個人事業税とは|290万円控除・業種別の税率・かからない職業を解説

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  • 法定業種70種を第1種(37業種)・第2種(3業種)・第3種(30業種)の一覧表として全件掲載し、第3種のうち3%となる2業種(あん摩・マッサージ等/装蹄師業)を明示(地方税法72条の2、同72条の49の17、東京都主税局 個人事業税)。新セクション「不動産貸付業・駐車場業はどこから『事業』か」を追加し、東京都の認定基準(住宅の一戸建10棟以上・一戸建以外10室以上・住宅以外の独立家屋5棟以上・土地は契約10件以上または2,000平方メートル以上・駐車場は10台以上/寄託保管・機械式は1台以上、基準未満でも総床面積600平方メートル以上かつ賃貸料収入年1,000万円以上で認定、共有物件は持分にかかわらず物件全体で判定)を表で掲載(東京都主税局)。所得税の「5棟10室」とは別基準である旨と /column/fudosan-jigyoteki-kibo-5to-10shitsu/ への内部リンクを追加。新セクション「かからない職業と、その根拠」を追加し、文筆業等が70業種に無いこと・農業の除外(72条の2第9項第3号)・視覚障害者のあん摩等の除外(同第10項第5号)を条文で裏取り。事業主控除の月割額を1〜12か月の全額(242,000円〜2,900,000円)で表に追加し、所得税と異なる5項目(青色申告特別控除の加算・白色の事業専従者控除86万円/50万円・青色事業専従者給与・事業用資産の譲渡損失・損失の3年繰越)を追加(東京都主税局、地方税法72条の49の12)。申告期限3月15日と廃業時の1か月以内(死亡は4か月以内)、納期限8月31日・11月30日を明記。令和8年度税制改正の大綱に個人事業税の改正が無いことを追記(総務省 令和8年度税制改正(地方税))。青色申告特別控除の記述を「最大65万円」から「最高55万円、電子申告等で65万円」に修正。第1種の業種例から「コンサルタント」を外し第3種へ移した(コンサルタント業は第3種)。FAQを2件追加(不動産貸付・駐車場の規模/令和8年度の改正)し FAQPage 構造化データも更新。最終更新日を2026年9月22日に変更。ja/en/zh/ko の4言語に反映。

個人事業主が納める税金は所得税・住民税・消費税だけではありません。事業の所得が290万円を超えると「個人事業税」(都道府県税)がかかります。8月に突然納税通知書が届いて初めて知る人が多い税金ですが、しくみはシンプル。この記事では、対象になる業種・計算方法・青色申告特別控除が効かないという落とし穴・かからない職業まで、出典つきで解説します。

制度の要点

① 対象は法定業種(70業種)の事業。税率は第1種5%・第2種4%・第3種5%(一部3%)[東京都主税局]。
② 事業主控除290万円があるため、事業の所得(売上−経費)が290万円以下ならかからない。
③ 計算で青色申告特別控除(65万円)は引けない。「所得税はゼロでも個人事業税はかかる」ことがある。
④ 申告は原則不要(所得税の確定申告でOK)。8月・11月の2回、都道府県からの納税通知書で納付。
⑤ 納めた個人事業税は経費(租税公課)にできる(所得税・住民税との大きな違い)。

個人事業主

かかる業種・かからない業種

個人事業税は、地方税法で定められた法定業種(70業種)に当てはまる事業だけにかかります[東京都主税局]。

区分税率業種の例
第1種(37業種)5%物品販売・飲食店・不動産貸付・請負・広告・駐車場など大半の営業
第2種(3業種)4%畜産・水産・薪炭製造
第3種(30業種)5%(一部3%)医師・税理士・デザイナー・コンサルタント・美容など自由業(あんま・マッサージ等は3%)
個人事業税の業種区分別の税率
5%第1種4%第2種5%第3種3%一部の自由業
出典:本記事(地方税法。第3種のうちあんま・マッサージ等は3%)

この図表はPNGで保存でき、出典明記とリンクで自由に利用できます。

第1種事業(37業種)/税率5%

いわゆる「営業」の大半がここに入ります。不動産貸付業・駐車場業・請負業もこの区分です[地方税法72条の2][東京都主税局]。

物品販売業保険業金銭貸付業
物品貸付業不動産貸付業製造業
電気供給業土石採取業電気通信事業
運送業運送取扱業倉庫業
駐車場業請負業印刷業
出版業写真業席貸業
旅館業料理店業飲食店業
周旋業代理業仲立業
問屋業両替業公衆浴場業(むし風呂等)
演劇興行業遊技場業遊覧所業
船舶定係場業商品取引業不動産売買業
広告業興信所業案内業
冠婚葬祭業

