大阪市の事業者向け補助金・融資2026|設備投資は年1.25%以下

直近16人が訪問しました
大阪市・事業者向け

大阪市の事業者向け補助金・融資2026——強いのは「融資」と「省エネ」

大阪市の事業者支援は、東京23区のような小口の現金補助が並ぶタイプではありません。低金利の制度融資と省エネ・創エネ設備への補助が二本柱で、そこに大阪府の融資・賃上げ支援が重なる構造です。政令指定都市なので、府と市の両方の制度が使えるのが強みでもあり、どちらの窓口に行けばいいのか分かりにくい原因でもあります。この記事では国・府・市の3層で整理し、金額の実額と受け取ったあとの経理・税務までまとめます。

2億円設備投資応援融資の限度額
1.25%以下同・金利(府制度からさらに0.2%減)
8万円/kWソーラーカーポートの補助
3,500万円開業・スタートアップ応援資金

まず全体像——国・府・市の3層で考える

大阪市の事業者が使える支援の3層構造
国持続化補助金・ものづくり補助金・省エネ投資促進支援事業市の省エネ設備補助は「国の交付決定を受けていること」が前提になっている府開業・スタートアップ応援資金/チャレンジ応援資金/賃上げ系の補助金創業と賃上げは府の層。市に同種の制度は無い市経営支援特別融資/設備投資応援融資/省エネ・太陽光の補助市は「府の融資に金利を上乗せで下げる」役回り。現金補助は設備系に集中
出典:大阪市・大阪府・中小企業庁の各公表資料(2026年9月時点)をもとに作成
大阪で迷いやすいポイント

創業するときの資金は府の「開業・スタートアップ応援資金」、設備投資は市の「設備投資応援融資」——というのが基本の切り分けです。市の設備投資応援融資は府の制度融資から金利をさらに0.2%引き下げる建て付けなので、大阪市内に事業所があるなら市の窓口を経由したほうが必ず有利になります。

制度融資——市の2本と府のメニュー

大阪市の制度融資

制度限度額金利・保証料要件
設備投資応援融資2億円
(無担保枠8,000万円)
年1.25%以下(固定)
保証料 年0.7%
市内に事務所があり市民税の納税実績がある中小企業。基盤強化のための設備投資(一般型)または経営力向上計画・先端設備等導入計画などの認定取得者(計画認定型)
経営支援特別融資2,000万円年1.65%(固定)
保証料 年0.5〜2.2%
市内に事業所があり同一事業をおおむね1年以上継続、市民税の納税実績あり、直近3か月または6か月の売上高が前年同期比で減少

0.2%の差はいくらか:設備資金3,000万円を7年で借りる場合

大阪府のチャレンジ応援資金(仮に年1.45%):利息はおおむね159万円前後
大阪市の設備投資応援融資(年1.25%):利息はおおむね137万円前後

→ 差は22万円ほど。手続きは市の窓口を1回経由するだけなので、市内事業者が使わない理由はありません。

大阪府の制度融資(市の制度と併せて検討する)

資金限度額金利・保証料対象
開業・スタートアップ応援資金3,500万円年1.65%
女性・若者・シニア・UIJターンは1.45%
保証料 1.0〜1.2%
開業前〜開業後5年未満。自己資金は事業開始に必要な資金の10分の1以上
同・地域支援ネットワーク型3,500万円年1.45%(優遇時1.25%)
保証料 0.5〜0.7%
開業前〜開業後1年未満。融資後3年間、金融機関や商工会議所のフォローアップを受けることが条件
チャレンジ応援資金2億円
(無担保枠8,000万円)
おおむね年1.65〜1.85%経営革新・設備投資・事業承継・デジタル化・脱炭素などに取り組む中小企業。目的別に細目がある
小規模企業サポート資金2,000万円—従業員20人以下(商業・サービス業の一部は5人以下)
経営安定サポート資金2億円—取引先倒産・業況悪化業種など。市長のセーフティネット認定が前提
2026年4月から固定金利が一律0.25%上がっている

大阪府の制度融資は、令和8年4月1日から固定金利メニューが一律で0.25%引き上げられました。2025年以前の記事や資料の金利をそのまま信じないでください。設備投資を先送りしていた事業者にとっては、待つほど不利になる局面が続いています。

保証料が半分になる「賃上げ」の道

大阪府の設備投資応援融資促進事業(令和8年5月11日開始)は、チャレンジ応援資金の設備投資応援型などを使い、あわせて賃上げに取り組む中小企業に対して信用保証料の2分の1相当を補助します。設備投資と賃上げをセットで計画しているなら、保証料の負担が実質半分になります。

