退職したらまず気になる「失業保険」(正式には雇用保険の基本手当)。大事な前提はひとつ、これは「働く意思があって求職活動をしている人」への給付であり、もらいながら就職活動をするのが制度の本来の使い方だということです。「もらい切ってから探す」必要はまったくなく、むしろ早く決まれば「再就職手当」で残りの最大7割が一時金でもらえます。2025年4月の改正で自己都合退職でも約1か月半で受給開始できるようになった最新ルールで、受け取り方を最初から最後まで解説します。
① 受給資格:離職前2年間に雇用保険12か月以上(会社都合・特定理由は1年間に6か月以上)。
② いつから:待期7日+自己都合の給付制限は2025年4月から「1か月」に短縮=約1か月半で初回振込へ。教育訓練を受講すれば給付制限なし。会社都合は約1か月で開始[厚生労働省]。
③ いくら:おおむね退職前の給与(日額)の50〜80%×90〜330日分(年齢別の日額上限あり)。
④ 受給中は4週間ごとの認定日までに原則2回以上の「求職活動実績」が必要で、応募・ハローワーク相談・セミナーなどでOK。就職活動とセットでもらう制度です。
⑤ 早く決まっても損しない設計で、所定日数の2/3以上残して就職→残日数×70%、1/3以上→60%の再就職手当[ハローワーク]。
⑥ 基本手当は非課税。ただし健康保険の扶養判定では収入扱い(日額3,612円以上なら受給中は扶養に入れない)。
受け取りまでの流れ(5ステップ)
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| ① 離職票を受け取る | 退職後10日前後で会社から「離職票-1・2」が届く | 来ないときは会社かハローワークへ催促。マイナンバーカード・通帳・写真も準備 |
| ② ハローワークで求職申込み | 住所地のハローワークで求職申込み+離職票を提出(受給資格決定) | この日が起点。早く行くほど早くもらえる |
| ③ 待期7日間 | 全員共通の待期(この間は支給なし) | 自己都合はさらに給付制限1か月(2025年4月〜。5年内に2回超の自己都合は3か月) |
| ④ 説明会・初回認定日 | 受給者説明会に参加→4週間ごとの「失業認定日」に出席 | 説明会参加は求職活動実績に数えられる |
| ⑤ 認定→振込 | 認定日ごとに直近4週間の求職活動を申告→約1週間で振込 | 以後、認定と振込を繰り返す |
いくら・何日分もらえる?
- 基本手当日額=離職前6か月の賃金(賞与除く)÷180 × 50〜80%(給与が低いほど高率。60〜64歳は45〜80%)。年齢区分ごとに日額上限があります(毎年8月改定)。
- 所定給付日数:自己都合は90〜150日(加入10年未満90日・10〜20年120日・20年以上150日)。会社都合(特定受給資格者)は90〜330日と手厚い。
- 目安:月給30万円・30代・自己都合(加入10年未満)→ 日額約6,700円 × 90日 ≒ 総額約60万円。
- 受給期間は離職から原則1年。病気・出産・介護ですぐ働けない場合は受給期間の延長(最大4年)を申請(基本手当は「働ける状態」が条件のため、働けない間は傷病手当金等の領域です)。
「求職活動実績」|もらいながら就活する、が正解
失業認定には4週間ごとに原則2回以上の求職活動実績が必要です(給付制限がある人の初回はそれ以上の場合あり)。これはハードルではなく、「就職活動をしていればもらえる」という制度の設計そのものです。受給と就活は同時並行が大前提です。
| 実績になる | 実績にならない |
|---|---|
| 求人への応募(転職サイト経由・直接応募とも。1回の応募で1実績) | 転職サイトの閲覧・登録だけ |
| ハローワークでの職業相談・職業紹介 | 知人への紹介依頼 |
| ハローワークや許可・届出のある機関のセミナー受講 | 単なる企業説明会の予約のみ |
| 再就職に役立つ国家試験・資格試験の受験 | — |
| 転職エージェントとの面談・職業訓練の受講 | — |
