夏祭り屋台の税金|たこ焼きは8%?テキ屋・キッチンカーの確定申告

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カテゴリ:制度・ニュース

隅田川花火大会や天神祭が終わり、これから青森ねぶた祭(8月2〜7日)にお盆の縁日・盆踊りと、屋台の季節が本番を迎えます。毎年SNSで話題になるのが「焼きそば800円は高い」という屋台価格の議論ですが、その1パックに消費税が入っているのか、そもそも露天商(テキ屋)やキッチンカーは確定申告をしているのかは、意外と知られていません。買う人のトリビアから、出店する人・模擬店を出す町内会・協賛する会社の実務まで、国税庁の一次情報で「屋台のお金」を整理します。

たこ焼きは8%、ビールと金魚すくいは10%——境界は「テーブルと椅子」

まず買う側のトリビアから。屋台で売られる飲食料品は、原則として「持ち帰り販売」として軽減税率8%です。ところが国税庁のQ&Aは、テーブル・椅子・カウンターなどの「飲食設備」を用意してそこで食べさせる場合は外食扱いで10%になると整理しています。同じたこ焼きでも、売り方で税率が変わるわけです。

屋台の定番税率理由
たこ焼き・焼きそば・りんご飴・かき氷(売るだけ)8%飲食設備のない持ち帰り販売
同じたこ焼きを、店が用意した席で食べさせる10%飲食設備での「食事の提供」=外食
缶ビール・チューハイ10%酒類は軽減税率の対象外
ラムネ・ジュース8%(席で飲ませれば10%)飲料は飲食料品
金魚すくい・射的・くじ引き10%そもそも飲食料品の譲渡ではない(金魚は観賞用)

細かい点もQ&Aに答えがあります。飲食設備は屋台専用のものである必要はなく、主催者が設置した休憩スペースでも、そこで食べさせる合意・案内があれば10%側になります。逆に、単に近くにある誰でも使える公園のベンチで客が勝手に食べる分には、飲食設備には当たりません。

「屋台価格」に消費税は入っているのか

入っているとは限りません。基準期間(個人は前々年)の課税売上高が1,000万円以下の事業者は消費税の納税義務が免除されるため、小規模な屋台の多くはそもそも消費税を納めていない免税事業者とみられます。免税事業者でも価格をいくらに設定するかは自由なので、「800円のうち◯円が消費税」とは一概に言えないのが実情です。食料品の税率をめぐる議論は食料品の消費税減税で解説しています。

出店する人の所得税——1日だけの出店でも「所得」は課税対象

「テキ屋は税金を払っていない」と言われることがありますが、制度上は誰がどんな形で稼いでも、所得がある以上は所得税・住民税の対象です。屋台・マルシェ・フリマの出店も例外ではありません。立場別に整理すると次のとおりです。

立場所得の区分申告のライン
会社員が年に数回だけ出店原則雑所得給与以外の所得20万円超で確定申告(国税庁 No.1900)
露天商・キッチンカーが本業事業所得金額にかかわらず申告(基礎控除以下を除く)
すでに個人事業主(副業で出店)本業と合算金額にかかわらず申告に含める

住民税に「20万円ルール」はありません

所得20万円以下で所得税の確定申告が不要でも、住民税は1円から課税対象で、市区町村への申告が必要です(住民税の仕組みと計算)。また事業所得か雑所得かは、帳簿の記帳・保存があるかが実務上の分かれ目です(所得税基本通達35-2)。

屋台は典型的な現金商売です。売上がどこにも自動記録されないため、記録がないと申告のしようがなく、税務調査でも重点的に見られる業態とされています(税務調査のリアル)。当日やることは3つだけです。

  1. 釣銭の準備金額を出発前に記録する(終了後の現金との差が売上)
  2. 仕込んだ数量と売れ残りの数量をメモする(単価×販売数で売上を検算できる)
  3. 出店料・材料・氷・ガスなどのレシートを当日中に写真で保存する

この「現金売上の記録術」は、コミケのサークル参加でも全く同じ話になります。夏コミの税金もあわせてどうぞ。申告していなかった過去分に気づいた場合は無申告からの復帰を参照してください。

屋台の経費——入るもの・注意が必要なもの

経費になりやすいもの

  • 材料の仕入(麺・ソース・氷・シロップなど)
  • 出店料・会場使用料(いわゆる場所代)
  • 保健所の営業許可・道路使用許可の手数料
  • ガスボンベ・炭・発電機の燃料
  • 容器・割り箸・輪ゴム・ビニール袋
  • テント・鉄板・かき氷機などの器材(10万円未満なら一括)
  • 会場までの交通費・駐車場代
  • 売れ残った生ものの廃棄ロス(廃棄の記録を残す)

注意が必要なもの

  • 自分や家族で食べた分——「自家消費」として売上に計上するルールがあります(所得税法39条)
  • 10万円以上の器材・キッチンカー本体(一括では落とせず減価償却。青色なら30万円未満の特例あり)
  • 打ち上げなど収入と関係のない飲食費
  • 釣銭として用意した現金(経費ではなく資金の移動)
  • 家族の手伝いへの謝礼(生計を一にする家族への給与は原則経費不可。青色専従者給与は要届出)

焼きそばの麺は年を越せないので、売れ残りは廃棄すればその年のロスになります。同人誌の在庫が翌年に繰り越されるのとは対照的です。高額な器材の扱いは減価償却の基礎少額減価償却資産の特例、迷う支出は経費になるかグレーなもの10選へ。

計算例:会社員が夏祭りに2日間出店したら

たこ焼き 500円 × 600パック売上 30万円
材料・容器・ガス△8万円
出店料(2日分)△2万円
器材レンタル・交通費△3万円
所得17万円 → 20万円以下なので所得税の確定申告は不要。ただし住民税の申告は必要

