残業代の正しい計算|割増率25%・35%・50%の早見表と、残業代1万円の手取りが7,900円になる仕組み

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  • 公開。厚生労働省「法定労働時間と割増賃金について」「確かめよう労働条件」「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引上げ」「固定残業代の適切な表示」、大阪労働局「割増賃金」をもとに作成

残業代は「1時間あたりの賃金 × 割増率 × 時間」で決まりますが、1時間あたりの賃金に何を含めるかと、割増率が25%・35%・50%のどれかで額が変わります。月給30万円(年間所定労働時間1,920時間)なら時給換算1,875円、法定時間外の1時間は2,344円、深夜なら2,813円、法定休日なら2,531円です。そして残業代1万円が振り込まれるわけではなく、所得税・住民税・雇用保険料が引かれて手取りは約7,900円(税率10%の人)。4〜6月の残業なら翌年度の社会保険料まで上がります。労働基準法37条の割増率、除外できる7つの手当、固定残業代の条件、管理職でも深夜割増は出ることまで、厚生労働省と労働局の資料で整理します。

結論:月給30万円の残業1時間は2,344円。割増率の早見表

働き方割増率(法定の最低)倍率月給30万円・時給換算1,875円の場合
所定時間を超えたが1日8時間以内(法定内残業)なし1.001,875円
法定時間外(1日8時間・週40時間超)25%以上1.252,344円
法定時間外が月60時間を超えた部分50%以上1.502,813円
深夜(22時〜5時)の時間外25%+25%=50%以上1.502,813円
60時間超かつ深夜50%+25%=75%以上1.753,281円
法定休日(週1日の休日)の労働35%以上1.352,531円
法定休日の深夜35%+25%=60%以上1.603,000円

厚生労働省は、時間外労働は2割5分以上、月60時間を超えた分は5割以上、深夜は2割5分以上、法定休日は3割5分以上の割増賃金を払わなければならないとしています[厚生労働省]。月60時間超の5割は、2023年4月から中小企業にも適用されています[厚生労働省 リーフレット]。パート・アルバイト・契約社員・派遣社員にも同じ割増率が適用されます。

法定休日に時間外割増は重ならない

法定休日には「法定労働時間」の概念がないため、休日に10時間働いても35%止まりで、8時間を超えた分に25%が上乗せされることはありません。深夜が重なって初めて60%です。逆に、会社が定める所定休日(週休2日の片方など)の労働は「休日労働」ではなく通常の時間外扱いで、週40時間を超えていれば25%、月60時間のカウントにも入ります。

1時間あたりの賃金の出し方:月給 ÷ 月平均所定労働時間。手当は7つ以外すべて入れる

月給30万円(基本給25万円+役職手当3万円+一律の住宅手当2万円)、年間所定労働時間1,920時間の場合

月平均所定労働時間 = 1,920時間 ÷ 12 = 160時間

1時間あたりの賃金 = 30万円 ÷ 160時間 = 1,875円(通勤手当1万円は除外)

法定時間外1時間 = 1,875円 × 1.25 = 2,344円(50銭以上切上げ)

月20時間の残業なら 2,344円 × 20 = 4万6,880円。深夜4時間を含めば 2,344円 × 16 + 2,813円 × 4 = 4万8,756円

月給制では「月によって定められた賃金をその月の所定労働時間数で割る」のが原則で、月ごとに所定労働時間が違う会社は「1年間における1か月平均所定労働時間数」で割ります[大阪労働局]。年間の所定労働時間は就業規則の年間カレンダーで分かります。所定が1日7時間45分なら年間およそ1,900時間前後です。

計算の基礎から除外できる手当は次の7つだけで、厚生労働省は「例示ではなく限定的に列挙されている」と明記しています[厚生労働省 確かめよう労働条件]。

除外できる7つ(名称ではなく実質で判断)

  • 家族手当(扶養人数に応じて払うもの)
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当(家賃や住宅ローン額に応じて払うもの)
  • 臨時に支払われた賃金(結婚手当など)
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

基礎に入れなければならないもの

  • 基本給・役職手当・資格手当・職務手当
  • 全員一律の「住宅手当」「家族手当」(住宅費や扶養に応じていない定額は除外できない)
  • 精皆勤手当・営業手当・地域手当
  • 基本給を「基本給+職務手当」に分けて職務手当を除く操作は不可(大阪労働局の回答は「できません」)

残業代1万円の手取りは約7,900円。4〜6月なら翌年度の保険料も上がる

残業代には所得税・住民税・雇用保険料がかかります。健康保険料と厚生年金保険料は「標準報酬月額」の等級で決まるため、残業した月に直接は増えませんが、4〜6月に支払われた残業代は9月からの等級に反映されます。

