ふるさと納税2026年10月改正|消える返礼品と自治体に残る52.5%

直近199人が訪問しました

この記事の更新情報

  • 公開。総務省「ふるさと納税の指定基準の見直し等」と市町村税課の資料(令和7年6月17日・令和8年3月24日)、令和6年度の受入実績をもとに作成

最終更新:2026年9月19日/総務省「ふるさと納税の指定基準の見直し等」および同省自治税務局市町村税課の資料(令和7年6月17日・令和8年3月24日)をもとに作成しています。金額は令和6年度の受入実績(総務省)によります。

2026年10月1日から

ふるさと納税は、寄付する側の手続きは何も変わりません。変わるのは自治体側のルールです。返礼品として認められる範囲が狭くなり、寄付額のうち自治体が使える割合の下限が決められ、募集にかけた費用の支払先が公表されます。結果として選べる返礼品は確実に減ります。ねらっている品があるなら、9月中に確かめておく価値があります。

10月1日から変わる3つのこと

総務省がふるさと納税の対象となる自治体を指定する期間は、毎年10月1日から翌年9月30日までの1年です。2026年10月からの指定(令和8年指定)で、次の3点が変わります。

1「地場産品」と認める基準が厳しくなる

製造・加工品の返礼品は、これまで「区域内で主要な工程を行い、相応の付加価値が生じている」ことが要件でした。改正後は「区域内での製造等によって価値の過半が生じている」ことを製造者が証明し、自治体が寄付の募集を始める日までに、その証明の内容を一覧で公表する必要があります。付加価値の割合は価格に基づく算出を原則とすると明確化されました。

総務省の資料では、企画立案と販売だけを区域内で行い、製造工程はすべて海外という電化製品について、「区域内の工程日数や工程の重要度を勘案すれば過半」と説明されていた例が、疑義のあるケースとして挙げられています。

2「広報目的」のグッズが絞られる

区域外で製造されたものでも、自治体の広報目的のキャラクターグッズ・オリジナルグッズであれば返礼品にできる例外があります。実際には市町村名やロゴを印字しただけの飲食料品・アウトドア用品が、広報に使われた実態にかかわらず認められる状態になっていました(総務省の資料には、自治体名入りのテントやビール缶が例として載っています)。

改正後は、①自治体独自の返礼品であることが形状や名称から明白 ②直近1年間に自治体が広報の目的で自ら調達し、配布または販売した実績がある ③指定期間中にも配布・販売する計画がある ④返礼品として提供する数量が、その配布・販売の実績数量を超えない——の4つをすべて満たす必要があります。

3自治体に残る割合の下限が決まる

これがいちばん影響の大きい変更です。寄付額のうち自治体が事業に使える財源の割合(寄附金活用可能額)を60%以上とする基準が設けられ、2026年10月からの指定より段階的に適用されます。初年度は52.5%、以降55%、57.5%、60%と上がっていきます。

返礼品の上限3割は変わりません。つまり削られるのは、送付・決済の費用と、ポータルサイト事業者へ支払う手数料、事務費です。あわせて寄付金の使途の公表も求められます。

もう一つ、この秋から始まったことがあります。自治体は、募集費用のうち「1つの支払先あたり100万円以上」のものについて、支払先の名称・所在地・支払額・支払目的を一覧で公表することになりました。令和7年度分から適用で、2026年9月に公表されます。応援している自治体が、集めた寄付をどこにいくら払っているかを、寄付する側が直接確認できるようになったということです。

寄付1万円は、どこへ行っているのか

なぜ自治体に残る割合を法令で縛る必要があったのか。令和6年度の実績を見ると分かります。受入額は1兆2,728億円でした。

令和6年度の受入額 1兆2,728億円の内訳 25.2% 8.0% 13.2% 53.6% 返礼品 3,208億円 送付・広報・決済 1,017億円 事務費等 1,676億円(うちポータル手数料 1,656億円) 自治体に残る財源 6,826億円 2026年10月の指定からは、この部分を52.5%以上にすることが基準に(最終的に60%以上)
令和6年度ふるさと納税受入実績(総務省資料をもとに作成)
5,901億円令和6年度の募集費用
(令和元年度は2,275億円)
1,656億円うちポータルサイト事業者へ
支払った額(受入額の約13%)
52.5%2026年10月の指定から
自治体に残すべき割合の下限

