この記事の更新情報
- **2026年9月15日の大綱閣議決定を反映**。新制度の正式名称が「所得に連動したきめ細かな給付」→**「就業者負担軽減支援金」**に確定。支援額の組み立て(定額支援額→逓増→支援基本額→逓減+就業促進特例加算+こども加算・1,000円単位で端数切上げ)、判定のものさし(勤労所得=前年の給与収入+一定額超の事業所得・業務に係る雑所得、基準日1月1日)、支給の周期、先行給付の規模(飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲)、財源の先送りを表に追加。**金額と所得の境目は依然として未定**であることを明示し、大綱が示した3つの水準(単身の住民税所得割非課税=所得45万円/給与119万円、短時間労働者の適用ライン106万円・社保料約16万円、手取り回復は年収約160万円)をtip-boxで追記(4言語)
- 2029年4月に8%へ戻す際の給付を年2回とする案(9/5朝日報道)の続報記事へのリンクを追加
- **今後のスケジュールを追記**(政府は9月中に制度概要を決定し秋の臨時国会に法案提出・早期成立を目指す方針。財源議論は12月の税制改正・予算編成で決着見込み)。8/13の改稿で本体だけ削除され残っていたシミュレーターの旧スクリプト・CSSを整理し、埋め込み版シミュレーター(iframe)を本文に復活
「減税しても、税金を払っていない人には届かない」——この問題を解決するのが給付付き税額控除です。減税で引ききれない分を現金給付で補う仕組みで、いま政府・与野党の協議体で制度設計が進んでいます。2026年8月5日に政府が基本方針を閣議決定し、9月15日には大綱が閣議決定されて新制度の正式名称が「就業者負担軽減支援金」に決まりました。本格導入は令和11年度(2029年度)で、それまでの2年間は飲食料品の消費税1%と先行給付でつなぎます。この記事では、仕組みと決まったこと・決まっていないことを整理したうえで、年収別に「いくらもらえるか・損する人はいるか」をその場でシミュレーションできるようにしました。つなぎの減税が終わる2029年4月に8%へ戻す際の給付(年2回案)の報道は続報記事で検証しています。
・新制度の正式名称は「就業者負担軽減支援金」。個人単位で、単身者・個人事業主・フリーランス、就労している中低所得の高齢者も対象
・本格導入は令和11年度(2029年度)。それまでの2年間は、令和9年(2027年)4月1日から2年間、飲食料品の消費税率を1%に引き下げ、あわせて先行給付を行う(両方で飲食料品の消費税を「実質ゼロ化」する)
・支援額の組み立て方は大綱で固まりました——定額支援額 → 逓増 → 支援基本額 → 逓減、に就業促進特例加算とこども加算を足す形。1,000円単位・端数切上げで支給されます
・ただし金額そのものと所得の境目(所得下限額・上限額・逓増開始額など)は、いまも決まっていません。恒久財源の確保とあわせて検討するとされ、結論は令和9年度の予算編成まで先送りされました
給付付き税額控除とは|「減税+給付」のハイブリッド
従来の減税(税額控除)は、納めている税金より多くは引けません。たとえば10万円の減税をしても、所得税を3万円しか納めていない人の恩恵は3万円止まり。所得税がゼロの人(年収が低い人・年金生活者など)には1円も届きません。
給付付き税額控除は、この「引ききれない分」を現金で給付します。10万円の税額控除なら、税額3万円の人は「3万円の減税+7万円の給付」、税額ゼロの人は「10万円の給付」。所得の少ない人ほど恩恵が薄い、という従来の減税の弱点を裏返した制度です。
| 本来の税額 | 従来の減税(10万円) | 給付付き税額控除(10万円) |
|---|---|---|
| 15万円の人 | ▲10万円(満額) | ▲10万円(減税のみ・同じ) |
| 3万円の人 | ▲3万円まで | 減税3万円+給付7万円 |
| 0円の人 | 恩恵なし | 給付10万円 |
2024年に実施された定額減税(1人4万円)で「引ききれない人」に調整給付を配った仕組みは、実質的にこの考え方の先行例です。海外では米国のEITC(勤労所得税額控除)、カナダのGSTクレジットなどが有名で、働くほど給付が増える設計にして勤労意欲を高める使い方が主流です。
