相続税の基礎控除と節税対策|3000万円+600万円×相続人の計算

直近8人が訪問しました
カテゴリ:相続・贈与

この記事の更新情報

  • 税率表を国税庁 No.4155(8区分・控除額)で検証し、税率を掛けるのは「法定相続分に応ずる取得金額」で実際の取り分ではないことを本文・表見出し・FAQに明記。計算の流れを No.4152 の4ステップ(課税価格→基礎控除・法定相続分で按分→総額→実際の取得割合で按分→税額控除・2割加算)に整え、2割加算を No.4157 で追記。小規模宅地等の特例の該当判定表(配偶者/同居親族/家なき子/老人ホーム/区分所有登記/税額0でも申告)を No.4124 で追加。暦年贈与の加算期間3年→7年の経過措置表(2026年中の相続は3年・2031年以後は7年・100万円控除の起点は2027年1月2日以後)を No.4161 で追加。配偶者の税額軽減を No.4158 の表現(実際に取得した正味の遺産額・申告期限までの分割が要件)に修正。関連コラム(相続税の税率と3ステップ計算/小規模宅地等の特例の該当判定/生前贈与加算7年のカレンダー)への導線を追加。ja/en/zh/ko の4言語に反映。
相続・贈与

相続税の基礎控除と節税対策|3,000万円+600万円×法定相続人のルールを理解する

「うちは相続税とは無縁」と思っている家庭でも、不動産を持っていると課税対象になるケースが増えています。2015年の改正で基礎控除が大幅に引き下げられ、東京・大阪などの都市部では普通の一軒家でも相続税がかかるケースが珍しくありません。

相続税の基礎控除

基礎控除の計算式
基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
法定相続人の数基礎控除額備考
1人(配偶者のみ等)3,600万円-
2人4,200万円配偶者+子1人 など
3人4,800万円配偶者+子2人 など
4人5,400万円配偶者+子3人 など
法定相続人の数別の基礎控除額
3,600万1人4,200万2人4,800万3人5,400万4人
出典:国税庁 No.4152(基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数)

この図表はPNGで保存でき、出典明記とリンクで自由に利用できます。

2015年の改正で基礎控除が約60%に削減

改正前:5,000万円+1,000万円×相続人の数。改正後に課税対象となる家庭が約2倍に増えました。相続財産に不動産が含まれる場合は早めの試算が必要です。

相続税の税率(法定相続分に応ずる取得金額)

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%−
1,000万円超〜3,000万円以下15%50万円
3,000万円超〜5,000万円以下20%200万円
5,000万円超〜1億円以下30%700万円
1億円超〜2億円以下40%1,700万円
2億円超〜3億円以下45%2,700万円
3億円超〜6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

税率を掛ける相手を間違えないことが大事です。税率は法定相続分に応ずる取得金額に掛けます。これは課税遺産総額を法定相続分で按分した金額(千円未満切捨て)です。各人が実際に取得した財産に直接税率を掛けるのではありません[国税庁 No.4155]。遺言で1人が多く受け取った場合でも、相続税の総額は法定相続分で計算します[国税庁 No.4152]。

計算の流れ(遺産1億円・配偶者+子2人の例)

相続税の計算は、国税庁が示す次の4つの順序で行います[国税庁 No.4152]。

  1. 各人の課税価格を出す。小規模宅地等の特例を使う土地は、減額した後の価額で計算します。
  2. 相続税の総額を出す。課税価格の合計額から基礎控除額を引いて課税遺産総額を求め、これを法定相続分で按分し、按分後の金額に税率を掛けて、全員分を合計します。
  3. 各人ごとの相続税額を出す。相続税の総額を、各人が実際に取得した課税価格の割合で按分します。
  4. 各人の納付税額を出す。税額控除を引いた残りが納付税額です。配偶者・父母・子以外の人が財産を取得した場合は、税額控除を引く前の相続税額に2割を加算してから控除を引きます[国税庁 No.4157]。

迷いやすいのは②と③の違いです。②の税率計算は法定相続分で行い、実際の取り分が効いてくるのは③からです[国税庁 No.4155]。

ステップ計算(正味の遺産1億円・相続人3人・本サイトの試算)

① 各人の課税価格の合計額(正味の遺産額)=1億円
② 基礎控除:3,000万+600万×3人=4,800万円 → 課税遺産総額 1億円−4,800万=5,200万円。法定相続分で按分すると配偶者1/2=2,600万(2,600万×15%−50万=340万)/子2人は各1/4=1,300万(1,300万×15%−50万=各145万)→ 相続税の総額=340万+145万+145万=630万円
③ 実際の取得割合で按分(法定相続分どおりに分けた場合):配偶者 630万×1/2=315万円/子 各630万×1/4=各157万5,000円
④ 税額控除:配偶者が実際に取得した5,000万円は1億6,000万円以下なので、配偶者の税額軽減で0円[国税庁 No.4158] → 納付税額は子2人分の合計315万円