寄付の原資は税金です。制度の趣旨は「税の使い道を自分の意思で決める」ことですが、実際には集めた1兆2,728億円のうち5,901億円が募集費用に消え、そのうち1,656億円は自治体の区域外にあるポータルサイト事業者に流れていました。募集費用は令和元年度の2,275億円から6年で2.6倍に膨らんでいます。令和8年度税制改正大綱がこの13%という数字を名指しし、「できる限り縮減していく必要がある」と書いたのは、この推移を踏まえてのことです。

数字を確かめる手段は、この秋から寄付する側にも開かれました。上で触れた100万円以上の支払先の公表です。応援している自治体のサイトで「ふるさと納税 募集費用」を探せば、どの事業者にいくら払っているかが見られます。返礼品の魅力だけでなく、その自治体がどれだけ寄付を地元に残しているかで選ぶ、という寄付の仕方が現実的になりました。

消える可能性がある返礼品のタイプ

個別の品目がどうなるかは自治体の申し出と総務省の確認によりますが、基準の変更から見て影響を受けやすいのは次のようなものです。

  • 自治体名やロゴを印字しただけの、区域外で製造された飲食料品・日用品・アウトドア用品。広報目的基準の4要件(実績・計画・数量の上限)を満たせるかが問われます。実際に自治体が広報で配ったり売ったりしているゆるキャラのぬいぐるみなどは、従来どおり残ります。
  • 企画と販売だけが区域内で、製造は区域外・海外という製品。付加価値の算出が価格ベースになるため、「工程の重要度」といった説明では通らなくなります。
  • 海外から輸入したものを区域内で保管・熟成しただけの品。総務省の資料には、6万円で輸入したワインを12万円で納品し(一般販売価格は8万円)、保管によって6万円の付加価値が生じたと説明していた例が挙げられています。改正後は一般販売価格も併記して公表することになり、合理的な理由なく一般販売価格より高額で調達しないよう通知される予定です。

基準に外れた自治体は、指定そのものを取り消されることがあります。令和元年6月の指定制度の施行以降、これまでに9団体が取り消しを受けました。理由は返礼割合の超過、地場産品基準への違反、募集費用が5割を超えたことなど。取り消された自治体への寄付は、ふるさと納税の対象外(=控除が受けられない)になります。基準の厳格化は、寄付する側にとってもこのリスクの話です。

9月中にやっておくこと

駆け込みといっても、あわてて上限まで寄付する必要はありません。自分の控除上限を超えた分は、ただの寄付になります(それ自体は悪いことではありませんが、実質2,000円にはなりません)。やることは3つです。

1ねらっている返礼品があるか確認する

とくに、区域外で作られた雑貨やグッズ、加工品。10月以降も残る保証はありません。いつも申し込んでいる定番があれば、掲載が続くかを確かめておきます。

2今年の控除上限を試算する

2026年分の収入で計算します。今年は基礎控除と給与所得控除が引き上げられる年なので、課税所得が下がるぶん上限も変わります。年末に近づいてからのほうが年収は確定しますが、目安は今の時点でも出せます。計算の仕組みはふるさと納税完全ガイドに。

3ワンストップ特例を使うか決めておく

寄付先が5自治体以内で確定申告をしないなら、ワンストップ特例の申請書を各自治体へ翌年1月10日必着で出します。医療費控除などで確定申告をする予定があるなら、特例は無効になるので確定申告でまとめます。

ポイント還元はすでに終わっています。2025年10月から、ポータルサイトが寄付者にポイントを付与する募集は禁止されました。ただしクレジットカードや決済アプリなど決済側のポイントは今も付きます。この線引きと、ポイント廃止後のサイトの選び方はふるさと納税2026 ポイント廃止後の賢い選び方にまとめています。

2027年の寄付からは、高所得者の控除に上限がつく

令和8年度税制改正で、住民税の特例控除額に193万円(給与収入1億円相当)の定額上限が設けられました。適用は令和9年(2027年)の寄付分からです。寄付額そのものに上限はなく、上限を超えた場合も基本分の控除は受けられます。