第2種事業(3業種)/税率4%

3業種だけで、しかも「主として自家労力を用いて行うもの」は政令で除かれます[地方税法72条の2]。

畜産業(農業に付随して行うものを除く)水産業(小規模な水産動植物の採捕を除く)薪炭製造業

第3種事業(30業種)/税率5%・一部3%

士業と自由業が中心です。30業種のうち28業種が5%、2業種だけが3%です[地方税法72条の49の17]。

医業歯科医業薬剤師業
獣医業弁護士業司法書士業
行政書士業公証人業弁理士業
税理士業公認会計士業計理士業
社会保険労務士業コンサルタント業設計監督者業
不動産鑑定業デザイン業諸芸師匠業
理容業美容業クリーニング業
公衆浴場業(銭湯)歯科衛生士業歯科技工士業
測量士業土地家屋調査士業海事代理士業
印刷製版業
税率3%(2業種):あん摩・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業/装蹄師業(地方税法72条の2第10項第5号・第7号)

医師・歯科医師の場合、社会保険診療にかかる所得は個人事業税の対象になりません。詳しくは医師の事業税は社会保険診療が非課税で解説しています。

不動産貸付業・駐車場業はどこから「事業」か

アパートや駐車場を貸している人は、規模が一定を超えると不動産貸付業・駐車場業として課税されます。東京都は次の認定基準を公表しています。棟数・室数・台数は空室や空き区画も含めて数えます[東京都主税局]。

種類・用途等貸付用不動産の規模等(空室などを含む)
建物/住宅/一戸建棟数が10以上
建物/住宅/一戸建以外室数が10以上
建物/住宅以外/独立家屋棟数が5以上
建物/住宅以外/独立家屋以外室数が10以上
土地/住宅用契約件数が10以上、又は貸付総面積が2,000平方メートル以上
土地/住宅用以外契約件数が10以上
上記を複数種類もっている場合合計が10以上、又はいずれかの基準を満たす場合
上記の基準未満でも認定される場合貸付用建物の総床面積が600平方メートル以上で、かつその賃貸料収入が年1,000万円以上(権利金・更新料・礼金・共益費等は除く)/劇場・映画館・ゴルフ練習場など基本的設備を施した不動産/一定規模の旅館・ホテル・病院など
駐車場業/寄託を受けて保管行為を行う駐車場駐車可能台数が1台以上
駐車場業/建築物・機械式等である駐車場駐車可能台数が1台以上
駐車場業/上記以外の駐車場駐車可能台数が10台以上
数え方の注意

・共有物件は持分にかかわりなく、物件全体の貸付状況で認定されます。税額だけが持分に応じて計算されます。信託物件も貸付件数に含みます[東京都主税局]。
・独立的に区画された2以上の室がある建物は、一棟貸しでも室数で認定します。
・土地は、1つの契約で2画地以上を貸していれば、それぞれを1件と数えます。

所得税の「5棟10室」(所得税基本通達26-9)とは別の基準です。青色申告特別控除や資産損失に効いてくる所得税側の事業的規模については不動産所得の事業的規模(5棟10室)で解説しています。

かからない職業と、その根拠

個人事業税は法定業種にだけかかります。裏を返すと、上の70業種のどこにも出てこない仕事は課税されません。よく挙がる3つの根拠を整理します。

  • 文筆業・画家・作曲家・漫画家など:70業種の一覧に該当する区分がありません。東京都の一覧にも地方税法72条の2にも「文筆業」は出てこないため、課税対象になりません[地方税法72条の2][東京都主税局]。
  • 農業:地方税法72条の2第9項第3号が、第2種事業に類する事業から「農業を除く」と明記しています。畜産業も「農業に付随して行うもの」は除かれます[地方税法72条の2]。
  • 視覚障害者が行うあん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復:同第10項第5号が「両眼の視力を喪失した者その他これに類する政令で定める視力障害のある者が行うもの」を除いています[地方税法72条の2]。
プログラマー・エンジニアはどうなる?

第1種の「請負業」か、第3種の「コンサルタント業」「デザイン業」か、どれに当たるかで判断されます。業種の範囲は政令に委ねられており(地方税法72条の2第11項)、プログラミング業務の位置づけを示した公表資料は見当たりません。契約の形と実態で変わるため、通知に疑問があれば都道府県税事務所に確認してください。東京都は「ほとんどの事業が該当します」としており、非該当はあくまで例外です[東京都主税局]。

計算方法(青色申告特別控除は効かない!)

