この記事の更新情報
- 公開。厚生労働省「最高裁判決を踏まえた対応について」「申出手続について」、社会・援護局長通知(令和8年2月20日 社援発0220第1号)、対応の方向性(令和7年11月21日)、他制度への影響、給付決定状況(令和8年7月末)、保護費の追加給付相談センター、相模原市・横浜市・豊島区・八王子市・栃木県の案内をもとに作成
2013年(平成25年)からの生活扶助の引き下げが最高裁で違法とされ、国はその差額を「保護費の追加給付」として払っています。いま同じ自治体で受給中の世帯は申出不要で、2026年3月から順次振り込まれています[厚生労働省 最高裁判決を踏まえた対応]。
注意が要るのは当時は受けていて、いまは受けていない世帯です。当時の世帯主が、当時受給していた自治体に自分から申し出ない限り払われません。受付は2026年8月1日〜2027年7月31日。目安は2013年8月から継続受給した60歳代の単身で約10.5万円(都市部)です。
結論:申出が要るのは「廃止になった世帯」と「別の自治体で受けていた期間がある世帯」
| いまの状況 | 申出 | 誰が・どこへ |
|---|---|---|
| 2013年8月から同じ自治体でずっと受給中 | 不要 | 自治体が職権で支給(3月から順次) |
| 受給中だが、途中で別の自治体から転入した | 前の自治体の分は必要 | 当時の世帯主が、前に受けていた自治体へ |
| いまは受けていない(保護が廃止になった) | 必要 | 当時の世帯主が、当時受けていた自治体へ(いまの住所地ではない) |
| 当時の世帯主が亡くなっている | 必要 | 配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹→曾孫→甥姪の順で、代わりの人が申し出る |
※厚生労働省 社会・援護局長通知(令和8年2月20日 社援発0220第1号)と相談センターの案内にもとづく[厚労省 局長通知(PDF)]。
- 亡くなった人の分は出ません。権利が消滅したものとして遺族には給付せず、その人の分は世帯の人数で按分して差し引かれます。
- 働いていて生活扶助が0円だった月も対象です(医療扶助だけ受けていた月など)。
- 外国人も対象です。
- 2018年(平成30年)10月以降に受給を始めた世帯は、障害者加算・期末一時扶助などが付いていた場合だけ対象で、額は年数百円〜月数百円です。加算が無ければ0円です[相模原市]。
いくら戻るか——基準額の0.8〜2.4%を2013年8月〜2018年9月分、目安は単身で8.5〜10.5万円
2025年6月27日、最高裁は、2013年から3段階で行われた生活扶助基準の引き下げのうち「デフレ調整」(▲4.78%)について、物価の変動率だけを指標にした判断の過程に過誤・欠落があったとして違法と判断しました。国は専門委員会の検討を経て、この▲4.78%を消費実態にもとづく▲2.49%に置き換え、差額を追加給付することにしました。もう1つの引き下げである「ゆがみ調整」は違法とされていないため対象外です[厚労省 対応の方向性(PDF)]。
計算は、当時の基準額に月ごとの給付率を掛けます。
- 2013年8月〜2014年3月:+0.8%
- 2014年4月〜2015年3月:+1.6%
- 2015年4月〜:+2.4%(期末一時扶助は全期間+2.4%)
| 世帯の例(2013年8月〜2026年3月まで継続受給・加算なし) | 都市部(1級地-1) | 地方(3級地-2) |
|---|---|---|
| 60歳代の単身 | 約10.5万円 | 約8.5万円 |
| 30歳代の夫婦+4歳の子 | 約20.4万円 | 約16.1万円 |
※厚生労働省 相談センターの試算例[保護費の追加給付相談センター]。相模原市は50歳単身10万円・65歳夫婦14.8万円、横浜市は「数百円の人から10〜20万円の人まで」と案内。
国は令和7年度補正予算で1,475億円(うち追加給付の本体1,055億円)を計上し、1世帯あたり「概ね10万円」と見込んでいます。2026年7月末までに53万348世帯への給付が決まりました[厚労省 給付決定状況(PDF)]。訴訟の原告だった人には、引き下げを行わなかった水準との差額(概ね20万円)が特別給付金として払われます。
申出の手順——申出書・本人確認・戸籍謄本・口座の4点、決定まで約1か月