※実際は小規模宅地等の特例や生命保険の非課税枠でさらに下がることが多く、配偶者にどれだけ寄せるかで二次相続まで含めた総額が変わります(後述)。当サイトの詳細計算ツールでも概算できます。手順を8,000万円の例で追ったものは相続税の税率と3ステップ計算で読めます。

生前にできる主な節税対策

対策①

暦年贈与(年110万円)

年110万円の基礎控除内なら贈与税はかかりません。生前に少しずつ相続財産を減らす最も基本的な方法です。ただし相続で財産を取得した人への贈与は、加算対象期間の分が相続財産に加算されます。この期間が3年から7年へ延びる途中で、いまは経過措置が動いています(下の表)[国税庁 No.4161]。詳しくは贈与税の非課税枠を参照。

対策②

生命保険の活用

相続人が受け取る死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります[国税庁 No.4114]。相続人3人なら1,500万円まで非課税。現金を保険に変えることで相続財産を圧縮できます。

対策③

小規模宅地等の特例

亡くなった人が住んでいた土地は最大80%減額されます(特定居住用宅地等・330㎡まで)[国税庁 No.4124]。評価額5,000万円の土地が1,000万円になります。使えるかどうかは土地を取得した人ごとに決まるので、下の表で確かめてください。

対策④

配偶者の税額軽減

配偶者が遺産分割や遺贈で実際に取得した正味の遺産額のうち、「1億6,000万円」と「配偶者の法定相続分相当額」のどちらか多い金額までは相続税がかかりません[国税庁 No.4158]。申告期限までに分割されていない財産は対象外です(申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添え、3年以内に分割すれば対象になります)。二次相続の税負担も考えて配分を決めます。

小規模宅地等の特例は誰が使えるか(該当判定)

自宅の土地(特定居住用宅地等・330㎡まで80%減額)は、その土地を取得した人ごとに要件が決まっています[国税庁 No.4124]。

取得した人・状況要件
配偶者取得者ごとの要件はありません(居住も保有も問われない)
同居していた親族相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に住み、かつその宅地を申告期限まで持ち続けること
別居の子(いわゆる家なき子)6つの要件すべてを満たすこと。主なものは〈被相続人に配偶者がいない〉〈被相続人の自宅に同居していた相続人がいない〉〈相続開始前3年以内に、自分・配偶者・三親等内の親族・特別の関係がある一定の法人が所有する家屋に住んでいない〉〈その宅地を申告期限まで持ち続ける〉の4点
被相続人が老人ホームに入居中に亡くなった〈要介護認定または要支援認定を受けていた〉〈養護老人ホーム・特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅などの対象施設に入居していた〉〈空いた自宅を貸したり事業に使ったりしていない〉の3点を満たせば、入居前の居住を「被相続人の居住の用」として扱えます
二世帯住宅で区分所有登記がある被相続人が住んでいた部分だけが対象です。区分所有登記がない建物なら、親族が住んでいた部分も含めて対象にできます
特例を使って税額が0円になる申告書にこの特例を受ける旨を記載し、明細書や遺産分割協議書の写しなどを添付することが要件です。原則として申告期限までに分割されていることも必要なので、税額0円でも申告しなければ特例は受けられません
見落としやすい点

家なき子の6要件には、上の4点のほかに〈納税義務者の区分に関する要件〉と〈相続開始時に住んでいる家屋を過去に所有したことがない〉が入ります[国税庁 No.4124]。相続時精算課税による贈与で取得した宅地には、この特例は使えません[国税庁 No.4124]。詳しい判定は小規模宅地等の特例の該当判定で確認してください。

暦年贈与の加算期間は3年から7年へ(経過措置の途中)

加算されるのは「相続で財産を取得した人」への贈与

相続や遺贈で財産を取得した人が受けていた暦年課税の贈与は、加算対象期間の分だけ相続財産に加算されます。年110万円以下で贈与税がかからなかった分も、亡くなった年の贈与も加算します[国税庁 No.4161]。

相続開始日(亡くなった日)加算対象期間
2026年12月31日まで相続開始前3年以内
2027年1月1日〜2030年12月31日2024年1月1日から亡くなった日までの間
2031年1月1日以後相続開始前7年以内