個人事業税 =(事業の所得 − 事業主控除290万円)× 税率(3〜5%)

「事業の所得」は売上から経費・専従者給与を引いたもの。ここで重要なのは次の点です。

  • 青色申告特別控除(最高55万円、電子申告等で65万円)は引けない:個人事業税には適用がないため、所得税で引いた分は所得に加算して計算します。青色申告で所得税がゼロでも個人事業税はかかることがあります。
  • 事業主控除は290万円(営業期間1年未満は月割り)[東京都主税局]。
  • 例:所得500万円・第1種 →(500万 − 290万)× 5% = 10万5,000円。

事業主控除は月割り(開業・廃業した年)

営業期間が1年に満たない年は、控除額が月数に応じて減ります[東京都主税局]。

営業期間事業主控除額
1か月242,000円
2か月484,000円
3か月725,000円
4か月967,000円
5か月1,209,000円
6か月1,450,000円
7か月1,692,000円
8か月1,934,000円
9か月2,175,000円
10か月2,417,000円
11か月2,659,000円
12か月2,900,000円

所得税の計算と違うところ

同じ「事業の所得」でも、次の5点は所得税と扱いが変わります[東京都主税局]。

項目個人事業税での扱い
青色申告特別控除適用なし。所得税で引いた額を所得に加算してから計算する(取扱通知(県)第3章11の4)
白色申告の事業専従者控除配偶者は86万円、その他の人は1人50万円が限度(地方税法72条の49の12第2項・第3項)
青色申告の事業専従者給与所得税で必要経費にした支払額をそのまま控除できる
事業用資産の譲渡損失直接事業に使う機械・装置・車両等を譲渡して出た損失は、事業の所得から控除できる(土地・家屋等は除く)。青色申告なら翌年以降3年繰越(同第13項)
損失の繰越控除青色申告は翌年以降3年(同第6項)。白色申告でも震災・風水害・火災などによる事業用資産の損失は3年繰越できる(同第7項)

所得税では総合課税の譲渡所得として扱う事業用車両の売却損が、個人事業税では事業の所得から直接引ける点は見落としやすいところです。

記帳の基本は勘定科目と仕訳の基礎、65万円控除は青色申告と白色申告を参照してください。

申告・納付の流れ

  • 申告は原則不要:申告期限は3月15日ですが、所得税の確定申告(第二表に事業税の欄あり)や住民税の申告をしていれば、個人の事業税の申告は要りません。年の途中で廃業したときは、廃止の日から1か月以内(死亡による廃止は4か月以内)に申告します[東京都主税局]。
  • 納付は8月・11月の2回:第1期の納期限は8月31日、第2期は11月30日(休日のときはその翌日)。8月に都道府県税事務所から納税通知書が届きます[東京都主税局]。口座振替のほか、eL-QRによるキャッシュレス納付も使えます。年間スケジュールは税金カレンダーへ。
  • 納めた額は経費になる:個人事業税は「事業に対する税金」なので、租税公課として必要経費に算入できます(所得税・住民税は不可)。
  • 前年に廃業した場合や、災害時の減免制度もあります。
令和8年度の改正はなし

令和8年度税制改正の大綱に、個人事業税の税率・事業主控除・法定業種を見直す項目はありません[総務省 税制改正(地方税)]。税率3〜5%、事業主控除290万円、納期8月・11月という枠組みは2026年9月時点で変わっていません[東京都主税局]。

よくある質問

個人事業税はいくらからかかりますか?

事業の所得(売上−経費等)が事業主控除290万円を超えるとかかります。290万円以下なら税額はゼロで、通知も届きません。営業期間が1年未満の年は控除が月割りになります。

青色申告をすれば個人事業税も安くなりますか?

青色申告特別控除(最大65万円)は個人事業税の計算では引けません。そのため所得税が大きく下がっても、個人事業税は「(所得−290万円)×税率」のままです。一方、青色事業専従者給与は個人事業税でも経費になります。

フリーランスのエンジニアやライターにもかかりますか?

業種次第です。文筆業は70業種の一覧に無いため対象外です。エンジニアは契約の実態が「請負業」などと判断されると課税されることがあり、業種の範囲は政令に委ねられているため都道府県によって運用に差があります。通知に疑問があれば都道府県税事務所に確認してください。

アパートや駐車場を貸しているだけでもかかりますか?

規模しだいです。東京都の基準では、住宅の一戸建以外は室数10以上、住宅以外の独立家屋は5棟以上、駐車場は10台以上(寄託を受けて保管する駐車場や機械式は1台以上)で不動産貸付業・駐車場業と認定されます。基準未満でも、貸付用建物の総床面積600平方メートル以上かつ賃貸料収入が年1,000万円以上なら認定されます。共有物件は持分にかかわらず物件全体で判定します。

令和8年度に個人事業税の改正はありますか?

ありません。令和8年度税制改正の大綱に、個人事業税の税率・事業主控除・法定業種を見直す項目は入っていません。税率3〜5%、事業主控除290万円、納期8月・11月のままです(2026年9月時点)。

個人事業税は経費にできますか?

できます。事業に対して課される税金のため、納付した年の必要経費(租税公課)に算入できます。所得税や住民税は経費にできないので、混同しないようにしましょう。

データの出典

※個人事業税は都道府県税であり、業種の認定・手続きは都道府県により運用が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は都道府県税事務所・税理士にご確認ください。

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最終更新:2026年09月22日 / 公開日:2026年06月11日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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