この記事の更新情報
- 公開。こども家庭庁「妊婦のための支援給付」制度ページ・リーフレット(妊婦向け/流産・死産等をされた方向け)・自治体向け質疑応答集(令和7年10月10日版)、子ども・子育て支援法(第10条の2〜第10条の14・第73条)、全国健康保険協会「出産育児一時金について」、国税庁質疑応答事例「妊娠中絶の費用」、警察庁「性犯罪被害者に対する公費負担制度」、横浜市・大阪市・名古屋市の案内ページをもとに作成
「中絶費用の補助金」という検索が増えていますが、中絶の手術代そのものに国の補助はありません。代わりに知っておきたいのが妊婦のための支援給付です。医療機関で胎児の心拍が確認されていれば、流産・死産・人工妊娠中絶になった場合も5万円(1回目)と5万円×人数(2回目)の両方が受け取れます[こども家庭庁 流産・死産等をされた方へ]。
妊娠届を出す前でも、医師の診断書があれば申請できます。期限は心拍が確認された日から2年。所得制限はなく、受け取った額は非課税です。
結論:心拍が確認されていれば、妊娠の結果を問わず10万円が対象
| ケース | 1回目 5万円 | 2回目 5万円×人数 | 必要なもの |
|---|---|---|---|
| 妊娠が続いている | 対象 | 出産予定日の8週間前から届出 | 妊娠届・面談 |
| 妊娠届の前に流産・中絶した | 対象 | 対象(流産等の日から届出) | 医療機関の診断書 |
| 妊娠届の後に流産・死産・中絶した | 対象 | 対象(流産等の日から届出) | 届出のみ(添付不要) |
| 妊娠12週以降の死産(心拍確認なし) | 対象 | 対象 | 死産証書・死産届 |
| 経口中絶薬を飲んだ時点で心拍が未確認 | 対象外 | 対象外 | — |
| 受診せず12週未満で流産(心拍確認なし) | 対象外 | 対象外 | — |
| 異所性妊娠(子宮外妊娠) | 対象外 | 対象外 | — |
※こども家庭庁の自治体向け質疑応答(令和7年10月10日版)と案内リーフレットにもとづく[こども家庭庁 自治体向け質疑応答]。
この制度での「妊娠」は、医療機関で胎児の心拍が確認されたことを指します。市販の検査薬で陽性が出ただけでは対象になりません。
金額と時期——5万円×(胎児の数+1)、申請期限は2年
妊婦のための支援給付は、子ども・子育て支援法にもとづく国の給付です。額は法律で「胎児の数に1を加えた数×5万円」と決まっています。双子なら合計15万円です[子ども・子育て支援法 第10条の12]。
- 1回目 5万円:医療機関で心拍が確認されたあと、市区町村に認定を申請する。妊娠届と同時に手続きする自治体が多い。
- 2回目 5万円×人数:出産予定日の8週間前の日から、胎児の数を届け出る。それより前に出産・死産・流産した場合は、その日から届け出られる。
- 期限:1回目は心拍確認日から2年、2回目は出産予定日の8週間前の日(流産等の場合はその日)から2年。
- 所得制限・国籍要件なし。法律の要件は「日本国内に住所がある妊婦」だけで、市区町村が独自に条件を足すことはできない。
- 非課税・差押禁止。所得税・住民税の計算に入らず、扶養や保育料の判定にも影響しない[同法 第10条の6・第10条の7]。
2026年度からは財源に子ども・子育て支援金が充てられますが、金額と手続きに変更はありません[こども家庭庁 事業主向け案内 2026年2月]。
流産・中絶のあとに申請する手順——診断書1枚で両方受け取れる
妊娠届を出す前に妊娠が終わった場合でも、国は「医師の診断書等の提示により、1回目・2回目とも給付できる」と自治体に示しています。手順は3つです。
- 心拍を確認した医療機関で診断書をもらう。心拍確認日と流産等の日が分かるもの。市区町村が用意した様式に医師が署名したものでもよい。診断書の料金は自己負担(2,000円前後の医療機関が多い)。
- 住んでいる市区町村に認定申請と胎児の数の届出を同時に出す。郵送やオンラインで受け付ける自治体が多く、窓口に行かなくてよい場合がある。
- 振込を待つ。1回目は認定後、2回目は届出後に指定口座へ振り込まれる。
妊娠届を出したあとに流産・死産・中絶になった場合は、胎児の数の届出だけで2回目が支払われます。添付書類は不要で、原則として本人の申告どおりに支払う運用です。
| 自治体 | 流産・中絶の場合の案内 | 申請方法 |
|---|---|---|
| 横浜市 | 2025年4月1日以降に流産・死産・中絶した人は1回目・2回目とも対象と明記 | 専用ダイヤルで案内[横浜市] |
| 大阪市 | 「流産・死産等をされた方へ」の専用ページ。妊娠届が未提出なら医師の証明書か死産証明の写し | オンラインか郵送のみ(区役所窓口では受け付けない)[大阪市] |