給与収入1億円の人が控除上限いっぱいの438万円を寄付したときの特例控除額がちょうど193万円です。年収2,000万円の人の特例控除額は32万円、5,000万円でも93万円ですから、この上限に当たる人はごく限られます。大多数の読者には関係のない改正です。

今日やること

  1. ふるさと納税サイトで、ねらっている返礼品が今も掲載されているかを確認する。区域外製造の雑貨・グッズ・加工品はとくに。
  2. 2026年分の控除上限を、今の年収見込みで試算しておく。上限を超えた分は実質2,000円になりません。
  3. 応援している自治体のサイトで「募集費用」の公表ページを探してみる。集めた寄付のうち、どこにいくら払っているかが分かります。
  4. ワンストップ特例を使うなら、寄付先を5自治体以内に収める段取りを決めておく。

手取りを増やす具体策は手取りアップ・アクションリストにまとめています。

よくある質問

10月1日から、寄付の手続きや控除の計算は変わりますか。

変わりません。実質2,000円の負担で寄付先を選べる仕組み、控除上限の計算、ワンストップ特例の要件(5自治体以内・翌年1月10日必着)はそのままです。変わるのは自治体側が満たすべき基準で、寄付する側への影響は「選べる返礼品が減る」という形で出ます。

返礼品の還元率3割はさらに下がりますか。

返礼品の調達費用を寄付額の3割以下とする基準は、地方税法に規定されたもので今回は変わりません。今回決まったのは、寄付額のうち自治体が事業に使える割合を最終的に60%以上にするという基準で、2026年10月の指定では52.5%からの段階適用です。削られるのは主に送付・決済の費用とポータルサイトへの手数料、事務費です。

9月中に駆け込んだほうが得ですか。

控除の金額という意味では、9月でも12月でも同じです(同じ年の寄付なら同じ年分の控除になります)。急ぐ理由があるとすれば、ほしい返礼品が10月以降も掲載される保証がないという一点だけです。控除上限を超えて寄付しても実質2,000円にはならないので、上限の試算を先に済ませてください。

自治体が指定を取り消されたら、すでにした寄付はどうなりますか。

指定の効力が生じる日より前に行った寄付については、その時点の指定に基づいて扱われます。取り消し後に行った寄付はふるさと納税の対象外となり、特例控除が受けられません。指定制度の施行以降、これまでに9団体が取り消しを受け、一部はその後復帰しています。寄付の前に、その自治体が現在指定を受けているかを総務省のポータルサイトで確認できます。

参考リンク(出典)

本記事は2026年9月19日時点の公表資料に基づく一般的な情報提供です。返礼品の取り扱いは自治体ごとに異なり、掲載の継続を保証するものではありません。控除額の個別の判定は、お住まいの市区町村または税務署にご確認ください。

コメントみんなの意見

コメントの閲覧・投稿は会員限定です(無料・Googleアカウントでログイン)。

コメントを読み込んでいます…

この記事にコメントする

0 / 200

投稿された内容はこのページで公開されます。URL・メールアドレス・電話番号を含む投稿、誹謗中傷や差別的な表現は自動的に受け付けません。個別の税務相談にはお答えできません(税務署または税理士へご相談ください)。削除のご依頼はお問い合わせから承ります。取り扱いはプライバシーポリシーをご覧ください。

この記事は役に立ちましたか?

「はい」が多い記事から、優先的に内容を更新・深掘りしていきます。

公開日:2026年09月21日 / 執筆:みんなの税金 編集部

この記事は、出典の明記と本ページへのリンクがあれば、ニュースメディア・ブログ・生成AIの回答などで自由に引用・転載いただけます(事前連絡は不要)。詳しくは転載・引用についてをご覧ください。

本記事は税制・各種制度に関する一般的な情報提供を目的としたもので、税務上の助言ではありません。記載内容は公開時点の情報に基づき正確性に努めていますが、制度は改正される場合があります。実際のお手続き・個別のご判断は、国税庁・お住まいの税務署・税理士等の専門家にご確認ください。運営者情報・免責事項