所得税率の区分(課税所得)引かれるもの残業代1万円の手取り
5%(課税所得195万円以下・年収およそ350万円まで)所得税5.1%+住民税10%+雇用保険0.5%約8,440円
10%(課税所得330万円以下・年収およそ550万円まで)所得税10.2%+住民税10%+雇用保険0.5%約7,930円
20%(課税所得695万円以下・年収およそ1,000万円まで)所得税20.4%+住民税10%+雇用保険0.5%約6,910円

※所得税は復興特別所得税込み。毎月の天引きは源泉徴収税額表で行われるので月ごとの額はこの通りではなく、年末調整で年間の税率に落ち着きます。

4〜6月に月5万円の残業代があると、月給30万円の人の標準報酬月額は30万円から36万円に上がり、翌年8月まで月8,514円・年約10万円の保険料増になります。残業代15万円に対して10万円の保険料が翌年度にかかる計算で、この期間だけは手取りベースで見ると残業の実質的な取り分が大きく減ります(4〜6月の残業で社会保険料が1年上がる)。ただし払った保険料は将来の年金と傷病手当金に反映され、税金の計算では社会保険料控除になります。

固定残業代(みなし残業):超えた分は必ず追加で払われる

「月30時間分の固定残業代5万円を含む」という給与は合法ですが、次の条件を満たす必要があります[厚生労働省][厚生労働省 求人での明示]。

  1. 基本給と固定残業代が区別できること。求人票・雇用契約書・就業規則に「固定残業代を除いた基本給の額」「何時間分でいくらか」が書かれている。
  2. 固定の時間を超えた分は追加で払うこと。30時間分の契約で40時間働けば、10時間分の割増賃金が別に支払われる。最高裁(医療法人康心会事件・2017年7月7日)が確認した原則。
  3. 固定残業代の額が法定の計算を下回らないこと。基本給25万円・160時間なら30時間分は25万円÷160×1.25×30=5万8,594円が最低で、5万円ではその時点で不足。

「年俸制だから残業代はない」も誤りで、年俸に割増賃金を含むことが契約で明らかで、その部分が区別でき、法定額以上である場合だけ違法にならないというのが大阪労働局の説明です。固定残業代の時間数が長い求人は、基本給で割った時給が最低賃金を下回っていないかも確認してください。

管理職は残業代なし? 深夜割増と有給は「管理監督者」にも出る

労働基準法41条の「管理監督者」には労働時間・休憩・休日の規定が適用されず、時間外・休日の割増賃金は出ません。ただし厚生労働省は、年次有給休暇・育児介護休暇・深夜割増賃金の規定は適用除外にならないと明記しています[厚生労働省]。課長になって残業代が消えても、22時以降の勤務には25%の深夜割増が必要です。

そもそも「管理監督者」は肩書きではなく実態で判断され、①経営に関する決定に参画し労務管理の指揮監督権限がある、②出退勤に裁量がある、③地位にふさわしい賃金上の処遇がある、の3つがそろわなければ該当しません。店長(日本マクドナルド事件・2008年)、営業課長(育英舎事件・2002年)、年俸1,250万円の役職者(2011年)でも否定された裁判例があります。

残業代を計算し直すときの3点セット

①就業規則の年間所定労働時間、②雇用契約書の手当の内訳(どれが一律か)、③タイムカードや勤怠記録の写し。この3つがあれば、上の式で自分の残業代を検算できます。賃金の請求権の時効は3年で、未払いがあれば労働基準監督署への相談や労働審判で遡って請求できます。

残業で増えた分の税金がどう精算されるかは給与明細の見方、賞与の扱いはボーナスの手取りで整理しています。

よくある質問

残業時間の端数は切り捨てられますか?

日ごとの労働時間は1分単位で計算し、15分未満の切り捨てなどは認められません。1か月の合計で1時間未満の端数が出たときだけ、30分未満切り捨て・30分以上切り上げが認められています。

振替休日と代休で残業代は変わりますか?

事前に休日を入れ替える振替休日なら休日労働にならず、35%の割増は不要です。事後に休みを与える代休は休日労働のままなので35%が必要です。振替でも、その週の労働時間が40時間を超えれば超えた分に25%がかかります。

まとめ

  • 残業代は1時間あたりの賃金×割増率×時間。月給30万円・時給換算1,875円なら法定時間外の1時間は2,344円
  • 割増率は時間外25%・月60時間超50%・深夜25%・法定休日35%。パートや派遣にも同じ率が適用
  • 計算の基礎から除外できる手当は家族手当・通勤手当・住宅手当など7つだけ。全員一律の手当は除外できない
  • 残業代1万円の手取りは税率10%の人で約7,930円。4〜6月の残業は翌年度の社会保険料も上げる
  • 固定残業代は超えた分を必ず追加で払う。管理監督者でも深夜割増と有給は適用される

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参考リンク(出典)

本記事は次の資料をもとに作成しています。会社の就業規則や労働協約でこれより有利な率が定められていることがあります。

※本記事は一般的な情報提供です。手取りの試算は税率区分ごとの目安で、実際の天引き額は源泉徴収税額表と年末調整で決まります。

公開日:2026年10月25日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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