事業承継・M&A補助金16次|親から継ぐ人も最大1,000万円、11月6日締切の4枠と条件

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  • 公開。事業承継・M&A補助金事務局「16次公募」各枠の公募要領(Ver.1.0・2026年9月)・16次公募パンフレット・14次/15次の採択結果のお知らせ・交付規程、中小企業基盤整備機構 J-Net21、中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」、M&A支援機関登録制度、国税庁 No.2202・No.1463・法人税基本通達第10章第2節・法人版事業承継税制をもとに作成

事業承継・M&A補助金の16次公募は、2026年10月2日から11月6日17時まで受け付けます。親から会社を継ぐ人は事業承継促進枠で設備投資に最大800万円(賃上げ要件を満たせば1,000万円)、会社を買う人・売る人は専門家活用枠で仲介やデュー・ディリジェンスの費用に最大800万円、廃業費の上乗せを含めて1,100万円(買い手の100億企業特例は2,000万円)まで補助が出ます。M&Aだけの制度ではなく、親族や従業員への承継も対象です。15次の採択率は61.3%でした。[事業承継・M&A補助金事務局]

申請には「GビズIDプライム」が要り、発行に1〜2週間(混雑時は3週間程度)かかります。締切から逆算すると、まだ持っていない人は10月中旬までに申請を済ませたいところです。

結論:立場で4つの枠に分かれ、上限は300万円から2,000万円

枠(類型)主な対象者補助上限補助率
事業承継促進枠親族・従業員へ5年以内に承継する会社・個人事業800万円(賃上げで1,000万円)小規模2/3・その他1/2
専門家活用枠 買い手支援類型会社・事業を買う中小企業600万円+DD200万円+廃業費300万円2/3
専門家活用枠 100億企業特例「100億宣言」をした買い手2,000万円+廃業費300万円1/2(1,000万円超の部分1/3)
専門家活用枠 売り手支援類型会社・事業を売る中小企業600万円+DD200万円+廃業費300万円1/2(赤字等は2/3)
専門家活用枠 小規模売り手支援類型会社・事業を売る小規模事業者450万円+廃業費150万円2/3
PMI推進枠 事業統合投資類型買った後に統合のための設備投資をする会社800万円(賃上げで1,000万円)小規模2/3・その他1/2
PMI推進枠 PMI専門家活用類型買った後の統合を専門家に頼む会社150万円1/2
廃業・再チャレンジ枠売れずに廃業して再出発する人(単独)300万円2/3

※16次公募要領(Ver.1.0・2026年9月)の各枠の「補助上限額、補助率等」から整理。DDはデュー・ディリジェンス(買収前の調査)の略。廃業費は他の枠と併用したときの上乗せ額[事務局 16次公募パンフレット]。

補助はすべて後払いで、交付決定の前に結んだ契約や発注は対象になりません。

自分はどの枠か——「継ぐ・買う・売る・たたむ」で決まる

枠は、承継の中でのあなたの立場で決まります。同じ1件の引継ぎでも、買い手と売り手はそれぞれ1件ずつ申請できます。

親族や従業員への承継はM&Aでなくても事業承継促進枠の対象です。売り手のうち従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の小規模事業者は、小規模売り手支援類型も選べます。ただし同じ回に両方は出せません。

親から継ぐ人も対象:事業承継促進枠の条件と対象経費

事業承継促進枠は、親族内承継や従業員承継をきっかけにした設備投資などを補助します。条件は「5年以内に、経営権と株式の両方を引き継ぐこと」です[事業承継促進枠 公募要領(16次)]。

  • 承継の期限:公募申請期日の2026年11月6日から5年後、2031年11月5日までに承継を終える。終わらなければ補助金は返還
  • 継ぐ人:役員か従業員として3年以上の経験がある人、または代表経験のない親族(六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族)
  • 会社側:3期分の決算と申告が済んでいる。個人事業は開業届と青色申告の承認申請から5年
  • 確認書:認定経営革新等支援機関から事業承継計画の確認書をもらう
  • 計画:5年間で付加価値額(または1人当たり)を年3%伸ばす

代表者の交代だけで株式が動かない承継や、グループ内の再編は対象外です。先代に払う株式や土地の代金も補助されません。対象は設備費・外注費・委託費・専門家への謝金など、継いだ後の事業に使う経費です。

従業員8人の町工場を息子が継ぎ、新しい加工機を入れる場合(本サイトの試算)
  • 製造業で従業員20人以下なので小規模事業者。補助率は2/3
  • 加工機と据付工事で1,500万円(税抜)。補助対象経費は消費税を除いた額
  • 賃上げ要件なし:1,200万円×2/3=800万円で上限に達する
  • 賃上げ3%を表明:800万円+(300万円×1/2)=950万円
  • 自己負担は550万円。ただし1,500万円と消費税はいったん全額を払う

