この記事の更新情報
- 施行(2026年7月1日)後の内容に全面改稿。経過措置の条件(契約日と出国日)、非課税の範囲、観光庁 令和8年度予算の数字を一次情報(財務省・国税庁Q&A・観光庁)で差し替え
日本から出国するときにかかる国際観光旅客税は、すでに1回3,000円です[国税庁 No.7195]。2026年7月1日の出国分から、1,000円の3倍になりました。税額は航空券・乗船券の代金に上乗せされ、航空会社や船会社が国に納めます。旧税率の1,000円が残るのは、7月1日より前に契約し、そのときに出国日まで決めていた券だけです[国税庁 旅客税Q&A 問19]。オープンチケットや回数券は対象外で、7月1日以後に出国日を変えた券も3,000円になります。2歳未満の子どもと、入国後24時間以内に出国する乗継客は非課税です。予約済みの券があるなら、旧税率が使えるかどうかを航空会社に確認してください。
結論:出国1回3,000円、旧税率が残る券はごく一部
| 項目 | 今の取り扱い |
|---|---|
| 税額(2026年7月1日以後の出国) | 出国1回につき3,000円 |
| 税額(2026年6月30日までの出国) | 出国1回につき1,000円 |
| 根拠 | 国際観光旅客税法と令和8年度改正法 附則22条 |
| 1,000円のままになる券 | 7月1日より前に契約し、かつ7月1日より前に出国日を定めた券 |
| 3,000円になる券 | オープンチケット・回数券/7月1日以後に出国日を変更した券/約款で運賃とは別に旅客税を徴収する定めがある券 |
| 払い方 | 航空券・乗船券の代金に上乗せ。航空会社・船会社が特別徴収して納付 |
| かからない人 | 2歳未満、入国後24時間以内の乗継客など10通り |
出典:国税庁 タックスアンサー No.7195[国税庁]。経過措置は国税庁「国際観光旅客税に関するQ&A」問19・問20[国税庁]。納付は税関「国際観光旅客税」[税関]。
引き上げはもう終わった話です。これから買う航空券は、いつ出国しても3,000円が入っています。読者が今できるのは、値上げを避けることではなく、手元の予約の税率と非課税の条件を確かめることだけです。
3倍になったのは2026年7月1日の出国分から
国際観光旅客税は、船舶または航空機で日本から出国するときに、1回あたり定額でかかる国税です。2019年1月7日以後の出国から課税が始まりました[国税庁 旅客税の特設ページ]。観光・出張・帰省・留学と目的を問わず、国籍も問わずかかります。導入以来はじめての税率改定が、今回の3,000円への引き上げでした[財務省 令和8年度大綱]。
出国税は航空券・乗船券の代金に上乗せして徴収されます。航空会社・船会社が特別徴収義務者となり、出国した月の翌々月末日までに国へ納めます[税関]。運賃と別に「国際観光旅客税」と書かれていない券も多く、3倍になったことに気づかないまま負担している人がほとんどです。プライベートジェットなど券代に上乗せできない場合だけ、本人が税関へ直接納めます[国税庁 No.7195]。
経過措置は「契約日」と「出国日」がそろって初めて効く
旧税率の1,000円が残る条件は、よく誤解されています。「6月30日までに買った券なら1,000円」ではありません。7月1日より前に運送契約を結び、その時点で出国日まで決まっていた券に限られます[国税庁 旅客税Q&A 問19]。さらに、約款で運賃とは別に旅客税を徴収する定めがある場合は、経過措置そのものが使えません。
1,000円のままになる券
- 2026年6月30日までに発券し、出国日も同日までに確定していた券
- その券のまま、出国日を変えずに搭乗・乗船した
- 約款で旅客税を運賃と別建てにしていない航空会社・船会社の券
3,000円になる券
- 契約時に出国日を決めていないオープンチケット・回数券
- 7月1日以後に出国日を変更した券(7月3日発を7月4日発に変えた場合など)
- 約款で運賃とは別に旅客税を徴収する定めがある券
- 7月1日以後に買ったすべての券
出典:国税庁「国際観光旅客税に関するQ&A」問20(令和8年4月改訂)[国税庁]
出国日を変えた時点で新税率になる
ここは「なることがある」ではなく「なる」と読む部分です。国税庁は、7月1日以後に出国日を変更した場合を新税率の適用例として挙げています。旧税率で押さえた券の日程を1日ずらしただけでも、差額の2,000円が乗ります。
先の旅程を組み替えるときは、旅客税の扱いを航空会社に確認してから変更しましょう。金額の大小より、券面や請求の内訳を読む習慣のほうが役に立ちます。年内の税の予定は税金カレンダーでも確認できます。
出国税がかからない人は10通り
出国する人のほとんどは課税されますが、法令は10通りの非課税を定めています。家族旅行で効いてくるのは2歳未満の子ども、乗り継ぎで効いてくるのは24時間以内の出国です。
| 非課税となる人 | 補足 |
|---|---|
| 2歳未満の者 | 年齢は出国日で判定 |
| 乗継旅客(入国後24時間以内に出国する者) | 日本での乗り継ぎ |
| 船舶または航空機の乗員 | 操縦士・客室乗務員・船員など |
| 公用機・公用船により出国する者 | 政府専用機など |
| 出国後、天候その他やむを得ない理由で外国に寄港せず帰国した者 | 引き返した場合 |
| 天候その他やむを得ない理由で日本に寄港した国際船舶等の乗客 | 意図しない立ち寄り |
| 強制退去者等 | 制度上の例外 |
| 日本に派遣された外交官・領事官等 | 公用の場合に限る |
| 国賓その他これに準ずる者 | 国の招きによる来日 |
| 合衆国軍隊および国連軍の構成員等 | 公用の場合に限る |
出典:国税庁 タックスアンサー No.7195「国際観光旅客税のあらまし」非課税の項[国税庁]、観光庁「日本から出国される方へ」[観光庁]