省エネ・太陽光——大阪市でいちばん金額が大きい枠

大阪市の設備系補助の上限額(令和8年度)
ソーラーカーポート建材一体型(窓)蓄電池の併設建材一体型(壁)省エネ設備の更新省エネ診断2,000万円1,250万円1,000万円750万円300万円5万円
出典:大阪市「令和8年度太陽光発電導入補助金」「中小企業の省エネ・省CO2加速化支援事業補助金」をもとに作成
制度補助率・上限要点
太陽光発電導入補助金
令和8年7月8日〜10月30日
8万円/kW
(上限2,000万円)
ソーラーカーポート。駐車場を持つ事業者に効く
経費の1/5
(上限1,250万円)
建材一体型(窓)
経費の1/4
(上限750万円)
建材一体型(壁)
2.5万円/kWh
(上限1,000万円)
蓄電池の併設。住宅用10kW未満は3.5万円/kWh
省エネ・省CO2加速化支援(診断)自己負担の10/10
(上限5万円)
省エネ診断の受診費用が実質無料になる。受付は令和8年8月10日開始
同(設備更新)経費の1/3
(上限300万円)
国の省エネ投資促進支援事業(設備単位型・ユーティリティ設備)の交付決定を受けていることが前提。市単独では申請できない
太陽光補助金も「国の間接補助を受けていること」が条件

大阪市の太陽光発電導入補助金は、当該年度に国の間接補助を受けていることが要件です。つまり順番は「国に申請して採択される→市に申請する」であり、市だけに出しても通りません。省エネ設備更新の補助も同じ構造です。国の公募スケジュールから逆算して動く必要があるので、思い立ってから間に合わせるのは難しい制度です。

デジタル化・新製品開発・賃上げの補助金(令和8年度の実績)

制度補助率・上限令和8年度の状況
大阪市 現場スマート化補助金(第二弾)1/2・上限300万円令和8年8月19日〜9月30日。先着順で予算到達次第終了。採択予定は約3件
大阪市 新製品・サービス開発支援補助金1/2・上限500万円受付終了(令和8年4月15日〜6月24日)。採択約5件
大阪府 利益率向上・賃上げ支援事業補助金2/3・上限500万円受付終了(〜令和8年6月26日)。応募2,508件に対し採択737件。給与総額2.0%以上の引き上げ宣言が条件
大阪府 業務改善・賃上げ促進補助金1/4・上限200万円事前登録は令和8年9月1日〜30日で終了。登録済みなら交付申請は12月1日〜令和9年3月10日。最低賃金より2%超の引き上げが条件
大阪府 展示商談会出展支援2/3・10万〜200万円予算到達で早期終了(令和8年8月12日)。対象展示会は令和9年2月8日開催分まで
大阪府 外国出願支援1/2・上限300万円受付終了(〜令和8年6月19日)。特許150万円・意匠・商標60万円など
大阪府 スキルアップ支援金運輸・建設・デジタル分野 3/4(上限なし)
その他 1/2・上限20万円
令和9年3月10日まで受付中。従業員本人が申請する外部研修費の支援
倍率3.4倍という数字をどう読むか

府の利益率向上・賃上げ支援事業補助金は2,508件の応募に対して採択737件でした。競争率は約3.4倍。逆に言えば3割が通っている制度で、宝くじではありません。書類の作り込みで十分に勝負になる水準なので、令和9年度に同種の公募が出たら、事前に事業計画を用意しておく価値があります。

大阪の補助金は「年度前半に集中して、早く閉まる」

上の表を見ると、金額の大きい補助金の多くが4月〜8月で受付を終えています。展示商談会の補助金は予算到達で締切前に早期終了しました。東京23区のように秋・冬に第2期・第3期が回ってくる制度は少なく、年度が始まる前に何に申請するか決めておくのが大阪での基本戦略になります。

創業するなら——証明書とインキュベーション

大阪市の特定創業支援等事業は、大阪産業創造館の「創業チャレンジゼミ」「あきない虎の穴」、大阪デザイン振興プラザ、大阪商工会議所などが実施する創業スクールを原則4回以上・通算1か月以上受講すると証明書が交付されます(発行まで約10日)[大阪市]。

  • 会社設立の登録免許税が半減(株式会社は0.7%→0.35%、合同会社は最低6万円→3万円)
  • 無担保・第三者保証人不要の創業関連保証の特例
  • 日本政策金融公庫の創業融資の金利優遇
  • 国の持続化補助金で加点される

2024年9月2日以降は、すでに法人代表者として事業を始めていても創業後5年未満なら対象に広がっています。「もう登記してしまったから使えない」と諦めていた人は確認する価値があります。開業手続きの全体像は個人事業主の開業ガイド、法人にするかの判断は法人化のタイミングをどうぞ。