キッチンカー・専業露天商の場合——個人事業税とインボイス

本業として続けるなら、確定申告に加えて次の2つを押さえておきます。

1. 個人事業税——飲食店業は税率5%

都道府県の個人事業税では、飲食店業・物品販売業は法定業種(第1種事業・税率5%)に当たります。ただし事業主控除が年290万円あるため、所得290万円以下なら課税されません。

2. インボイス——客が一般消費者なら原則不要

祭りの来場者に売るだけなら、買い手はインボイス(適格請求書)を必要としないため、登録は原則不要です。検討するのは、企業イベントやオフィス街への出店で会社宛ての領収書(仕入税額控除)を求められる場合です。登録すれば課税売上高1,000万円以下でも消費税の納税義務が生じます(インボイスインボイス制度と免税事業者)。

キッチンカー本体は車両として減価償却します。開業時の届出や青色申告の申請は個人事業主の開業ガイド青色申告と白色申告、日々の記帳は勘定科目と仕訳の基礎にまとめています。

町内会の模擬店の売上に法人税はかかる?——年1回なら原則かからない

夏祭りで焼きそばやかき氷の模擬店を出す町内会・自治会・PTA。「この売上、申告がいるのか」と役員が不安になるところですが、結論は年1回程度の開催なら、原則として法人税はかかりません

  • 町内会・PTAは税法上「人格のない社団等」で、法人税がかかるのは収益事業(法人税法施行令に定める34業種を、継続して、事業場を設けて行う場合)の所得だけ
  • 「継続して」の意味は通達で整理されており(法人税基本通達15-1-5)、学校法人等が年1、2回開催する程度のバザーは物品販売業に該当しないと明記されています(同15-1-10(5))

年1回の夏祭りの模擬店はこれと同じ整理で、収益事業に当たらないと考えられるのが通例です。一方、毎週末フリーマーケットを主催して出店料を取る、常設のバザー会場を運営するといった形になると「継続」に該当し、課税対象になり得ます。判断に迷う場合は税務署に確認してください。なお、神社やお寺が境内の露店から受け取る場所代は宗教法人の収益事業の論点です(宗教法人の税金)。

協賛する会社・商店——提灯に社名が入るかで勘定科目が変わる

地元企業が祭りに出す協賛金は、経理上の扱いが2つに分かれます。ポイントは不特定多数への宣伝効果があるかです。

協賛の形勘定科目損金算入
提灯・うちわ・パンフレットに社名が掲示される広告宣伝費全額損金
名前は出ない、純粋な寄付寄附金損金算入限度額あり(国税庁 No.5281)

国税庁は「寄附金という名目でも、実態が広告宣伝費であれば寄附金から除外する」と整理しています(No.5262)。広告宣伝費として処理するなら、社名入り提灯の写真を撮って保存しておくのが実務の定石です。なお個人が町内会の祭りに出す寄付は、所得税の寄附金控除の対象(国・地方公共団体や認定NPO法人などへの特定寄附金)には当たらないため、控除は受けられません(国税庁 No.1150)。

今日やること

  1. 出店予定があるなら、釣銭の準備金額・仕込み数・売れ残り数を書くメモ欄をスマホに作っておく(当日の記録が帳簿の出発点)
  2. 出店料・材料・許可手数料のレシートを入れる封筒(または写真フォルダ)を1つ決める
  3. 会社で協賛金を出したら、社名入り提灯・パンフレットの写真を経理資料として保存する

ほかのアクションは手取りアップ・アクションリストへ。

よくある質問

同じ屋台のたこ焼きなのに、店によって消費税率が違うことはあり得ますか?

あり得ます。テーブルや椅子などの飲食設備を用意してそこで食べさせる屋台は外食扱いで10%、売るだけの屋台は持ち帰り販売として8%です。また、主催者が設置した休憩スペースでも、そこで食べさせる合意があれば飲食設備に当たります。単に近くの公園のベンチで客が勝手に食べる場合は8%のままです。

会社員ですが夏祭りに1日だけ出店しました。確定申告は必要ですか?

売上から出店料や材料費などの経費を引いた「所得」が、給与以外の他の所得と合わせて20万円を超えるなら確定申告が必要です。20万円以下で所得税の申告が不要でも、住民税は1円から課税対象なので市区町村への申告が必要です。当日の売上メモとレシートを残しておけば計算は簡単です。

町内会の夏祭りの模擬店の売上に税金はかかりますか?

年1回程度の開催であれば、原則としてかかりません。町内会は「人格のない社団等」として、収益事業(34業種を継続して事業場を設けて行うもの)の所得にだけ法人税がかかる仕組みで、通達では年1、2回程度のバザーは物品販売業に該当しないと整理されています。毎週末など反復的に行う場合は課税対象になり得るため、税務署に確認してください。

祭りへの協賛金は経費になりますか?

法人の場合、提灯やパンフレットに社名が掲示されるなど不特定多数への宣伝効果があれば広告宣伝費として全額損金にできます。宣伝効果の実態がなければ寄附金となり、損金算入に限度額があります。社名掲示の写真を保存しておくのが安全です。個人が町内会に出す祭りの寄付は、所得税の寄附金控除の対象にはなりません。

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「はい」が多い記事から、優先的に内容を更新・深掘りしていきます。

公開日:2026年07月28日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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本記事は税制・各種制度に関する一般的な情報提供を目的としたもので、税務上の助言ではありません。記載内容は公開時点の情報に基づき正確性に努めていますが、制度は改正される場合があります。実際のお手続き・個別のご判断は、国税庁・お住まいの税務署・税理士等の専門家にご確認ください。運営者情報・免責事項