逆にいえば、2歳以上の人が観光や出張で出国すれば全員が課税対象です。往復の旅行でも「出国」は1回なので、かかるのは1人3,000円です。
4人家族の海外旅行なら12,000円
- 2026年7月1日以後の出国:3,000円 × 4人 = 12,000円
- 旧税率(1,000円)の券だった場合:1,000円 × 4人 = 4,000円
- 差は 8,000円。子どもが2歳未満なら、その人数分は非課税
※税率3,000円(国税庁 No.7195)を人数分に当てはめた本サイトの試算です。国税庁が掲載している計算例ではありません。
金額としては家族の外食1回分に近く、旅費全体から見れば小さい負担です。ただし出国のたびにかかるため、年に何度も海外へ出る人ほど効いてきます。出張が多い人は、経費精算で券代に含まれていることを確認しておくとよいでしょう。
集めた3,000円は観光庁の1,383億円へ
国際観光旅客税は、観光先進国の実現に向けた観光基盤の拡充・強化の財源とされています[財務省 国際観光旅客税の概要]。引き上げを受けた令和8年度(2026年度)の観光庁予算は、次のとおりです。
| 項目 | 令和8年度(2026年度) |
|---|---|
| 観光庁関係予算の合計 | 1,383億45百万円(前年度579億29百万円の2.39倍) |
| うち国際観光旅客税を財源とする事業 | 1,300億円 |
| うち日本人旅行者の安全・安心な海外旅行環境の整備 | 174億90百万円 |
出典:観光庁「令和8年度 観光庁関係予算概要」1ページ・69ページ[観光庁]
使い道は法律で3分野に限られています。旅客税の財源はオーバーツーリズム対策や多様な国・地域からの誘客、出入国手続の高度化などに充てられます[観光庁 予算概要]。
- ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備
- 日本の多様な魅力に関する情報の入手の容易化
- 地域固有の文化・自然等を生かした体験・滞在の満足度向上
日本人の出国者も同じ3,000円を払います。その意味で、予算に「日本人旅行者の安全・安心な海外旅行環境の整備」が立っているかどうかは見ておく価値があります。前年度の2.39倍に増えた予算が実際に何に使われたかは、翌年度の予算資料と決算で確かめられます。宿泊時にかかる税は宿泊税の全国一覧で整理しています。
さらなる引き上げも公式に検討されている
3,000円で打ち止めとは書かれていません。観光庁の拡充資料には、今後の検討としてこう記されています。
「税率の見直しについて、できるだけ早期に結論を得られるよう検討を行う」[観光庁 旅客税の拡充資料]。前提として挙げられているのは3点です。観光施策を強化する財源の必要性、今回の引き上げによる旅客の負担感、そして事業者の実務です。
具体的な金額や時期を示した公的資料は、本記事の作成時点では出ていません。次の動きが見えるのは税制改正の議論の場になります。改正全体の流れは税制改正2026まとめで追えます。
2026年11月1日からは免税の買い物も変わる
2026年の訪日関連の税制は、出国税だけではありません。11月1日から、外国人旅行者向けの消費税免税が「リファンド方式」に変わります[国税庁 リファンド方式]。店でいったん税込価格を払い、出国時に税関の確認を受けたあとで消費税相当額が返ってくる形です。
日本人には関係のない話に見えますが、国外に2年以上住んでいる人は今も免税の対象です。一時帰国の買い物に関わるので、仕組みは免税のリファンド方式で確認しておくとよいでしょう。空港で出国税と免税の手続が同じ日に重なる点も、覚えておく価値があります。
出国税のよくある質問
出国税は今いくらですか。
出国1回につき3,000円です。2026年7月1日以後の出国から適用されています。2026年6月30日までの出国は1,000円でした。
6月までに買った航空券なら1,000円のままですか。
条件つきです。7月1日より前に契約し、その時点で出国日も決まっていた券に限って1,000円が適用されます。出国日を決めていないオープンチケットや回数券は対象外です。約款で運賃とは別に旅客税を徴収する定めがある場合も3,000円になります。
旧税率の券の出国日を変えたらどうなりますか。
3,000円になります。7月1日以後に出国日を変更した場合は、新しい税率が適用されると国税庁が示しています。変更の前に航空会社へ確認してください。
子どもや乗り継ぎの客も払いますか。
2歳未満の子どもは非課税です。入国後24時間以内に出国する乗継客も非課税です。2歳以上の通常の渡航者は全員が課税対象になります。
参考リンク(出典)
- 国税庁 タックスアンサー No.7195 国際観光旅客税のあらまし——税率3,000円、非課税の10項目、納付の仕組み
- 国税庁 国際観光旅客税に関するQ&A(令和8年4月改訂)——問19・問20。経過措置の条件と、新税率になる3つの場合
- 税関 国際観光旅客税——税率と納付期限(出国した月の翌々月末日)
- 財務省 国際観光旅客税の概要——課税の趣旨と税率の位置づけ
- 財務省 令和8年度税制改正の大綱——税率引き上げと適用開始日
- 観光庁 令和8年度 観光庁関係予算概要——予算1,383億45百万円、旅客税財源1,300億円の配分
- 観光庁 観光施策を充実・強化するための国際観光旅客税の拡充——今後の税率見直しの検討
- 観光庁 日本から出国される方へ——旅行者向けの案内と非課税の例
※本記事は一般的な情報提供であり、税務アドバイスではありません。券ごとの税率の適用や変更の扱いは、航空会社・船会社または税務署にご確認ください。
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