相談窓口は大阪産業創造館の経営相談室(06-6264-9838・平日9時〜17時30分)で、専門家派遣も無料です。事業承継は大阪商工会議所内の大阪府事業承継・引継ぎ支援センター(06-6944-6257)が窓口になります。

お金が出ない支援も見落とさない

  • セーフティネット保証の市長認定(1〜8号)——一般保証とは別枠の保証が受けられます。府の経営安定サポート資金を使う前提条件にもなるので、業況が悪化しているならまずここから。オンラインで事前予約できます。
  • 新事業分野開拓事業者認定(ベンチャー調達制度)——独自性のある新製品を作る中小企業を市長が認定し、市が随意契約で優先的に調達します。補助金ではなく「売上をつくる」支援なので、税務上も単なる売上として扱えます。
  • 価格転嫁支援——府が専門家を無料派遣して価格交渉を伴走支援します(令和8年6月19日から)。原材料費・人件費の上昇分を転嫁できていない事業者向け。

【最重要】補助金を受け取ったあとの経理と税金

ここが本題です。大阪市の支援は設備補助と融資に寄っているので、税務上のポイントも「圧縮記帳」と「利子・保証料の扱い」に集中します。

① 法人税・所得税——太陽光と省エネ設備は圧縮記帳の本命

補助金は受け取った事業年度の益金(個人事業主は総収入金額)に算入されるのが原則です。ただし固定資産の取得に充てた分は圧縮記帳で課税を繰り延べられます(法人税法42〜44条)。太陽光発電導入補助金や省エネ設備更新の補助は、まさにこの典型例です。

圧縮記帳を使うとどうなるか:カーポート型太陽光で1,000万円の補助を受けた場合

使わない場合:1,000万円がその年度の益金。法人税等の実効税率を約30%とするとその年に約300万円の税負担が乗る(設備の減価償却は法定耐用年数にわたって少しずつ)。

使う場合:帳簿価額を1,000万円圧縮し、その年の益金を相殺。その年の税負担はゼロだが、以後の減価償却費が小さくなるので税負担は将来へ移る。

→ 免税になるのではなく「後払いにする」制度です。それでも、補助金の入金と納税の時期がずれて資金繰りが苦しくなる事故を防げます。

要件と手続き

①返還を要しないことが確定している②その補助金で固定資産を取得・改良した③申告書に所定の記載をする——が要件です。返還不要の確定が翌期にずれる場合は「特別勘定」で処理します。個人事業主は「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」の添付が必須で、これを忘れると適用が受けられません[国税庁 No.2202]。

② 消費税——不課税だが「返還」が起きることがある

補助金の受取は消費税の課税対象外(不課税)です。ところが補助対象経費に含まれる消費税を仕入税額控除すると、その分を返還するよう求められる場合があります。目安は補助金額の10/110。

対象は一般課税(本則課税)の課税事業者だけで、簡易課税を選んでいる事業者と免税事業者は対象外です。1,000万円の補助なら約91万円が動く話なので、交付要綱に「消費税等仕入控除税額の報告」の定めがあるかを最初に確認してください。自分がどちらか分からない場合は簡易課税と本則課税の違いをご覧ください。

③ 融資・保証料補助・研修費の扱い

  • 借入金は収入ではない——設備投資応援融資で2億円借りても課税されません。支払利息は損金・必要経費です。
  • 信用保証料の補助——府の設備投資応援融資促進事業のように保証料の半分が補助される場合、補助額は収入計上します。一方で保証料そのものは保証期間に対応させて費用配分(前払費用)するのが原則なので、収入と費用の計上時期がずれます。決算時に必ず確認してください。
  • スキルアップ支援金は「従業員本人」が受け取る——会社への補助金ではないため、会社の益金にはなりません。ただし会社が研修費を負担したうえで従業員が支援金を受け取る形にすると整理が複雑になるので、どちらが払うかを先に決めておきます。
  • ベンチャー調達制度による売上——これは補助金ではなく通常の売上(課税取引)です。圧縮記帳の対象にはなりません。

年度の動き方——申請カレンダー

  1. 年度が始まる前(1月〜3月):大阪は前半に大型公募が集中するので、この時期に「何に出すか」を決めて事業計画の骨子を作る。
  2. 4月〜6月:府の賃上げ系補助金、市の新製品開発支援、外国出願支援。ここを逃すと1年待ちになる枠が多い。
  3. 7月〜10月:市の太陽光発電導入補助金(10月30日まで)、省エネ診断・設備更新。国の交付決定が前提なので国の公募から逆算する。
  4. 9月:府の業務改善・賃上げ促進補助金の事前登録(12月からの交付申請の前提)。
  5. 通年:市の制度融資2本、府の各種資金、特定創業支援等事業、セーフティネット認定、大阪産業創造館の無料相談。
  6. 決算期:圧縮記帳、消費税の仕入控除税額の報告、保証料補助の計上を確認する。