- 当時受給していた自治体の福祉事務所に連絡する。いまの住所地ではありません。どこだったか分からない・電話しづらいときは、厚生労働省の相談センター(0120-179-445、平日9〜17時、8〜10月は土日祝も)に聞けば、申出書の郵送も頼めます。
- 申出書を書く。国の標準様式は厚労省のサイトにあり、自治体のサイト・窓口でも配っています[申出書 標準様式(PDF)]。
- 書類をそろえる。①申出者の本人確認書類の写し ②全世帯員の戸籍謄本(全部事項証明書)の写し。原則発行から3か月以内。外国人は住民票の写し ③振込口座の通帳かキャッシュカードの写し ④同意書。当時受給していたことを示す書類は不要で、自治体の記録で確認します[厚労省 申出手続について]。
- 郵送・電子申請・窓口のいずれかで出す。受け付け方は自治体で違います。提出から約1か月で支給か不支給の決定通知が届き、振り込まれます(相模原市・八王子市の案内)。
戸籍謄本が要らないのは、窓口に本人が行って本人確認が取れた場合と、対象期間ずっと単身で、マイナポータルなどの電子申請で生存確認ができる場合の2つです。戸籍謄本の発行手数料(1通450円)は自己負担です。
期限の2027年7月31日を過ぎると申し出られません(豊島区は「申出がない場合は追加給付を行うことができません」と明記)。八王子市は7月31日の消印有効としていますが、自治体によって扱いが違うので早めに出してください。
詐欺に注意。厚生労働省や自治体が電話で口座番号・暗証番号を聞くこと、ATMの操作や手数料の振込を頼むことは絶対にありません[厚労省 注意喚起チラシ(PDF)]。追加給付に手数料はかかりません。
受け取ったお金の扱い——収入認定なし・非課税・差押え禁止、住民税の判定は変わらない
- 受給中の世帯が受け取っても収入として認定されません。ただし、保有が認められない物品の購入には充てられません。
- 保護金品として生活保護法57条・58条が適用され、税金はかからず、差押えもされません。
- いまは受けていない世帯が受け取っても、住民税の非課税限度額の判定や他の給付には影響しません。追加給付を受けたことで住民税が免除になるわけでもありません[横浜市]。
なお、2026年10月分からは物価高対応として生活扶助の特例加算が1人月1,500円から2,500円に上がっています(1年間)。働きながら受給する場合の収入認定と手元に残る額は働きながら生活保護はいくら残るか、判決に至った経緯と最低賃金との比較は最低賃金と生活保護はどちらが高いかで解説しています。
まとめ
- 2013年8月〜2018年9月の生活扶助の差額(0.8〜2.4%)を追加給付。同じ自治体で受給中なら申出不要で3月から順次支給
- 廃止になった世帯・途中で転入した世帯は、当時の世帯主が当時の自治体へ申出。受付は2026年8月1日〜2027年7月31日
- 目安は60歳代単身で約10.5万円(都市部)・8.5万円(地方)、夫婦+子で約20.4万円。2018年10月以降の開始なら加算分だけで数百円
- 書類は申出書・本人確認・全世帯員の戸籍謄本(3か月以内)・口座の4点。決定まで約1か月
- 亡くなった人の分は出ない。受け取っても収入認定なし・非課税・差押え禁止。相談は0120-179-445
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参考リンク(出典)
- 厚生労働省「生活扶助基準に関する最高裁判決を踏まえた対応について」
- 厚生労働省「最高裁判決を踏まえた保護費の追加給付に係る申出手続について」・申出書 標準様式(PDF)
- 厚生労働省「最高裁判決を踏まえた保護費の追加給付相談センター」
- 厚生労働省 社会・援護局長通知「最高裁判決を踏まえた保護費の追加給付について」(令和8年2月20日 社援発0220第1号・PDF)
- 厚生労働省「最高裁判決を踏まえた対応の方向性」(令和7年11月21日・PDF)・他制度への影響(PDF)・給付決定状況(PDF)・詐欺への注意喚起チラシ(PDF)
- 相模原市・横浜市・豊島区・八王子市・栃木県「最高裁判決を踏まえた生活保護費の追加給付について」
※本記事は2026年10月14日時点の公的資料にもとづく一般的な情報提供です。給付額は世帯の状況で異なります。個別の判断は当時の福祉事務所・相談センター・専門家にご確認ください。