年収別にいくらもらえるか、その場でシミュレーション
年収と食費を動かすと、「給付付き税額控除の給付」と「食料品の消費税1%(2027年4月〜の2年間)」を合わせた年間の影響額がその場で計算されます。逓減ラインなど未確定の部分は当サイトの仮置きです。うまく表示されない場合は給付付き税額控除シミュレーターを直接開いてください。
決まったこと・決まっていないこと(2026年9月15日 大綱を閣議決定)
| 項目 | 大綱の内容 |
|---|---|
| 制度名 | 「就業者負担軽減支援金」に確定(8月5日時点の「所得に連動したきめ細かな給付」という説明的な呼び方から、正式名称になった) |
| 単位・対象 | 個人単位・単身者も対象。事業所得・給与所得に加え業務に係る雑所得も勤労性の所得に含め、個人事業主・フリーランスも対象。就労し純負担が現役並みの中低所得の高齢者も対象 |
| 給付の形 | 勤労性の所得が一定水準に達するまで逓増→その後定額→総所得が一定額を超えると逓減・消失。非課税ライン以下は誤支給を避けるため定額 |
| 加算 | 「年収の壁」への一定の加算(壁が解消するまでの時限措置)+18歳以下のこどもの人数に応じた加算 |
| 時期 | 令和11年度(2029年度)に本格導入 |
| つなぎ(2年間) | 令和9年4月1日から2年間、飲食料品の消費税率を1%に引下げ+令和9年度に先行給付。合わせて飲食料品の消費税を実質ゼロ化。つなぎでは配偶者所得の例外を置かず、こども加算は15歳以下 |
| 支援額の組み立て | ①勤労所得が逓増開始額以下なら定額支援額 ②そこから逓増終了額まで一定割合で増やし、以後は支援基本額 ③「年収の壁」に直面する人へ就業促進特例加算(壁が解消するまでの時限措置) ④扶養児童の数に応じたこども加算 ⑤合計所得が逓減開始額を超えると逓減。1,000円単位・端数切上げ |
| 判定のものさし | 勤労所得=前年の給与収入+一定額を超える事業所得・業務に係る雑所得。基準日は1月1日で、基準日に国内に住所がなければ支給されない |
| 支給の周期 | 年度単位で支給。令和11年4月に令和10年度の受給資格者へ半年分相当額を先行支給し、その後に令和11年度の受給資格者へ半年分を支給(=この年だけ実質年2回) |
| 支援額(金額) | いまも未定。純負担率の国際比較などを参照しながら、恒久財源の確保とあわせて検討 |
| 所得の境目 | いまも未定。所得下限額・所得上限額・逓増開始額・逓減開始額・配偶者所得上限額のいずれも「今後定める」 |
| 先行給付の規模 | 令和9・10年度に支給する支援金は、全体として要する費用が「飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲」となるよう定める(大綱はこう書くだけで、金額は示していない) |
| 財源 | 特例公債に頼らず、補助金等・租税特別措置の適正化その他の歳出・歳入全般の見直しで恒久財源を確保。結論は令和9年度の予算編成過程——つまり年末まで先送り |
| 今後の進み方 | 10月上旬に召集される見込みの臨時国会に関連法案を提出し、政府・与党は年内成立をめざす |
出典:[大綱・令和8年9月15日閣議決定]/[内閣官房 基本方針]/社会保障国民会議「中間とりまとめ」(2026年7月29日)。給付カーブの形は給付付き税額控除シミュレーターでグラフとして確認できます。
大綱が具体的な数字を示したのは、判断のよりどころとなる水準だけです。単身者の個人住民税所得割の非課税限度額=所得45万円(給与収入119万円)、被用者保険の短時間労働者の適用ライン=給与収入106万円(所得32万円。令和7年度の全国最低の最低賃金1,023円×週20時間で換算)とその社会保険料負担が約16万円、国民年金第3号被保険者が年収130万円で第1号になった場合に手取りが回復するのは年収約160万円——この3つです。いくら配るかは、ここから先の話になります。
モデル②で「損する人」が出るのはなぜか
給付のみの案(モデル①)は、もらえる人にはプラス、対象外の人はゼロで、直接マイナスになる人はいません。ただし年5兆円規模の財源をどこかから調達する必要があり、「誰かの負担」を決めないまま給付だけが先行するのが現在の協議の弱点だと指摘されています。