今日やること

  1. 設備投資を考えているなら、市の設備投資応援融資(1.25%以下)で見積もりを取る。府の制度より0.2%安く、金額の差は数十万円になる
  2. 省エネ・太陽光の補助を狙うなら、まず国の公募スケジュールを確認する(市の補助は国の交付決定が前提)
  3. 大阪産業創造館の経営相談室(06-6264-9838)に予約を入れる。相談も専門家派遣も無料で、創業証明書の入口にもなる

よくある質問

大阪市と大阪府、どちらの制度を使えばよいですか?

創業資金は府の「開業・スタートアップ応援資金」(限度額3,500万円)、設備投資は市の「設備投資応援融資」(限度額2億円・年1.25%以下)が基本です。市の設備投資応援融資は府の制度融資からさらに0.2%金利を引き下げる建て付けなので、大阪市内に事業所があるなら市を経由したほうが有利になります。

大阪府の制度融資の金利が以前と違うのはなぜですか?

令和8年4月1日から固定金利メニューが一律で0.25%引き上げられたためです。2025年以前の資料に載っている金利はそのまま使えません。申請前に必ず最新の令和8年度版の制度融資案内で確認してください。

太陽光発電の補助金は市に申請するだけでよいですか?

いいえ。大阪市の太陽光発電導入補助金は、当該年度に国の間接補助を受けていることが要件です。省エネ設備更新の補助も国の省エネ投資促進支援事業の交付決定が前提です。国に申請して採択されてから市に申請する順番になるため、国の公募スケジュールから逆算して動く必要があります。

大阪の補助金はいつ申請すればよいですか?

年度の前半です。令和8年度は府の賃上げ支援が6月26日、市の新製品開発支援が6月24日、府の展示商談会支援は予算到達で8月12日に早期終了しました。東京23区のように秋以降に第2期が回ってくる制度は少ないため、年度が始まる前に申請先を決めて準備しておくのが現実的です。

補助金をもらうと税金はかかりますか?

原則として受け取った年度の益金(個人事業主は総収入金額)に算入され課税されます。太陽光や省エネ設備のように固定資産を取得した場合は、返還不要が確定していることなどを条件に圧縮記帳で課税を繰り延べられます。免税ではなく後払いにする制度で、個人事業主は確定申告書への明細書添付が必須です。

融資を受けたお金にも税金はかかりますか?

かかりません。借入金は収入ではないので益金・総収入金額には入らず、支払利息は損金・必要経費になります。ただし信用保証料の補助を受けた場合、その補助額は収入計上が必要です。保証料自体は保証期間に対応させて費用配分するのが原則なので、計上時期のずれに注意してください。

参考リンク(出典)

本記事は次の公表資料を確認して作成しています。金利・予算残・受付状況は年度途中でも変わるため、申請前に必ず最新の公式情報をご確認ください。

※本記事は一般的な情報提供であり、税務・行政手続の個別判断を保証するものではありません。圧縮記帳の可否や消費税の返還額は、補助金の交付要綱と自社の課税方式で変わります。具体的な処理は顧問税理士または税務署にご確認ください。

コメントみんなの意見

コメントの閲覧・投稿は会員限定です(無料・Googleアカウントでログイン)。

コメントを読み込んでいます…

この記事にコメントする

0 / 200

投稿された内容はこのページで公開されます。URL・メールアドレス・電話番号を含む投稿、誹謗中傷や差別的な表現は自動的に受け付けません。個別の税務相談にはお答えできません(税務署または税理士へご相談ください)。削除のご依頼はお問い合わせから承ります。取り扱いはプライバシーポリシーをご覧ください。

この記事は役に立ちましたか?

「はい」が多い記事から、優先的に内容を更新・深掘りしていきます。

公開日:2026年09月12日 / 執筆:みんなの税金 編集部

この記事は、出典の明記と本ページへのリンクがあれば、ニュースメディア・ブログ・生成AIの回答などで自由に引用・転載いただけます(事前連絡は不要)。詳しくは転載・引用についてをご覧ください。

本記事は税制・各種制度に関する一般的な情報提供を目的としたもので、税務上の助言ではありません。記載内容は公開時点の情報に基づき正確性に努めていますが、制度は改正される場合があります。実際のお手続き・個別のご判断は、国税庁・お住まいの税務署・税理士等の専門家にご確認ください。運営者情報・免責事項