産休・育休中の年末調整|夫の配偶者控除に入れる年収と自分の還付の見方

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この記事の更新情報

  • 公開。国税庁タックスアンサー(No.1191・No.1195・No.1191のQ&A)、日本年金機構「産前産後休業・育児休業等期間中の保険料免除」をもとに作成
  • 扶養親族・配偶者の所得要件を令和8年分の62万円に更新(国税庁 No.1180)

産休・育休に入った年の年末調整は、会社の人事向けの解説は多いのに、当事者が「自分はどうなるのか」を判断できる情報が少ない分野です。押さえる点は3つ。育児休業給付金と出産手当金は非課税で所得に入らないこと、その年の給与が少なければ配偶者の年末調整で配偶者控除に入れること、そして自分の年末調整は休業中でも会社が行い、休業前の給与から引かれた所得税が戻ることです。年収別にどの控除が使えるか、いくら戻るかを国税庁と年金機構の資料で整理します。

結論:給付金は所得に入らない。給与136万円以下なら配偶者控除

その年の本人の給与収入(休業前+復帰後)配偶者側で使える控除控除額
136万円以下配偶者控除38万円
136万円超〜169万円以下配偶者特別控除(満額)38万円
169万円超〜207万円以下配偶者特別控除(段階的に減る)36万〜3万円
207万円超なし0円

※配偶者(控除を受ける側)の合計所得が900万円以下の場合。育児休業給付金・出産手当金・出産育児一時金は非課税のため、上の給与収入に含めない。出典:国税庁 No.1191・No.1195[国税庁 No.1195]

例えば4月に産休に入った月給25万円の人なら、1〜3月の給与75万円がその年の給与収入です。休業中に受け取った出産手当金や育児休業給付金がいくらあっても所得には入らないので、配偶者控除の対象になります。

なぜ給付金は所得に入らないのか

国税庁は、育児休業給付金は雇用保険法の失業等給付に当たり同法12条により課税されない、出産手当金は健康保険法62条により課税されないとして、どちらも配偶者控除の判定に使う合計所得金額に含まれないと説明しています[国税庁 No.1191 Q&A]。出産育児一時金(50万円)も同じく非課税です。

受け取るお金課税配偶者控除の判定
出産手当金(健康保険)非課税含めない
出産育児一時金(50万円)非課税含めない
育児休業給付金・出生後休業支援給付金(雇用保険)非課税含めない
育児時短就業給付金(雇用保険)非課税含めない
会社が独自に払う「育休手当」「産休中の給与」課税(給与)含める
児童手当非課税含めない

注意したいのは最後から2番目です。会社が上乗せで払う手当は給与なので課税され、金額によっては配偶者控除の対象から外れます。給付金の金額と受け取り方は出産・育児でもらえるお金まとめを参照してください。

自分の年末調整:休業中でも会社が行い、税金が戻る

産休・育休中も会社に在籍しているので、年末調整は勤務先が行います。12月に働いていなくても対象です。休業前の給与からは「1年間同じ給与が続く」前提で所得税が源泉徴収されているため、年収が減った年は納めすぎになっていて還付が出るのが普通です。

月給25万円で4月から産休・育休に入った場合(扶養なし)

1〜3月の給与:75万円。源泉徴収された所得税は月約5,000円 × 3か月 = 約1万5,000円
年末調整で計算し直すと:給与所得控除74万円と基礎控除104万円で課税所得はゼロ → 年税額 0円
還付:約1万5,000円(12月の給与や翌年1月の振込で戻る)

年末調整のために会社へ出す書類は通常どおりです。「扶養控除等申告書」は自分の分を出し(子を自分の扶養にする場合はここに書く)、「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書」は自分の所得を書きます。生命保険料控除や地震保険料控除の証明書も忘れずに提出してください。給与がなくても控除は使えます。書類の全体は会社員向け年末調整の手引きを参照してください。

会社が年末調整をしてくれない場合

年の途中で退職した場合や、勤務先が休業者の年末調整を省いた場合は、翌年に自分で確定申告(還付申告)をします。給与の源泉徴収票があれば作成コーナーで10分ほどで終わり、翌年1月から5年間いつでも出せます。