認定日にハローワークへ行き「失業認定申告書」に活動を記入するだけ。面接まで進めば面接自体も実績です。虚偽申告は不正受給(3倍返還+延滞金)になるため、実際に活動した事実だけを書きましょう。
早く決まったら「再就職手当」|焦らず、でも損もしない
- 所定給付日数を2/3以上残して安定した職業に就くと、残日数×70%×日額を一時金で支給。1/3以上なら60%[ハローワーク リーフレット]。
- 例:90日のうち80日残して就職 → 80日×70%×6,700円 ≒ 約37.5万円を一括受給。「もらい切るまで待つ」より、早期就職+再就職手当の方がトータルで有利なことも多いのです。
- 再就職先の給与が前職より低い場合は、さらに就業促進定着手当(6か月勤務後)が上乗せされる場合があります。
- 要件に注意:待期7日経過後の就職であること、給付制限1か月のうち最初の1か月はハローワーク等の紹介によること、1年超の勤務見込み、離職前の会社(関連会社)への出戻りでないこと、など。
税金・保険・扶養との関係(当サイトらしい注意点)
- 基本手当は非課税。所得税・住民税はかからず、確定申告も不要。配偶者控除など税の扶養の判定でも収入に含めません。
- ただし健康保険の扶養(130万円基準)では収入扱いになります。日額3,612円以上(130万円÷360日)を受給している間は、原則として配偶者の健康保険の扶養に入れません。受給開始までの給付制限中は入れる場合が多く、出入りのタイミング管理が重要です。
- 会社都合等の退職なら国民健康保険料の軽減(前年給与所得を30/100で計算)を必ず申請。年金は免除申請(失業特例で本人所得を除外)が使えます。
- 退職年は年末調整がないため、確定申告で源泉徴収の取りすぎが還付されることが多い点も忘れずに。
よくある質問
自己都合退職だと、いつからもらえますか?
2025年4月の改正で給付制限が2か月から1か月に短縮され、ハローワークでの手続きから待期7日+給付制限1か月=おおむね1か月半〜2か月で初回の振込になります。教育訓練給付の対象講座などを受講する場合は給付制限自体が解除されます。なお5年以内に2回を超える自己都合退職がある場合は3か月です。
失業保険をもらいながら就職活動してもいいのですか?
むしろそれが制度の前提です。基本手当は「働く意思と能力があり求職活動をしている人」への給付で、4週間ごとに原則2回以上の求職活動実績(応募・職業相談・セミナー等)を申告して受給します。早く内定が出ても、残日数に応じて最大70%の再就職手当がもらえるため、早期就職で損をしない設計になっています。
受給中にアルバイトはできますか?
できますが必ず認定日に申告が必要です。週20時間未満などの範囲で、働いた日は基本手当が減額または後送りになります。週20時間以上働くと「就職」扱いになり得ます。無申告で働くと不正受給(返還+納付命令で最大3倍)となるため、申告だけは絶対に忘れないでください。
失業保険をもらうと夫(妻)の扶養から外れますか?
税金の扶養(配偶者控除)には影響しません(非課税のため)。一方、健康保険の扶養は日額3,612円以上を受給している間は外れるのが原則で、その間は国民健康保険・国民年金(第1号)に加入します。受給前の給付制限中や受給終了後は扶養に戻れます。
関連コラム
- 転職・退職時の税金と手続き(退職前後の全体像)
- 国民健康保険料の計算と軽減/国民年金の免除・猶予
- 健康保険の扶養の条件/傷病手当金(働けない場合はこちら)
データの出典
- 給付制限の短縮(2025年4月・1か月)と教育訓練による解除:厚生労働省 給付制限の解除について/同 リーフレット
- 再就職手当(70%・60%):ハローワークインターネットサービス 就職促進給付/再就職手当リーフレット
- 基本手当の受給要件・求職活動実績・基本手当日額(毎年8月改定):ハローワークインターネットサービス・厚生労働省公表資料
※給付額・日数・実績の取扱いは離職理由・年齢・地域の運用で異なります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の受給可否・金額は住所地のハローワークでご確認ください。




