祖父母から孫へ1,500万円まで非課税で教育費をまとめて渡せた「教育資金の一括贈与」は、令和8年度税制改正により2026年(令和8年)3月31日で新規の受付を終了しました。「もう孫の学費援助に非課税の方法はないの?」。いいえ、あります。実は「必要な都度払う教育費」はもともと贈与税がかからないのです。この記事では、終了の内容・既存契約の扱い・今からでも使える3つの代替策を整理します。
① 教育資金の一括贈与(1,500万円非課税)は2026年3月31日で新規終了。それまでに契約した分は引き続き非課税で使える[国税庁 No.4510]。
② 代替策その1:「必要な都度」の教育費・生活費の援助はもともと非課税(扶養義務者間。入学金を直接払う等)[国税庁 No.4405]。
③ 代替策その2:暦年贈与の基礎控除110万円/相続時精算課税の年110万円控除。
④ 代替策その3:結婚・子育て資金の一括贈与(1,000万円)は2027年(令和9年)3月31日まで継続中。
⑤ 多くの家庭にとって、一括贈与の終了は実害が小さい。「都度払い」で十分非課税にできるためです。
何が終了した?(制度のおさらい)
教育資金の一括贈与は、祖父母など直系尊属が金融機関に教育資金口座をつくり、受贈者1人あたり1,500万円(学校等以外への支払いは500万円)まで非課税でまとめて贈与できる制度でした[国税庁 No.4510]。2013年に始まり延長を重ねてきましたが、令和8年度税制改正で延長されず、2026年3月31日の契約分をもって新規終了となりました。
- 既に契約した分:引き続き非課税で払い出せます(領収書提出などの手続きは従来どおり)。
- 従来からの注意点も継続:受贈者が30歳になった時点の残額には贈与税、契約中に贈与者が亡くなった場合の残額の相続税課税(一定の場合)など、「使い切れないと不利」な設計です。
代替策① 「必要な都度」の援助は今も非課税(最重要)
意外に知られていませんが、扶養義務者(親・祖父母)からの教育費・生活費の援助は、「必要な都度・直接充てるため」のものなら、金額にかかわらず贈与税がかかりません[国税庁 No.4405]。
- OK例:入学金・授業料を祖父母が学校へ直接振り込む/下宿の家賃を毎月援助する/ランドセルや教材をその都度買い与える
- NG例:「将来の学費用に」とまとめて数百万円を口座に渡す(都度でないため通常の贈与)→ 預金や投資に回った分も課税対象
- 振込記録・領収書を残し、「都度・実費」が説明できるようにしておくのがコツです。
つまり、孫の学費をその都度払ってあげる限り、一括贈与の終了による実害はほぼありません。一括贈与の本当の使いどころは「相続が近く、前倒しでまとめて財産を移したい」場合でした。
代替策② 暦年贈与110万円・相続時精算課税
- 暦年贈与:年110万円の基礎控除内なら申告不要・非課税(贈与税の非課税枠の使い方。定期贈与と見なされない工夫も解説)。相続開始前7年以内の持ち戻しに注意。
- 相続時精算課税:2024年から年110万円の基礎控除が新設され、110万円以下なら申告不要・持ち戻しもなし。高齢の贈与者から計画的に移すなら有力です。
- 教育費の都度援助(非課税)と110万円贈与は併用できます。
代替策③ 結婚・子育て資金の一括贈与(2027年3月まで)
同種の制度のうち、結婚・子育て資金の一括贈与(受贈者1人1,000万円・うち結婚費用300万円まで)は2027年(令和9年)3月31日まで利用できます[国税庁 No.4511]。対象は18〜49歳の子・孫で、結婚式・不妊治療・出産・保育料などに使えます。ただしこちらも使い残しへの課税や手続きの手間があるため、まず「都度援助の非課税」で足りないか検討してからが原則です。
よくある質問
すでに契約している教育資金口座はどうなりますか?
2026年3月31日までに契約した分は、制度終了後も従来どおり非課税で教育費に払い出せます。30歳時点の残額への贈与税、贈与者死亡時の残額の取り扱いなど、従来からのルールも変わりません。使い切る計画を立てましょう。
制度が終わったら、孫の学費を非課税で援助できなくなりますか?
いいえ。扶養義務者からの教育費の援助は「必要な都度・直接充てるため」のものなら金額にかかわらずもともと非課税です。入学金や授業料を学校に直接振り込む方法なら、制度終了後も問題なく非課税で援助できます。
まとまった額を前倒しで渡したい場合は?
暦年贈与(年110万円)や相続時精算課税(2024年から年110万円の基礎控除)の活用、結婚・子育て資金の一括贈与(1,000万円・2027年3月まで)が選択肢です。相続全体の設計に関わるため、金額が大きい場合は税理士への相談をおすすめします。
塾や習い事の月謝を払ってあげるのも非課税ですか?
教育上通常必要と認められる範囲で、必要な都度直接充てられるものであれば非課税とされています。月謝をその都度払う形なら通常問題ありません。まとめて渡して使途が自由になる形は避けましょう。
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データの出典
- 教育資金の一括贈与(1,500万円・適用期限 令和8年3月31日):国税庁 No.4510
- 扶養義務者からの生活費・教育費(都度・直接なら非課税):国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
- 結婚・子育て資金の一括贈与(1,000万円・令和9年3月31日まで):国税庁 No.4511
※制度の終了・延長は税制改正により変わります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の贈与・相続の設計は税理士にご確認ください。