社会保険料は免除。年末調整の控除額はゼロになるが年金は減らない

産前産後休業と育児休業(子が3歳になるまで)の期間は、健康保険料と厚生年金保険料が本人負担・会社負担とも免除されます[日本年金機構]。免除された月は保険料を納めた期間として扱われるので、将来の年金額は減りません。

  • 年末調整の「社会保険料控除」は、実際に給与から引かれた保険料の合計です。休業中は引かれていないので、その期間分の控除はゼロになります。控除がないぶん税金が増えるわけではなく、単に払っていないだけです。
  • 2022年10月からは、月末に休業していなくても同じ月に14日以上の育休を取ればその月の保険料が免除されます。賞与の保険料は1か月を超える休業のときだけ免除です。
  • 復帰後の3か月の給与が下がった場合、「養育期間の標準報酬月額の特例」を届け出ると、保険料は下がった給与で計算しつつ年金額は元の給与で計算されます。会社経由で年金事務所に出す書類なので、復帰時に人事へ確認してください。

免除の詳細は出産・育児でもらえるお金まとめ、子どもをどちらの扶養に付けるかは子どもはどちらの扶養に入れるを参照してください。

配偶者側の年末調整:申告書に妻(夫)の所得見積額を書く

配偶者控除・配偶者特別控除は、控除を受ける側(夫)の年末調整で「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」に妻の所得の見積額を書いて受けます。書くのは給与収入から給与所得控除を引いた「所得」で、収入そのものではありません。

育休の年の妻の収入と、夫が受けられる控除
配偶者控除 38万円 配偶者特別控除38万円 配偶者特別控除36万→3万円 控除なし 0136万円169万円207万円 例:4月から産休(月給25万円)=給与75万円 横軸は「その年の給与収入」。育児休業給付金・出産手当金・一時金は含めない
出典:国税庁 No.1191・No.1195(令和8年分)をもとに作成。控除を受ける側の所得900万円以下の場合

夫の年収600万円(所得税率20%)で、妻が配偶者控除の対象になった場合

所得税:38万円 × 20% = 7万6,000円の減税
住民税(翌年度):33万円 × 10% = 3万3,000円の減税
合計 約11万円。妻の年収が169万円以下なら配偶者特別控除でも同じ額です。

夫の年末調整に間に合わなかった場合や、妻の所得の見積額を間違えた場合は、夫が翌年に確定申告をすれば直せます。配偶者控除の要件は配偶者控除ガイドを参照してください。

翌年の住民税は「前年の給与」で来る

住民税は前年の所得に対して翌年6月から課税されます。産休に入る前の年にフルタイムで働いていれば、育休中の翌年6月からその給与に基づく住民税の請求が来ます。給与から天引きできないため、会社が休業中も立て替えて後で精算するか、普通徴収(納付書)に切り替えるかのどちらかです。会社に確認しておくと、まとまった納付書が届いて驚くことがありません。

逆に、育休で給与が少なかった年の翌年は住民税がほぼゼロになります。この年は「住民税非課税」に近くなり、保育料の階層や各種の給付の判定に効くことがあります。住民税の年度のずれは住民税の仕組みと計算を参照してください。

まとめ

  • 育児休業給付金・出産手当金・出産育児一時金は非課税で、配偶者控除の判定に含めない
  • その年の給与収入が136万円以下なら配偶者控除38万円、169万円以下なら配偶者特別控除38万円
  • 休業中でも年末調整は会社が行い、休業前の給与から引かれた所得税が戻るのが普通
  • 産休・育休中の健康保険料と厚生年金保険料は免除。将来の年金額は減らない
  • 翌年6月からは前年の給与に基づく住民税が来る。天引きできないので精算方法を会社に確認

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参考リンク(出典)

本記事は次の資料をもとに作成しています。控除の金額は令和8年分(2026年の年末調整)の税制によります。令和7年分は配偶者控除の上限が給与123万円(所得58万円)でした。

※本記事は一般的な情報提供であり、税務アドバイスではありません。計算例は概算で、扶養や各種控除の有無で変わります。個別の判断は勤務先・税務署・税理士にご確認ください。

公開日:2026年10月08日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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