2026年度(令和8年度)から、国民健康保険料に「子ども・子育て支援金分」の上乗せが始まりました。そしてこの国保料、同じ東京都でも住む区市町村で大きく違います。同じ40歳単身・給与年収400万円でも、中野区は年約40.5万円、府中市は年約27.7万円——差は年13万円。東京都が公表する令和8年4月1日現在の料率で、23区+26市5町8村の全62区市町村を計算し、ランキングとシミュレーターにしました。
国保料の仕組み——令和8年度から「4階建て」になった
国民健康保険料は、前年の所得から43万円を引いた額にかかる「所得割」と、加入者1人あたり定額の「均等割」の合計で決まります(島しょ部の一部には世帯あたりの「平等割」、固定資産税に応じた「資産割」もあります)。令和8年度からは従来の3つの区分に子ども・子育て支援金分が加わり、4階建てになりました。
| 区分 | 23区(統一保険料)の令和8年度料率 | 対象 |
|---|---|---|
| 医療分(基礎賦課分) | 所得割7.51%+均等割47,600円 | 全加入者 |
| 後期高齢者支援金分 | 所得割2.80%+均等割17,600円 | 全加入者 |
| 介護納付金分 | 所得割2.43%+均等割17,800円 | 40〜64歳のみ |
| 子ども・子育て支援金分(新設) | 所得割0.27%+均等割1,800円+18歳以上73円 | 全加入者 |
23区は「統一保険料方式」で、20区が完全に同じ料率です。例外は独自料率の中野区(所得割が高め)と江戸川区、介護分の所得割だけわずかに低い目黒区の3区。一方、多摩26市と町村・島しょ部は各自治体がバラバラに料率を決めており、ここに大きな差が生まれます。賦課限度額(上限)は23区で年113万円(67万+26万+17万+3万)です。低所得世帯には均等割の7割・5割・2割軽減(申請不要・所得の申告が必要)、未就学児は均等割がさらに半額になります。
国保料シミュレーター——62区市町村を一括計算
年齢・収入・家族構成を入れると、選んだ自治体の令和8年度保険料の概算と、全62区市町村のランキングを同時に計算します。
| 順位 | 自治体 | 年間保険料(概算) | 月あたり |
|---|
※ 概算です。所得割は「前年の総所得金額等-基礎控除43万円」に料率を乗じて計算し、均等割・平等割には法定軽減(7割・5割・2割)と未就学児の均等割半額を反映しています。※印の御蔵島村・青ヶ島村・小笠原村は固定資産税額に応じた「資産割」が別途加算されるため、実際はこれより高くなります。一部の町村が採用する6割・4割軽減、自治体独自の減免、月割・端数処理は反映していません。正確な金額は必ずお住まいの区市町村の窓口・試算ページでご確認ください。
ランキング:40歳単身・給与年収400万円のモデルケース
比較の物差しとして、40歳単身・給与年収400万円(給与所得276万円)の年間保険料を全62区市町村で計算した結果です。
| 順位 | 自治体 | 年間保険料(概算) | 月あたり |
|---|---|---|---|
| 1 | 御蔵島村※ | 154,857円 | 約12,905円 |
| 2 | 利島村 | 201,897円 | 約16,825円 |
| 3 | 青ヶ島村※ | 229,819円 | 約19,152円 |
| 4 | 小笠原村※ | 247,894円 | 約20,658円 |
| 5 | 檜原村 | 269,958円 | 約22,497円 |
| 6 | 府中市 | 276,645円 | 約23,054円 |
| 7 | 西東京市 | 277,618円 | 約23,135円 |
| 8 | 国立市 | 279,068円 | 約23,256円 |
| 9 | 狛江市 | 281,875円 | 約23,490円 |
| 10 | 清瀬市 | 289,029円 | 約24,086円 |
| 11 | 調布市 | 289,466円 | 約24,122円 |
| 12 | 瑞穂町 | 291,750円 | 約24,313円 |
| 13 | 昭島市 | 293,495円 | 約24,458円 |
| 14 | 武蔵野市 | 295,866円 | 約24,656円 |
| 15 | 三鷹市 | 296,134円 | 約24,678円 |
| 16 | 多摩市 | 301,452円 | 約25,121円 |
| 17 | 日野市 | 303,473円 | 約25,289円 |
| 18 | 稲城市 | 307,385円 | 約25,615円 |
| 19 | 福生市 | 311,434円 | 約25,953円 |
| 20 | 東久留米市 | 312,952円 | 約26,079円 |
| 21 | 日の出町 | 314,863円 | 約26,239円 |
| 22 | 青梅市 | 316,418円 | 約26,368円 |
| 23 | 奥多摩町 | 318,994円 | 約26,583円 |
| 24 | 小平市 | 321,933円 | 約26,828円 |
| 25 | あきる野市 | 322,494円 | 約26,875円 |
| 26 | 立川市 | 323,694円 | 約26,975円 |
| 27 | 武蔵村山市 | 324,126円 | 約27,011円 |
| 28 | 小金井市 | 325,001円 | 約27,083円 |
| 29 | 羽村市 | 328,806円 | 約27,401円 |
| 30 | 新島村 | 328,954円 | 約27,413円 |
| 31 | 国分寺市 | 334,407円 | 約27,867円 |
| 32 | 町田市 | 338,844円 | 約28,237円 |
| 33 | 八丈町 | 343,084円 | 約28,590円 |
| 34 | 東村山市 | 350,091円 | 約29,174円 |
| 35 | 東大和市 | 360,743円 | 約30,062円 |
| 36 | 三宅村 | 364,067円 | 約30,339円 |
| 37 | 神津島村 | 368,674円 | 約30,723円 |
| 38 | 八王子市 | 382,634円 | 約31,886円 |
| 39 | 目黒区 | 386,142円 | 約32,179円 |