1,000万円への引き上げは、補助事業が終わった年度の翌年度に1人当たり給与総額を3%以上上げることが条件です。達成できないと、引き上げ分(最大200万円)を返します。

買う人・売る人の仲介手数料:専門家活用枠は「登録業者」と「契約の日付」が鍵

専門家活用枠は、仲介やFA(買い手や売り手の一方だけにつく助言役)、デュー・ディリジェンス、企業価値の算定などの費用を補助します[専門家活用枠 公募要領(16次)]。対象になる手数料は、着手金・月額報酬・中間報酬・成功報酬などです。

類型上限補助率成約しなかったとき
買い手支援類型600万円+DD200万円2/3上限300万円(原則DD費用のみ)
売り手支援類型600万円+DD200万円1/2(営業利益率の低下・赤字なら2/3)上限300万円(原則DD費用のみ)
小規模売り手支援類型450万円2/3上限50万円(着手金・システム利用料・DD費用)
100億企業特例(買い手)2,000万円1,000万円まで1/2・超える部分1/3上限300万円(原則DD費用のみ)

※いずれも廃業費を併用すると上乗せあり(小規模売り手は150万円、他は300万円)。廃業費は引継ぎが期間内に実現しないと対象外[小規模売り手支援類型 公募要領][100億企業特例 公募要領]。

つまずきやすい条件は次の4つです。

  • 登録業者だけ:仲介・FAの手数料は「M&A支援機関登録制度」に登録された業者の分しか補助されない
  • 契約は交付決定の後:採択前に仲介業者と契約して走り出すと、その費用は対象外
  • 期間内に合意まで:補助事業期間内に基本合意書か最終契約書を結ぶ必要がある
  • 100億企業特例の追加要件:100億宣言の公表、被承継者の従業員の雇用を3年維持、譲り受け価額5億円以上など

売り手が会社ごと売る株式譲渡では、会社と過半数の株主が共同で申請します。事業譲渡か株式譲渡かで申請者が変わる点に注意してください。

買った後と、たたむとき:PMI推進枠と廃業・再チャレンジ枠

PMI推進枠は、買収の成立(クロージング)から3年以内の統合作業を補助します。親族間の承継やグループ内の再編は対象外です[PMI推進枠 事業統合投資類型 公募要領]。

  • 事業統合投資類型:統合のための設備投資。上限800万円(賃上げで1,000万円)、小規模2/3・その他1/2
  • PMI専門家活用類型:体制や業務の統合を専門家に頼む費用。上限150万円、補助率1/2
  • 2つの類型は同じ回に同時申請できない。統合の進み具合に合わせて選ぶ

廃業・再チャレンジ枠は、売却できずに会社をたたみ、新しい事業や就職に進む人の廃業費用を補助します[廃業・再チャレンジ枠 公募要領]。

  • 単独申請:上限300万円・補助率2/3。2020年以降に売り手としてM&Aに着手し、3か月以上取り組んだことが条件
  • 着手の証明:事業承継・引継ぎ支援センターへの相談、M&A支援機関との契約、マッチングサイトへの登録のいずれか
  • 対象経費:清算登記の司法書士費用、在庫の廃棄、建物・設備の解体、原状回復、リースの解約金など
  • 単独申請では補助事業期間内に会社自体の廃業を終える必要がある

会社を解散・清算するときの税金と申告期限は会社を廃業するときの税金にまとめています。

申請から入金まで:GビズIDの取得から始めて、入金は2027年以降

申請は電子申請システム「Jグランツ」からだけ受け付けます。スケジュールは次のとおりです(公募要領公開時点の予定)[J-Net21]。

  1. GビズIDプライムを取る。発行まで1〜2週間、混雑時は3週間程度。代表者のメールアドレスと携帯電話番号が要る。
  2. 見積を2者以上から取る。相見積が原則。事業承継促進枠と再チャレンジ枠は、認定経営革新等支援機関の確認書も用意する。
  3. 2026年11月6日17時までにJグランツで申請。受付は10月2日から。
  4. 12月下旬に採択の通知。2027年1月下旬から交付申請をして、交付決定を待つ。
  5. 交付決定の後に契約・発注・支払い。補助事業期間は2027年1月下旬(予定)から14か月以内。
  6. 実績報告と確定検査を経て入金。その後も事業化状況報告が続く。

設備代や仲介手数料を全額立て替える期間が、1年以上になることもあります。立て替えの資金繰りは補助金は後払いで試算しています。

10月に締切を迎えるほかの補助金は10月締切の補助金まとめで並べました。

向かない人・注意点:採択は6割、締切まで5週間、仲介の営業にも注意

補助率が高い一方で、採択されない人が4割います。事務局の公表では、15次は申請551件のうち採択338件(61.3%)、14次は512件のうち311件(60.7%)でした[事務局 お知らせ]。