| 名古屋市 | 「妊婦・子育て家庭応援金」の名称。妊娠届の前の流産等は心拍確認が分かる医療機関の証明が必要 | 郵送された申請書を返送、または二次元コードからオンライン[名古屋市] |
自治体によって給付の名称が違います。市区町村のサイトで「妊婦 給付 流産」で探すか、母子保健の窓口に電話で確かめてください。
中絶の費用そのものに補助はあるか——健康保険は使えず、例外は性犯罪被害
人工妊娠中絶の手術代は原則として健康保険の対象外で、全額自己負担です。母体保護法にもとづく手術でも、経済的理由によるものに保険は使えないという国の取り扱いが続いています[厚生省通知 昭和27年保文発第2427号]。費用は医療機関が自由に決めるため、初期(妊娠11週まで)で10万円台、12週以降は30万円を超えることが多いとされます(医療機関の公表価格による目安で、公的な統計はありません)。
例外は性犯罪の被害による妊娠です。各都道府県警察が、人工妊娠中絶の費用・初診料・診断書料・検査費用を公費で負担する制度を運用しています。被害を届け出た警察か、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(全国共通 #8891)に相談してください[警察庁 公費負担制度]。
手術代の補助はなくても、次の3つは使えます。
| 制度 | 流産・死産・中絶での扱い | 金額・効果 |
|---|---|---|
| 妊婦のための支援給付 | 心拍確認後なら時期を問わず対象 | 5万円+5万円×人数(非課税) |
| 出産育児一時金(健康保険) | 妊娠85日(12週)以降の流産・死産・中絶も対象 | 在胎22週未満は1児48.8万円(22週以降・産科医療補償制度加入機関は50万円)[協会けんぽ] |
| 医療費控除 | 母体保護法にもとづき医師が行う中絶の費用は対象 | 年10万円(所得200万円未満は所得の5%)を超えた分が所得から引ける[国税庁 質疑応答事例] |
- 12週以降の中絶・死産では、出産育児一時金48.8万円が手術代の大半をまかなう計算になります。医療機関が直接受け取る「直接支払制度」が使えるか、受診時に確かめてください。
- 会社員が療養のために仕事を休んだ場合は、健康保険の出産手当金(妊娠85日以降)か傷病手当金の対象になることがあります。勤務先の健康保険組合か協会けんぽに確認してください。傷病手当金の条件も参考にどうぞ。
- 医療費控除は、通院の交通費や処方薬も含めて家族の分と合算できます。計算の仕組みは医療費控除の計算方法で解説しています。
出産まで進んだ場合に受け取れるお金の全体像は出産・育児でもらえるお金まとめ、自治体ごとの上乗せは全国の子育て支援まとめにあります。
まとめ
- 妊婦のための支援給付は、医療機関で心拍が確認されていれば流産・死産・人工妊娠中絶でも1回目5万円と2回目5万円×人数の両方が対象
- 妊娠届を出す前でも、心拍確認日が分かる医師の診断書があれば申請できる。期限は心拍確認日(2回目は流産等の日)から2年
- 経口中絶薬を飲んだ時点で心拍が未確認の場合と、異所性妊娠は対象外
- 所得制限・国籍要件はなく、受け取った額は非課税で差押えもされない
- 中絶の手術代そのものに健康保険と国の補助はないが、妊娠12週以降なら出産育児一時金48.8万円、母体保護法にもとづく手術なら医療費控除が使える
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今後の改善の参考にさせていただきます。分かりにくかった点があれば、お問い合わせから教えていただけると嬉しいです。
参考リンク(出典)
- こども家庭庁「妊婦のための支援給付・妊婦等包括相談支援事業」
- こども家庭庁 リーフレット「妊婦のための支援給付のご案内」(PDF)
- こども家庭庁 リーフレット「給付金と相談窓口のご案内(流産・死産等をされた方へ)」(PDF)
- こども家庭庁 自治体向け質疑応答集(令和7年10月10日版・PDF)
- 子ども・子育て支援法(第10条の2〜第10条の14、第73条)
- 全国健康保険協会「出産育児一時金について」
- 国税庁 質疑応答事例「妊娠中絶の費用」
- 警察庁「性犯罪被害者に対する公費負担制度」
- 横浜市「妊婦のための支援給付 よくある質問」・大阪市「流産・死産等をされた方へ」・名古屋市「妊婦・子育て家庭応援金」
※本記事は2026年10月時点の公的資料にもとづく一般的な情報提供です。申請の様式・受付方法は市区町村で異なります。個別の判断はお住まいの市区町村の窓口・健康保険組合・税務署・専門家にご確認ください。