※つまり2026年中に起きた相続は、まだ3年以内の贈与だけが加算対象です。7年分がまるごと入るのは2031年以後の相続からです[国税庁 No.4161]。相続開始日が2027年1月2日以後の場合は、加算対象期間のうち相続開始前3年以内以外の贈与について、総額100万円までは加算されません[国税庁 No.4161]。年ごとの区切りは生前贈与加算7年のカレンダーで確認できます。

申告・納付の期限と方法

申告期限:相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内

小規模宅地の特例・配偶者の税額軽減などを使って税額がゼロになる場合でも、特例を適用するには申告が必要です。期限を過ぎると特例が使えなくなります。

納付方法は金銭一括納付が原則です。資金が不足する場合は10年以内の延納(分割払い)、または不動産などによる物納も認められています。

まとめ

基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人の数
2015年改正基礎控除が約60%に削減。都市部の一軒家でも課税対象に
主な節税対策年110万円の暦年贈与・生命保険の非課税枠・小規模宅地等の特例・配偶者の税額軽減
税率の掛け先法定相続分に応ずる取得金額(実際の取り分ではない)
2割加算配偶者・父母・子以外が取得した分は、控除前の税額に2割を加算
注意点暦年贈与の加算期間は3年→7年。2026年中の相続は3年以内、2031年以後の相続は7年以内
申告期限相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内

二次相続まで考える

配偶者の税額軽減の使いすぎは「二次相続」で重くなる

一次相続(最初の相続)で配偶者の税額軽減(1億6,000万円まで非課税)を最大限使うと、その財産は配偶者が亡くなる二次相続でまとめて課税されます。二次相続では配偶者の税額軽減が使えず法定相続人も減るため、かえって世帯トータルの税負担が増えることがあります。一次・二次を通算して配分を考えるのが節税のポイントです。

よくある質問

うちは相続税がかかる?

遺産総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えると課税対象です。自宅などの不動産は路線価等で評価します。超えるか微妙なら早めに試算しましょう。

特例で税額0なら申告は不要?

いいえ。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例で税額が0になる場合でも、適用を受けるには相続税の申告が必要です。申告しないと特例が使えません。

申告期限はいつ?

相続の開始(被相続人の死亡)を知った日の翌日から10か月以内です。納付も同じ期限で、原則は金銭一括納付です。

生前贈与は相続税対策になる?

なります。ただし相続で財産を取得した人への暦年課税の贈与は加算対象です。2026年中の相続は相続開始前3年以内、2031年以後の相続は7年以内が対象になります(その間は2024年1月1日以後の贈与が対象)。早く長く贈与するほど有利です。

税率は自分がもらった金額に掛けるの?

いいえ。税率は課税遺産総額を法定相続分で按分した「法定相続分に応ずる取得金額」に掛けます。実際の取り分が効いてくるのは、相続税の総額を各人に按分する次の段階です。

別居の子でも小規模宅地等の特例は使える?

いわゆる家なき子の6要件をすべて満たせば使えます。被相続人に配偶者がおらず、自宅に同居していた相続人もいないこと、過去3年間、自分や配偶者・三親等内の親族などが所有する家屋に住んでいないこと、その宅地を申告期限まで持ち続けることが柱です。

参考リンク(出典)

本記事は次の国税庁の公表資料をもとに作成しています(中立・一次情報)。評価や特例は改正されるため、申告前に最新の内容をご確認ください。

※本記事は一般的な情報提供であり、税務アドバイスではありません。財産評価や申告は、税務署・相続に詳しい税理士にご相談ください。

コメントみんなの意見

コメントの閲覧・投稿は会員限定です(無料・Googleアカウントでログイン)。

コメントを読み込んでいます…

この記事にコメントする

0 / 200

投稿された内容はこのページで公開されます。URL・メールアドレス・電話番号を含む投稿、誹謗中傷や差別的な表現は自動的に受け付けません。個別の税務相談にはお答えできません(税務署または税理士へご相談ください)。削除のご依頼はお問い合わせから承ります。取り扱いはプライバシーポリシーをご覧ください。

この記事は役に立ちましたか?

「はい」が多い記事から、優先的に内容を更新・深掘りしていきます。

最終更新:2026年09月22日 / 公開日:2026年05月27日 / 執筆:みんなの税金 編集部

この記事は、出典の明記と本ページへのリンクがあれば、ニュースメディア・ブログ・生成AIの回答などで自由に引用・転載いただけます(事前連絡は不要)。詳しくは転載・引用についてをご覧ください。

本記事は税制・各種制度に関する一般的な情報提供を目的としたもので、税務上の助言ではありません。記載内容は公開時点の情報に基づき正確性に努めていますが、制度は改正される場合があります。実際のお手続き・個別のご判断は、国税庁・お住まいの税務署・税理士等の専門家にご確認ください。運営者情報・免責事項