15次の枠申請採択採択率
事業承継促進枠190件115件60.5%
専門家活用枠312件194件62.2%
PMI推進枠47件28件59.6%
廃業・再チャレンジ枠2件1件—

※採択率は事務局公表の件数から本サイトが計算。16次の結果は12月下旬に公表予定。

向いている人

  • 承継の時期と後継者がすでに決まっている
  • 入れたい設備や頼みたい専門家が決まり、見積が取れる
  • 1年以上の立て替えに耐えられる資金がある
  • 顧問税理士などが認定経営革新等支援機関である

向かない人・急がないほうがよい人

  • すでに仲介業者と契約した(交付決定前の契約は対象外)
  • 5年以内に株式まで移せるか分からない(未完了は返還)
  • 11月6日までに事業計画と相見積が間に合わない
  • 賃上げ3%を続けられる見通しがない(引き上げ分は返還)
「補助金が出るから」という仲介の勧誘に注意

補助金が出るのは、登録業者の手数料のうち補助率の分だけです。不採択なら手数料は全額自己負担です。中小企業庁の中小M&Aガイドラインは、売り手と買い手の両方から手数料を取る仲介は利益相反になり得るとしています[中小企業庁 中小M&Aガイドライン(第3版)]。契約前に、手数料の体系と、契約終了後も手数料が発生する「テール条項」の期間を書面で確かめてください。公的な無料の相談先として、各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センターがあります。

次の締切は16次の結果を見てから考える、という選び方もあります。2026年は公募が3回ありました(14次は2月、15次は6月、16次は10月に受付開始)。

税金との接点:補助金は課税対象、株式の売却益は20.315%

補助金は、受け取った年度の収入(法人は益金)になります。ただし設備の購入に充てた分は、圧縮記帳(個人は総収入金額不算入)で課税を先送りできます[国税庁 No.2202][法人税基本通達 第10章第2節]。

  • 設備の補助(事業承継促進枠・事業統合投資類型):圧縮記帳を使うと、その分だけ減価償却費が減る。免除ではなく先送り
  • 手数料の補助(専門家活用枠):手数料が経費になる一方で、補助金は収入になる
  • 処分の制限:単価50万円(税抜)以上の設備は、一定期間、売却や廃棄に事務局の承認が要る

会社を売る側の個人株主には、株式の売却益に20%(所得税15%・住民税5%)と復興特別所得税がかかります[国税庁 No.1463]。親から株式を贈与・相続で受ける場合は、贈与税・相続税の納税猶予を受けられる事業承継税制があります。特例措置は承継の期限が2027年12月31日で、延長するかは年末の税制改正で決まります[国税庁 法人版事業承継税制]。

補助金と税制は別の制度で、両方を使えます。税制の期限と見直しの動きは事業承継税制が猶予から免除へ?、自社株の値段の決まり方は非上場株式の取得と評価の税金で解説しています。

今日やること

  1. GビズIDプライムを持っているか確認する。なければ今日申請する(発行まで最大3週間程度)。
  2. 顧問税理士に「認定経営革新等支援機関か」と「確認書を書いてもらえるか」を聞く(事業承継促進枠・再チャレンジ枠)。
  3. 入れたい設備か頼みたい専門家を決め、2者から見積を取る。仲介業者なら登録業者かを登録制度の公表名簿で確かめる。

よくある質問

すでに親から社長を継いでいても申請できますか。

事業承継促進枠は、これから承継する人が対象です。2026年11月6日から5年後までに承継を終える計画が必要です。株式の移転だけが先に済んでいる場合は、承継計画と照らして合理性があれば要件を満たすとされています。個別の状況は事務局に確認してください。

不採択になったら次の回に出し直せますか。

次の公募回に改めて申請できます。事務局は不採択の理由の問い合わせには応じないため、計画の具体性や見積の妥当性を見直してから出すのが現実的です。

まとめ

  • 16次公募の受付は2026年10月2日から11月6日17時まで。15次の採択率は61.3%
  • 親族・従業員への承継は事業承継促進枠で、設備投資に最大800万円(賃上げ要件を満たせば1,000万円)
  • 買い手・売り手は専門家活用枠で仲介やデュー・ディリジェンスの費用に最大1,100万円(100億企業特例は2,000万円)
  • 仲介・FAの手数料は登録業者の分だけ。交付決定前の契約や発注は対象外
  • 申請にはGビズIDプライムが必要で、発行まで1〜2週間(混雑時は3週間程度)

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最終更新:2026年10月02日 / 公開日:2026年10月06日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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