| 40 | 千代田区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 中央区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 港区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 新宿区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 文京区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 台東区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 墨田区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 江東区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 品川区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 大田区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 世田谷区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 渋谷区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 杉並区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 豊島区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 北区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 荒川区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 板橋区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 練馬区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 足立区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 40 | 葛飾区 | 388,006円 | 約32,334円 |
| 60 | 江戸川区 | 397,557円 | 約33,130円 |
| 61 | 大島町 | 399,802円 | 約33,317円 |
| 62 | 中野区 | 404,914円 | 約33,743円 |
※ ※印は資産割(固定資産税額に応じた加算)が別途ある自治体。持ち家の場合は表の額より高くなります。
読みどころ:市部の安さと中野区の高さ
最安クラスは島しょ部ですが、本土に限ると檜原村(約27.0万円)、府中市(約27.7万円)、西東京市(約27.8万円)、国立市(約27.9万円)が上位。23区は20区が横並びの約38.8万円で、独自料率の中野区は約40.5万円と62自治体で最高です。市部最安クラスと中野区の差は年約12.8万円。所得が上がるほど所得割の料率差が効くため、自営業で所得600万円なら府中市 約58.9万円に対し中野区 約85.1万円と、年26万円以上の差になります。
なぜ同じ都内でこんなに違うのか
受けられる保険給付は全国共通です。医療費の自己負担は3割(年齢等で変動)、高額療養費制度も同じ。つまり「同じサービスに、自治体ごとに違う値段」が付いている状態です。差の主な理由は次の3つです。
- 一般会計からの繰入(税金による補填)の多さ——保険料を抑えるために自治体が独自の繰入を行っており、その規模が違う
- 加入者の所得水準・年齢構成・医療費水準——高齢者や医療費の多い地域は必要額が大きくなる
- 23区の統一保険料方式——20区は共通基準で足並みをそろえる一方、市町村は個別に決めている
注意したいのは、独自繰入は解消していく方針が示されている点です(都内区市町村の国保財政健全化計画)。いま安い自治体も、段階的に保険料が上がっていく可能性があります。
知っておきたい実務——引っ越し・退職・軽減
- 保険料は住民票のある自治体で月割計算。引っ越すと転入月から新しい自治体の料率になり、前の自治体の分は月割で精算されます(転入・転出の届出は14日以内)。
- 会社員(健康保険加入者)には関係ありませんが、退職して国保に入ると突然この差に直面します。退職時は任意継続・国保・家族の扶養の3択を比較してください(退職後の健康保険3択・転職・退職時の税金と手続き)。
- 軽減(7割・5割・2割)は申請不要ですが、世帯全員の所得の申告が前提です。収入がなくても住民税の申告をしないと軽減が受けられないことがあります。
- 保険料の計算構造や全国の水準は国民健康保険の計算で解説しています。個人事業主で保険料が重い場合の選択肢はマイクロ法人と社会保険料も参考になります。
- 保険料だけで住む場所を決めるのはおすすめしません。住居費・通勤・子育て支援まで含めた損得は東京と地方どっちがお得で整理しています。
今日やること
- 上のシミュレーターに自分の年齢・収入を入れて、いまの自治体の順位と年額を確認する
- 退職予定・フリーランス転向予定なら、国保と任意継続の金額を比較する(退職後の健康保険3択)
- 世帯の所得申告が済んでいるか確認する(軽減の適用条件です)
ほかのアクションは手取りアップ・アクションリストへ。
よくある質問
東京23区の国民健康保険料はどこも同じですか?
ほぼ同じです。23区は統一保険料方式を採用しており、令和8年度は20区が完全に同一の料率です。例外は独自料率の中野区(62自治体で最高水準)と江戸川区、介護分の所得割だけわずかに低い目黒区の3区です。
なぜ自治体によって保険料が違うのですか?
受けられる給付は全国共通ですが、自治体ごとに一般会計からの独自繰入の規模、加入者の所得・年齢構成、医療費水準が異なるためです。なお独自繰入は解消していく方針が示されており、いま安い自治体も今後上がる可能性があります。
引っ越したら保険料はいつから変わりますか?
転入した月から新しい自治体の料率で月割計算され、前の自治体の分は月割で精算されます。転入・転出の届出は14日以内が原則です。年の途中の引っ越しでも二重払いにはなりません。
会社員にも国保料の地域差は関係ありますか?
在職中は勤務先の健康保険なので関係ありません。ただし退職して国保に切り替えるとき、フリーランスに転向するとき、家族が国保に入るときに直面します。特に退職直後は前年所得で計算されるため高額になりやすく、任意継続との比較が重要です。
- 東京都保健医療局 令和8年度 特別区国民健康保険料一覧表(令和8年4月1日現在)
- 東京都保健医療局 令和8年度 国民健康保険料(税)率等の状況(市町村・令和8年4月1日現在)
- 東京都保健医療局 保険料(税)額について
- 東京都 都内区市町村の国保財政健全化計画
- 松阪市 国民健康保険税の軽減(令和8年度・法定軽減の判定基準)
※ 本記事の金額はすべて概算のシミュレーションであり、実際の保険料は各区市町村の決定によります。資産割・独自減免・端数処理等は反映していません。正確な金額は必ずお住まいの区市町村にご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は各自治体窓口・税理士・社会保険労務士等にご相談ください。







