日本版DOGEで消える租特・補助金はどれか|自己点検で廃止は121項目中3つ、EV補助は高額車を抑制、基金7兆円

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  • 公開。内閣官房「租税特別措置・補助金・基金の徹底見直しに関する関係閣僚等及び副大臣会議」第3回(令和8年10月9日)の資料1〜4・参考資料1・議事録、首相官邸の官房長官発言、財務省 片山大臣会見(10月9日)、内閣官房「令和8年度の見直し結果」(令和7年12月26日)、財政制度分科会資料(令和8年4月23日)、財務省「租税特別措置の適用実態調査報告書」(令和8年2月)をもとに作成

2027年4月からの食料品の消費税1%の財源は、国債ではなく租税特別措置(租特)・補助金・基金の見直しでまかなう方針です。その司令塔である関係閣僚・副大臣会議(日本版DOGE)の第3回が2026年10月9日に開かれ、各省庁の「自己点検」の結果が出ました。来年期限が来る租特121項目のうち、廃止を要望したのは3項目。残る118項目は延長要望です[内閣官房 第3回会議 資料1(PDF)]。

片山財務相は「見直しが十分であったとは全く考えていない」と述べ、年末の税制改正と予算編成に向けて幹事会を置いて深掘りすると表明しました。読者に関係するのは、自分が使っている制度が候補に挙がっているかです。候補に名前が出た制度と、決まる時期を表にしました。

結論:名前が挙がった制度と、いま出ている結論

制度使っている人自己点検・会議での扱い(10月9日時点)決まる時期
結婚・子育て資金の一括贈与の非課税(贈与税)親・祖父母から最大1,000万円を非課税で受け取る人廃止要望。利用は年219件に低迷し、こども家庭庁みずからが「令和9年3月31日で廃止」を要望12月の与党税制改正大綱
中小企業の法人税15%(年800万円以下の所得)中小法人 111万件経産省は「見直しの上で延長」を要望。政府税調の専門家会合では「リーマン・ショックの特例がずるずる続いている。廃止が適当」「所得が高い企業にも一律32万円の減税」との意見12月の大綱(期限は令和9年3月31日)
賃上げ促進税制(中小企業向け)29万件・控除額9,560億円経産省は「抜本的に見直し、強化」して延長を要望。財務省は約94万件の全数データで効果が見られないと主張し、委員から「中小向けも廃止が適当」。制度を知らない中小企業は約6割12月の大綱(期限は令和9年3月31日)
CEV補助金(電気自動車の購入補助)EV・PHEV・FCVを買う人経産省「高額な車種への補助額を抑制」。廃止ではない12月の予算案(令和9年度の単価)
人材確保等支援助成金(テレワークコース)・テレワーク相談センターテレワークを導入する中小企業令和8年度限りで廃止(当初予算約1.6億円)2027年3月で終了
地域少子化対策重点推進交付金自治体の結婚支援・出会い事業▲87億円、効果検証が不十分として別事業へ統合。こども家庭庁は補助金等を合計約130億円見直し12月の予算案
私学助成(ST比による減額の強化)私立学校▲28億円12月の予算案
認定特別事業再編計画に基づく登記の税率軽減/ローカル5G無線局の償却資産の特例ほぼ利用なし廃止要望(登記は活用実績なし)12月の大綱
障害児通所支援、無償資金協力、高校教育改革事業、農山漁村振興交付金、宇宙戦略基金など基金4件各事業の利用者・採択企業11月の「秋のレビュー」で公開検証する8件11月12・13日

※内閣官房 第3回会議の資料1・資料4・参考資料1にもとづく[内閣官房 第3回会議 議事次第・配付資料]。報道では特定健診(メタボ健診)の国庫負担も候補として伝えられていますが、配付資料には出てきません。

住宅ローン控除・NISA・iDeCo・少額減価償却資産の特例は、今回の自己点検の資料に名前がありません。今回の対象は「令和8年度末に期限が来るなどして令和9年度の税制改正で議論される措置」なので、期限の無い制度は別の場で扱われます。

