相続税の税率と計算3ステップ|遺産8,000万円・配偶者と子2人で納付額175万円になる理由

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カテゴリ:相続・贈与

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  • 公開。国税庁タックスアンサー No.4152・No.4155・No.4157・No.4158・No.4164・No.4167 をもとに作成

相続税の計算でいちばん多い誤解は、「自分がもらった財産に税率表をそのまま掛ける」ことです。国税庁も「各人が実際に取得した財産に直接税率を乗じるものではありません」と注意しています。正しくは①遺産から基礎控除を引く → ②法定相続分で分けたと仮定して税率を掛け、合計する → ③実際にもらった割合で分け直すの3ステップです。この記事では、遺産8,000万円・配偶者と子2人の家庭を例に、税率表(10〜55%)と控除額を使って納付額を出し、配偶者の税額軽減・2割加算・未成年者控除まで国税庁の資料で整理します。

結論:遺産8,000万円・配偶者と子2人なら納付額は合計175万円

ステップ計算金額
①基礎控除を引く8,000万円 −(3,000万円+600万円×3人)課税遺産総額 3,200万円
②法定相続分で仮に分けて税率を掛ける配偶者 1/2 = 1,600万円 → 15% − 50万円190万円
子 1/4 = 800万円 → 10%80万円
子 1/4 = 800万円 → 10%80万円
合計=相続税の総額350万円
③実際にもらった割合で分ける(法定相続分どおりの場合)配偶者 350万円×1/2=175万円 → 配偶者の税額軽減で0円
子 350万円×1/4=87万5,000円 ×2人175万円

本サイトの試算。計算手順は国税庁 No.4152「相続税の計算」、税率は No.4155「相続税の税率」、配偶者の軽減は No.4158 による。

遺産8,000万円に対して納める税金は合計175万円、率にして約2.2%です。「相続税は高い」という印象と違い、配偶者がいる一次相続では税額が小さくなります。重いのは配偶者がいない二次相続です。

相続税の税率表(速算表)

税率を掛けるのは「法定相続分に応ずる取得金額」です。もらった財産の額ではありません[国税庁 No.4155]。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%—
1,000万円超〜3,000万円以下15%50万円
3,000万円超〜5,000万円以下20%200万円
5,000万円超〜1億円以下30%700万円
1億円超〜2億円以下40%1,700万円
2億円超〜3億円以下45%2,700万円
3億円超〜6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

国税庁の掲載例では、課税遺産総額1億5,200万円を妻と子2人で分けると、妻7,600万円×30%−700万円=1,580万円、子3,800万円×20%−200万円=560万円が2人で、相続税の総額は2,700万円です[国税庁 No.4155]。

ステップ①:正味の遺産から基礎控除を引く

まず、相続人ごとの課税価格を出して合計します。土地・建物・預金・株などの財産に、生命保険金や死亡退職金(非課税枠を超えた分)を足し、借金と葬式費用を引きます。ここから基礎控除 3,000万円+600万円×法定相続人の数を引いた残りが課税遺産総額です[国税庁 No.4152]。

法定相続人の数基礎控除
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円
  • 相続放棄した人がいても、放棄がなかったものとして数えます。
  • 養子は、実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人まで数えます。
  • 自宅の土地に小規模宅地等の特例を使う場合は、80%減額した後の価額で課税価格を出します。
  • 亡くなる前の贈与のうち、加算対象期間の暦年贈与と、相続時精算課税の贈与(年110万円を引いた残額)も課税価格に足します。

課税遺産総額がゼロ以下なら相続税はかかりません。基礎控除の考え方は相続税の基礎控除と節税対策にまとめています。

ステップ②:法定相続分で仮に分けて、税率を掛けて合計する

課税遺産総額を、実際の分け方に関係なく民法の法定相続分で分けたと仮定します。配偶者と子なら配偶者1/2・子は残りを均等、配偶者と親なら配偶者2/3、配偶者と兄弟姉妹なら配偶者3/4です。分けた額(千円未満切捨て)に速算表を当てはめ、全員分を合計したものが「相続税の総額」です[国税庁 No.4152]。

この仕組みのため、同じ遺産でも相続人が多いほど総額が小さくなります。1人が全額を取得する場合でも、総額は法定相続分で分けたときの累進で決まるからです。

ステップ③:実際にもらった割合で分け直し、控除と加算をする

相続税の総額を、各人が実際に取得した課税価格の割合で按分します。ここで初めて遺産分割の内容が効いてきます。そのうえで人ごとの控除・加算を適用します。

控除・加算内容出典
配偶者の税額軽減配偶者が実際に取得した正味の遺産が1億6,000万円か法定相続分相当額の多いほうまで税額ゼロ。申告期限までの遺産分割と申告が要件No.4158
2割加算配偶者・父母・子(代襲相続の孫を含む)以外の人は税額が1.2倍。兄弟姉妹・甥姪・孫養子(代襲でない)が対象No.4157
未成年者控除18歳になるまでの年数×10万円(1年未満は切上げ)。引き切れない分は扶養義務者の税額から引くNo.4164
障害者控除85歳になるまでの年数×10万円(特別障害者は20万円)No.4167
贈与税額控除加算した贈与に払っていた贈与税を差し引くNo.4161

2割加算は、税額控除を引く前の額に0.2を掛けて足します。孫に遺言で財産を残すと、養子でも代襲相続でもなければ2割加算の対象です。

配偶者の軽減は「二次相続」まで考えて使う

一次相続で配偶者が全部を相続すると、1億6,000万円までは税額ゼロにできます。ただし、その配偶者が亡くなる二次相続では、配偶者の軽減がなく、法定相続人も1人減るため、基礎控除が600万円小さくなります。

試算:遺産8,000万円・配偶者と子2人。配偶者に固有財産はないと仮定(本サイトの試算)
  • 配偶者が全部相続:一次相続 0円。二次相続で子2人が8,000万円を相続 → 基礎控除4,200万円、課税遺産総額3,800万円 → 子1,900万円ずつ×15%−50万円=235万円×2=470万円。合計470万円
  • 法定相続分どおり:一次相続 175万円。二次相続で子2人が4,000万円を相続 → 課税遺産総額はマイナス(4,000万円<4,200万円)→ 0円。合計175万円

この例では、一次相続で子にも分けたほうが合計で約300万円少なくなります。配偶者の生活資金を確保したうえで、二次相続の基礎控除に収まる額を子に渡すのが基本的な考え方です。

よくある質問

遺産1億円をもらったら、税率表の30%がかかるのですか。

いいえ。税率を掛けるのは、基礎控除を引いた残りを法定相続分で分けた額です。配偶者と子2人で遺産1億円なら課税遺産総額は5,200万円で、配偶者2,600万円は15%、子1,300万円は15%の区分です。実際の負担率はもっと低くなります。

配偶者が全部相続すれば税金はゼロですか。

1億6,000万円または法定相続分相当額までならゼロです。ただし申告期限までに遺産分割を終えて申告することが要件で、税額ゼロでも申告書は必要です。二次相続で子の税額が増える点にも注意してください。

申告と納付の期限はいつですか。

亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。期限までに納付もします。現金で払えない場合は延納や物納の制度があります。

相続税がかからない場合も申告は必要ですか。

基礎控除の範囲内で、特例を使わなくても税額がゼロなら申告は不要です。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使ってゼロになる場合は、申告が要件なので必要です。

参考リンク(出典)

※遺産8,000万円の例は国税庁の速算表と計算手順を本サイトが当てはめた試算です。土地の評価や特例の適用で結果は変わります。申告前に税理士・税務署にご確認ください。

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公開日:2026年09月22日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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