こども家庭庁のお金は、どのNPO法人に流れているのか
予算規模約7.3兆円(令和7年度)のこども家庭庁[こども家庭庁 予算]。「NPOにお金が流れている」という話題を見かけますが、実際に国からNPO法人へ直接支出されたお金はいくらで、どの団体が受けているのでしょうか。当サイトの補助金採択データベース(政府公開データ約80万件を収録)から、こども家庭庁の支出先を集計してランキングにしました。すべて行政事業レビュー等で公表されている一次データにもとづきます。
・こども家庭庁の直接支出(収録2年分・約2.8兆円)のうち、NPO法人向けは約31億円=全体の約0.1%
・お金の大半(約6割)は都道府県・市区町村向けの交付金。次いで保育・奨学金の制度実施法人
・NPOランキング1位はキッズドア(約6.2億円)。上位はほぼ「ひとり親家庭等のこどもの食事等支援事業」の中間支援法人
このデータについて(集計の範囲)
集計のもとにしたのは、国の全事業の支出先を公開する行政事業レビュー(RSシステム)と、府省の補助金交付データベースgBizINFOのうち、交付元が「こども家庭庁」の1,135件・総額約2兆8,221億円です(全件の検索結果はこちら)。期間はこども家庭庁が発足した令和5年度(2023年度)と令和6年度(2024年度)のおおむね2年分にあたります。
①金額は支出・交付ベースの事業費であり、団体の「利益」や「報酬」ではありません。②保育所運営費や児童手当のように自治体を経由して家庭・施設へ届くお金は「自治体向け」に計上され、その先までは追えません。③こども家庭庁予算の全体(年約7.3兆円)に対し、この集計は国からの直接支出・交付の公表分のみです。
全体像|お金はまず「自治体」と「制度の実施法人」へ
ランキングの前に全体像です。こども家庭庁の直接支出約2.8兆円を受け手の種類別に分けると、こうなります。
| 受け手の種類 | 金額(2年計) | 割合 | 主な中身 |
|---|---|---|---|
| 市区町村 | 約1兆2,443億円 | 44.1% | 保育・子育て支援の交付金など |
| 都道府県 | 約4,574億円 | 16.2% | 安心こども基金・児童虐待防止対策など |
| 財団法人 | 約4,358億円 | 15.4% | ほぼ児童育成協会(企業主導型保育の実施機関) |
| 独立行政法人 | 約4,008億円 | 14.2% | 日本学生支援機構(給付奨学金)・福祉医療機構など |
| その他の法人 | 約2,389億円 | 8.5% | 日本私立学校振興・共済事業団(私立幼稚園等)など |
| 社会福祉法人 | 約174億円 | 0.6% | 児童養護施設・保育関連の事業 |
| 学校法人 | 約161億円 | 0.6% | 調査研究・人材養成など |
| 社団法人 | 約46億円 | 0.2% | 業界団体経由の事業 |
| 株式会社 | 約36億円 | 0.1% | 調査・システム・広報の委託性の高い事業 |
| NPO法人 | 約31億円 | 0.1% | 食事支援・居場所づくり・広報啓発 |
つまり、NPO法人への直接支出は全体の約0.1%。金額の桁で見ると、自治体向け交付金や制度実施法人(児童育成協会・日本学生支援機構など)が圧倒的で、NPOはごく一部です。イメージと実データの差が最も出るポイントかもしれません。
NPO法人ランキング|こども家庭庁の支出先TOP10
こども家庭庁からの直接支出があったNPO法人(特定非営利活動法人)は、収録データで15法人・32件・合計約30億8,900万円でした。金額の大きい順に並べます。法人名をタップすると、補助金データベースの検索結果(その法人の交付一覧)が開きます。
| 順位 | 法人名 | 所在地 | 支出額(2年計) | 主な事業 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | キッズドア | 東京都中央区 | 6億1,945万円 | ひとり親家庭等のこどもの食事等支援 |
| 2 | フローレンス | 東京都千代田区 | 5億8,002万円 | 同・見守り体制強化の広報啓発 |
| 3 | フードバンクTAMA | 東京都八王子市 | 4億158万円 | ひとり親家庭等のこどもの食事等支援 |
| 4 | 全国こども食堂支援センター・むすびえ | 東京都渋谷区 | 3億9,639万円 | 同・見守り体制強化の広報啓発 |
| 5 | いるか | 福岡県福岡市 | 3億3,218万円 | ひとり親家庭等のこどもの食事等支援 |
| 6 | フードバンク愛知 | 愛知県北名古屋市 | 3億2,600万円 | ひとり親家庭等のこどもの食事等支援 |
| 7 | POPOLO | 静岡県静岡市 | 2億2,189万円 | ひとり親家庭等のこどもの食事等支援 |
| 8 | チャイボラ | 東京都豊島区 | 6,842万円 | 社会的養護の魅力発信・人材確保 |
| 9 | しんぐるまざあず・ふぉーらむ | 東京都千代田区 | 6,573万円 | ひとり親家庭等のこどもの食事等支援 |
| 10 | あそびとまなび研究所 | 福岡県北九州市 | 5,000万円 | ひとり親家庭等のこどもの食事等支援 |