何が起きているか——消費税1%の財源づくりは3段階、いまは「第一段階」

会議は自民・維新の連立合意から始まり、2025年12月2日に第1回を開きました。12月26日の令和8年度税制改正では国税の租特3項目を廃止、18項目を縮減し、ワクチン生産体制の基金など3,631億円を国庫に返納させました[内閣官房 令和8年度の見直し結果(PDF)]。2026年3月31日には特例公債法に「租特・補助金等の適正化に取り組む」規定が入り、4月の第2回では国民からの提案約3万7,000件を受け付けました[財務省 財政制度分科会 2026年4月23日 資料2(PDF)]。

10月9日の第3回で会議の名前に「基金」が加わり、「徹底見直し」になりました。自己点検の結果は次のとおりです。

  • 国税の租特47項目:自己点検で廃止の方向を示したのは1項目。8月末の税制改正要望では廃止が2項目、残る45項目は延長要望
  • 地方税の租特74項目:自己点検で廃止はゼロ。要望で廃止1項目、残る73項目は延長要望
  • 補助金:こども家庭庁が約130億円、警察庁が約30億円、文科省が28億円などを見直し。テレワーク助成は廃止
  • 基金:残高は令和9年度末見込みで7兆円。農水省の外食向け債務保証基金は令和8年度末で廃止予定

片山財務相は「政策効果が低いものは廃止すべきであり、政府税制調査会も活用し、ゼロベースで見直す」「取組のギアを上げる」と述べました[財務省 片山大臣 10月9日会見]。木原官房長官は令和9年度予算を「予算編成改革に取り組む予算」と位置づけ、年末にかけて見直しを深掘りするよう各省に求めています[首相官邸 10月9日 官房長官発言]。

租特の見直しの進め方——政府税調の専門家会合で、中小の2つの税制が俎上に

租特は「期限付きの特別扱い」で、法人税だけでも76項目あります。令和6年度は151万法人が延べ251万件を使い、税額控除だけで2兆164億円でした[財務省 租税特別措置の適用実態調査 令和8年国会提出(PDF)]。利用の多い措置は次のとおりです。

措置(法人税)適用件数(令和6年度)適用額
中小企業の軽減税率15%111万966件対象所得 4兆7,129億円
少額減価償却資産(30万円未満)の特例66万9,306件3,847億円
賃上げ促進税制29万4,287件控除額 9,560億円
研究開発税制1万8,412件控除額 1兆69億円(上位10社で3割)
中小企業経営強化税制(特別償却)1万2,891件4,792億円

見直しの舞台は政府税制調査会の「税制のEBPMに関する専門家会合」です。9月1日の第7回で中小企業向けの賃上げ促進税制・軽減税率・設備投資減税、10月9日の第8回で事業承継税制を扱い、11月上旬の第9回でも中小企業関係の租特を議題にします[内閣官房 第3回会議 資料3(PDF)]。

  • 賃上げ促進税制(中小):財務省は約94万件の全数データで、控除の境目に企業が集まる動き(バンチング)が見られないと指摘。中小企業庁は約1,200件のアンケートで反論。委員から「大企業向けは効果が無く廃止を決めた。中小向けも廃止が適当」の意見。制度を知らない中小企業は約6割
  • 軽減税率15%:「リーマン・ショックの特例がずるずる続いている」「所得の高い企業にも一律32万円の減税が及び、行動変容を促す仕組みになっていない」「中小法人の6割を占める欠損法人には効果が及ばない」の意見

経産省は両方とも「見直しの上で延長」を要望しています。12月の大綱でどちらに転ぶかは、令和9年度税制改正大綱で決まる8項目の④で追います。賃上げ税制の現行の計算と要件は賃上げ促進税制(中小企業)は最大35%へにあります。

補助金・基金の「着眼点」と秋のレビュー——基金7兆円は国庫返納へ

片山財務相が示した補助金の着眼点は5つです。①外部有識者やEBPMで費用対効果を検証できるか ②金融手法への移行など出口戦略が明確か ③民間が負うべきリスクまで公的支援に頼っていないか ④国と地方の役割分担が適切か ⑤目的や手段が近い施策との重複がないか。基金は「滞留している資金を国庫返納し、国庫債務負担行為に切り替える」が柱です[内閣官房 第3回会議 資料2(PDF)]。

