。

計算例:所得税10万円・控除額21万円・課税総所得金額等300万円の場合
住宅ローン控除額210,000円
所得税から控除100,000円(所得税額全額)
住民税の上限(300万×5%=15万円と97,500円の小さい方)97,500円
残り110,000円のうち住民税から控除97,500円
合計控除額(使い切れない額)197,500円(12,500円は使えない)
所得税が少ない人は、限度額いっぱいまで借りても控除を使い切れないことがあります。ふるさと納税と一緒に使うときの注意は住宅ローン控除とふるさと納税の併用で試算しています。

初年度:確定申告の手順

住宅を取得して最初の年だけは、会社員でも確定申告が必須です。入居した翌年の2月16日〜3月15日に税務署またはe-Taxで申告します(還付を受けるだけの申告は翌年1月1日から提出できます)。

1
必要書類を揃える
入居年の年末頃から書類を収集します。以下がすべて揃っていることを確認。
・源泉徴収票(勤務先から。申告書の作成に使う)
・住宅ローンの年末残高証明書(金融機関から)※調書方式の金融機関なら不要。代わりに金融機関へ「住宅ローン控除の適用申請書」を出す
・登記事項証明書(床面積と取得日を確かめる)
・売買契約書または建築工事請負契約書のコピー
・省エネ性能の証明書または認定通知書(認定住宅等のみ)
・補助金を受けた場合は、その額がわかる書類
2
確定申告書・計算明細書を作成する
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」(e-Tax)を使うと自動計算されるためミスが少ない。「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を作成し、申告書に控除額を転記します。
3
税務署に提出する
e-Tax(オンライン)・郵送・税務署窓口のいずれかで提出。e-Taxで申告すると添付書類の一部が省略できます。
4
2年目以降の「控除証明書」を受け取る
初年度の申告をすると、税務署から2年目以降の年末調整に使う控除証明書が届きます。調書方式の場合、書面なら入居2年目の11月下旬ごろに2年目以降の分がまとめて郵送され、電子交付を選ぶと毎年11月中旬ごろe-Taxに届きます。紛失しないよう大切に保管してください。

2年目以降:年末調整の手順(会社員)

2年目以降は、会社の年末調整で住宅ローン控除を申告できます。書類を会社に出すだけで手続きが完了します。

毎年の手続き(2年目〜)

書類入手先時期
年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書(兼 申告書) 税務署から届いたもの(その年の分を1枚使う) 手元に保管しているもの
住宅ローンの年末残高証明書 ローンを組んだ金融機関から郵送。調書方式の金融機関から借りている人は不要 11月下旬頃に届く
年末調整での記入箇所
「住宅借入金等特別控除申告書」に年末残高を記入

証明書または控除証明書に記載の年末残高を転記します。残高が載っていない年は、返済計画表で年末残高を確かめて書きます。

※ 複数の金融機関からローンを借りている場合は、すべての残高を合算して記入します。

調書方式での書き方や、残高が載っていない年の確かめ方は住宅ローン控除2年目の年末調整で手順ごとにまとめています。

控除証明書を紛失した場合

税務署から届いた控除証明書を紛失した場合は、所轄の税務署に「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を出して再交付を受けられます(e-Taxでも可)。時間がかかるため、年末調整の締切前に早めに手続きをしてください。

自営業・確定申告が必要な会社員は毎年申告が必要

個人事業主・フリーランスは2年目以降も毎年確定申告で住宅ローン控除を申告します。副業収入がある会社員や、ふるさと納税の確定申告を行う会社員も、年末調整ではなく確定申告でまとめて申告できます(その方が手続きが1回で済む)。

注意点

床面積・所得の要件を確認
住宅の床面積は50㎡以上が原則。40㎡以上50㎡未満でも合計所得1,000万円以下の年は対象です(令和8年以降は新築・中古とも。ただし子育て世帯の上乗せは使えない)。本人の合計所得が2,000万円を超えた年は控除が適用されない。
繰り上げ返済で残高が減ると控除額も減る
住宅ローン控除は「年末残高」に基づくため、繰り上げ返済で残高を減らすと翌年以降の控除額も下がる。返済期間が当初から通算10年未満になると控除自体が受けられなくなるので、期間短縮型は特に注意。
転勤・転居で適用外になる場合がある
住宅ローン控除は「居住用」であることが条件。転勤等で一時的に転居した場合は、その期間は控除が受けられない(再入居後に再適用の手続きが必要)。
増築・リフォームにも控除あり
バリアフリー改修・省エネ改修・耐震改修などのリフォームに対しても、別途「住宅特定改修特別税額控除」が設けられている。控除率・上限は工事の種類により異なる。

よくある質問

令和8年度の改正で何が変わった?

入居期限が令和12年(2030年)12月31日まで5年延びました。省エネ性能の高い中古住宅は借入限度額が上がり、控除期間が13年になり、子育て世帯の上乗せも受けられます。床面積の要件は新築・中古とも40㎡以上に緩和されました(合計所得1,000万円以下の場合)。

控除率と期間は?

年末ローン残高(借入限度額まで)×0.7%が控除額です。控除期間は新築等13年、中古10年で、令和8年以降に入居する省エネ性能の高い中古は13年です。所得税で引ききれない分は、翌年度の住民税から課税総所得金額等の5%・最高97,500円まで控除されます。合計所得2,000万円以下が要件です。

子育て世帯は優遇がある?

19歳未満の扶養親族がいる、または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯は、借入限度額が上乗せされます。令和8年以降の入居では、新築の認定住宅5,000万円・ZEH水準4,500万円・省エネ基準適合3,000万円、中古の認定住宅・ZEH水準4,500万円・省エネ基準適合3,000万円です。40㎡以上50㎡未満の住宅では上乗せは使えません。

初年度と2年目以降で手続きが違う?

初年度は確定申告が必要です。会社員は2年目以降、税務署から届く控除証明書(兼 申告書)を勤務先に出せば年末調整で完結します。調書方式の金融機関から借りている人は、年末残高証明書の添付はいりません。

ふるさと納税と併用できる?

併用できます。ふるさと納税の上限を決める「住民税所得割の2割」は住宅ローン控除を引く前の所得割で計算するため、上限は下がりません。ただし初年度など確定申告をする年はワンストップ特例が使えないので、寄附金控除も申告書に書きます(併用の試算)。

参照元・公式情報

本記事は以下の公式情報をもとに作成しています。制度は改正されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

※ 本記事の内容は情報提供を目的としており、税務・法務アドバイスではありません。借入限度額・子育て世帯の上乗せ等は入居した年で変わります。個別の判断は税務署・税理士にご相談ください。

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最終更新:2026年09月28日 / 公開日:2026年05月27日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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本記事は税制・各種制度に関する一般的な情報提供を目的としたもので、税務上の助言ではありません。記載内容は公開時点の情報に基づき正確性に努めていますが、制度は改正される場合があります。実際のお手続き・個別のご判断は、国税庁・お住まいの税務署・税理士等の専門家にご確認ください。運営者情報・免責事項