※法人名の「特定非営利活動法人」は省略。金額は行政事業レビュー(2024年・2025年公表分)の支出情報の合計。11位以下は日本教育再興連盟(1,500万円・こどもの居場所づくり)など5法人。
上位が「食事支援」ばかりなのはなぜ?|中間支援法人というしくみ
TOP10のうち8法人までが同じ「ひとり親家庭等のこどもの食事等支援事業」の受け手です。これは、困窮するひとり親家庭などのこどもに食事・食品・学用品を届ける、こども食堂・こども宅食・フードパントリーを支援する国の事業です[こども家庭庁 公募ページ]。
ポイントは、国が現場の団体に直接お金を配るのではなく、「中間支援法人」がまとめて受けて現場に配分する構造になっていることです。
- 国(こども家庭庁)が公募で中間支援法人(複数の都道府県で活動実績のあるNPO・社会福祉法人など)を採択し、事業費を支出する
- 中間支援法人(キッズドア・むすびえ・各地のフードバンクなど)が、現場のこども食堂・フードパントリー等を公募して助成する(1団体あたり上限50万〜300万円の3コース)
- 現場の団体が食品・食材や学用品を調達し、ひとり親家庭などへ届ける
つまりランキング上位の「数億円」は、全国の現場団体への助成金や食材・配送の費用を含んだ「元締め分」の事業費です。1法人が数億円を自由に使えるという意味ではなく、その先に多数の現場団体と家庭がいる、と読むのが正確です。令和7年度からは全国を6エリアに分けてエリアごとに中間支援法人を採択する方式に変わっています。
見守り体制強化の広報啓発(フローレンス・むすびえ)は、こどもの見守り活動を広げるための広報・啓発の受託事業。社会的養護の魅力発信(チャイボラ)は、児童養護施設などで働く人材の確保・定着を支援する事業。こどもの居場所づくりは、NPO等と連携して放課後や地域にこどもの居場所を作るモデル事業です。
「多い」と見るか「少ない」と見るか|数字の背景
NPO法人向け約31億円(2年分)は、こども家庭庁の直接支出の約0.1%、年間予算約7.3兆円と比べれば約0.02%の規模です。一方で、1法人あたりでは数億円になり、ひとり親支援の分野に集中していることも事実です。これは制度設計上、貧困・孤立対策のような「行政の手が届きにくい現場」をNPOに委ねているためで、金額の集中は事業方式(中間支援方式)の帰結でもあります。
なお、こうした国の支出は毎年、行政事業レビューで事業ごとに点検され、支出先・金額が公開されます。今回のランキングも、その公開データをそのまま集計したものです。「誰にいくら流れたか」を誰でも検証できるのは、この公開制度があるからです。
自分で調べる方法|法人名でも府省名でも検索できます
当サイトの補助金採択データベースでは、今回のような集計を誰でも無料で再現できます。キーワードを入れずに「実施機関:こども家庭庁」×「法人種別:NPO法人」で絞り込めば、この記事のもとになった一覧がそのまま表示されます。
▶ こども家庭庁×NPO法人の一覧を見る(補助金採択データベース)
政府公開データ約80万件を収録。企業名・補助金名・金額・法人種別・都道府県で無料検索できます。気になる会社や団体の名前を入れるだけでも使えます。
特定の団体を深掘りしたい場合は、検索結果の法人番号から政府のgBizINFOに飛べます。事業単位の予算・成果を見たい場合は行政事業レビュー(RSシステム)が一次情報です[RSシステム]。また、事業者として補助金を探すなら補助金・助成金ガイドや今月締切の補助金まとめもどうぞ。税金が「集まる側」のデータは税収データで公開しています。
よくある質問
こども家庭庁からNPO法人への支出は全部でいくらですか?
公開データ(行政事業レビュー・gBizINFO)の収録分では、令和5年度・令和6年度のおおむね2年間で15法人・約31億円です。こども家庭庁の直接支出全体(約2.8兆円)の約0.1%にあたり、大半は自治体向け交付金や保育・奨学金の制度実施法人向けです。
ランキング上位のNPOはなぜ数億円と金額が大きいのですか?
上位のほとんどは「ひとり親家庭等のこどもの食事等支援事業」の中間支援法人です。国からまとめて事業費を受け、全国のこども食堂やフードパントリーへ助成・食材支援を配分する役割のため、現場団体への配分を含んだ金額が1法人に計上されます。団体の利益や報酬ではありません。
このランキングの元データは自分でも確認できますか?
できます。国の行政事業レビュー(RSシステム)とgBizINFOで公開されている支出先情報が一次データです。当サイトの補助金採択データベースでは、実施機関「こども家庭庁」×法人種別「NPO法人」で絞り込むだけで同じ一覧を無料で確認できます。
保育所や児童手当のお金はこの集計に含まれますか?
含まれません。保育所運営費や児童手当は市区町村・都道府県を経由して家庭や施設に届くため、この集計では「自治体向け」(約1.7兆円)に計上されます。自治体から先の最終的な受け手は、この公開データでは追跡できません。
出典:行政事業レビュー見える化サイト(RSシステム)/gBizINFO(経済産業省)/こども家庭庁 予算・決算/こども家庭庁 ひとり親家庭等のこどもの食事等支援事業。金額は支出・交付決定ベースの公表値を当サイトで集計したもので、四捨五入により合計が一致しない場合があります(2026年7月時点の収録データ)。掲載団体の活動を評価・批判する趣旨ではありません。