基金については7月30日の行政改革推進会議で、使わない資金を3年で返す「3年ルール」を一律には当てはめず、代わりに支援を続けるかを定期的に判断する「ステージゲート」を必ず置き、基金の支援で利益が出たら国に返す「収益納付」を原則にし、執行状況を四半期ごとに公表すると決めています。補助金は令和7年度当初予算で1億円以上の裁量的経費が444件・8.0兆円あり、令和8年度予算では地域未来交付金▲400億円、地域脱炭素推進交付金▲115億円などを削りました。

11月12日・13日の「秋のレビュー」では、予算事業4件(障害児通所支援を含む障害福祉サービス、無償資金協力、高等学校教育改革関係事業、農山漁村振興交付金)と基金事業4件(宇宙戦略基金、海底ケーブル等のデジタルインフラ強靱化、経済安全保障重要技術育成プログラム、バイオものづくり革命推進)を公開で検証します[内閣官房 第3回会議 資料4(PDF)][行政改革推進本部 秋のレビュー]。

自分に関係する人は何をするか——期限が令和9年3月の制度は、年内に使い切る前提で

  • 中小企業の経営者:軽減税率15%と賃上げ促進税制はどちらも令和9年3月31日までに開始する事業年度が期限です。延長されるかは12月まで分かりません。賃上げや設備投資の判断は、現行制度が使える今期のうちに済ませておくのが安全です。
  • 電気自動車を買う人:CEV補助金は「高額な車種への補助額を抑制」が経産省の方針です。令和9年1月以降の登録分から単価が変わる可能性があるので、年内の登録を目指す場合の流れはEV補助金はいつ振り込まれるかで確かめてください。
  • 親から結婚・子育て資金をもらう予定の人:一括贈与の非課税は令和9年3月31日までに金融機関へ拠出した分だけが対象になる見込みです。経緯と代わりの手段は結婚・子育て資金の一括贈与が廃止へにまとめています。
  • テレワーク導入を考える中小企業:人材確保等支援助成金のテレワークコースは令和8年度限りです。申請は年度内に。
  • 基金事業に採択された企業:ステージゲートで支援が止まる可能性と、利益が出たときの収益納付を前提に資金計画を組み直してください。

消費税1%の減収は報道ベースで年5兆円規模です。これに対して、各省の自己点検で出た補助金の削減は合計170億円(報道)、租特の廃止要望は121項目中3項目でした。基金の残高は7兆円あります。財源の議論がどこまで本気かは、11月の秋のレビューと12月の大綱で確かめられます。減税の中身と家計への効果は食料品の消費税は2027年4月から1%へで解説しています。

まとめ

  • 10月9日の第3回会議で各省の自己点検の結果が出た。来年期限が来る租特121項目のうち廃止要望は3項目(結婚・子育て資金の贈与非課税、特別事業再編の登記、ローカル5G)、118項目は延長要望
  • 補助金はこども家庭庁130億円・警察庁30億円・文科省28億円などの見直し。テレワーク助成は令和8年度限りで廃止。CEV補助金は高額車種の補助額を抑制
  • 基金の残高は令和9年度末見込みで7兆円。滞留分の国庫返納とステージゲート・収益納付が原則に
  • 中小の軽減税率15%と賃上げ促進税制は政府税調の専門家会合で「廃止が適当」の意見が出ており、12月の大綱で決まる。期限は令和9年3月31日
  • 11月12・13日の秋のレビューで障害児通所支援・宇宙戦略基金など8件を公開検証。消費税1%の減収は年5兆円規模で、財源の確定は12月

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参考リンク(出典)

※本記事は2026年10月14日時点の公表資料にもとづく一般的な情報提供です。廃止・縮減は12月の与党税制改正大綱と予算案で確定します。個別の判断は税理士などの専門家にご確認ください。

公開日:2026年10月15日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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