そこで参考になるのが、モデル②のような財政中立型の設計です。全員に効いている基礎控除(所得税58万円・住民税43万円)を廃止して一律の給付付き税額控除に置き換えると、控除の恩恵が大きかった高所得層は負担増、恩恵が小さかった低所得層は受け取り超過になります。所得控除は税率の高い人ほど得をする仕組みなので、それを「全員同額」に変えることが、そのまま所得再分配になるわけです。
1人10万円の置き換え試算では、年収550万円前後で損得が入れ替わります。収入がごく少ない人は+10万円、年収100万円で約+7万円、年収300万円で約+3万円、年収800万円で約−6万円、年収2,000万円では約−14万円。「どこを分岐点にするか」は給付額の設定次第で動かせます。
実現までの論点
- 所得をどう正確に把握するか:給付の逓減には所得情報が必要です。前年の所得を使うと「いま困っている人」に遅れて届き、マイナンバーによる迅速な所得捕捉が前提になります。
- 財源:民間試算で年5兆円規模。国債か、他の控除・給付の整理か、増税かの議論は事実上これからです。
- 既存制度との重複:住民税非課税世帯向け給付・児童手当・年収の壁対策と役割が重なるため、制度の整理が必要です。
- 勤労インセンティブ:米国EITCのように「働くほど増える」設計にするか、単純な所得連動給付にするかで、働き方への影響が変わります。
年収の壁との関係は106万円と130万円の壁、いまの非課税世帯向け支援は住民税非課税世帯の条件で解説しています。税金が集まる側・使われる側の全体像は税収データもどうぞ。
よくある質問
給付付き税額控除はいつから始まりますか?
2026年8月5日の閣議決定で、本格導入は令和11年度(2029年度)と決まりました。それまでのつなぎとして、令和9年(2027年)4月1日から2年間、飲食料品の消費税率を1%に引き下げ、あわせて先行給付を令和9年度に導入します。政府は2026年9月中に制度の概要を決定し、秋の臨時国会に関連法案を提出して早期成立を目指す方針です。
いくらもらえる見込みですか?
2026年8月5日の閣議決定でも金額は決まっていません。国会審議では1人4万円前後の案が示されましたが、正式な給付額は純負担率の国際比較などを参照しながら恒久財源の確保とあわせて検討するとされています。設計は「勤労性の所得が一定水準まで逓増→定額→総所得に応じて逓減・消失」で、どの年収から減るかも未定です。
定額減税と何が違うのですか?
2024年の定額減税は税金から引く方式が基本で、引ききれない人には別途調整給付を配りました。給付付き税額控除は、この「減税と給付の一体化」を恒久的な制度にするもので、税金を納めていない人にも最初から同じ額が届く点が違います。
損する人はいますか?
協議中の「給付のみ」案では直接損する人はいませんが、年5兆円規模の財源の負担者は未定です。仮に基礎控除の置き換えのような財政中立型で設計すると、試算では年収550万円前後を境に高所得層は負担増(年収2,000万円で年約14万円)になります。
年金生活者や専業主婦(主夫)ももらえますか?
閣議決定は、就労していて、税・社会保険料の負担から年金受取額を差し引いた純負担が現役並みである中低所得の高齢者も対象とすると明記しました。一方、就労していない年金受給者や、給付の対象外で支援が必要な方への対応は、生活困窮者自立支援制度など既存制度との関係を整理したうえで本格導入までに結論を出すとされています。
出典:内閣官房 給付付き税額控除等に関する国民会議(配布資料)/日本経済新聞「給付付き税額控除、政府・与野党が国民会議 26年中に設計めざす」ほか各種報道(2026年7月時点)。本記事のシミュレーションは制度確定前の試算モデルであり、実際の制度内容・金額とは異なります。個別の税務のご判断は税務署・税理士にご確認ください。
コメントみんなの意見
コメントの閲覧・投稿は会員限定です(無料・Googleアカウントでログイン)。
コメントは会員限定です。ログインすると読む・書くができます。
無料・Googleアカウントだけで登録できます
コメントを読み込んでいます…









