毎年4〜6月に届く固定資産税の納税通知書。「なぜこの金額?」「お隣より高い気がする」「急に上がったんだけど?」。持ち家の人なら誰でも抱く疑問に答えます。しくみの核心は、住宅の土地は200㎡まで評価額が6分の1になる特例と、新築の建物は3年間(マンション5年間)半額になる減額。「4〜6年目に上がった」のはこの減額が終わっただけです。計算のしくみと、安くなる・取り戻せるケースを総まとめします。
① 基本式:固定資産税=課税標準額×1.4%(標準税率)+市街化区域なら都市計画税×最大0.3%。
② 土地:住宅が建っていれば200㎡まで評価額×1/6(超える部分は1/3)の住宅用地特例。更地にすると約6倍に跳ね上がるのはこの特例が外れるため。
③ 建物:新築から3年間(3階建以上の耐火マンションは5年間)税額が1/2(120㎡相当まで)[国土交通省]。「4年目(6年目)に上がった」の正体はこの終了です。
④ 評価額は3年ごとに評価替え(直近は令和6年度・次回は令和9年度)。
⑤ 安くなる余地:リフォーム減税(耐震・省エネ・バリアフリー)、特例の適用漏れチェック、縦覧・審査の申出。土地・家屋の評価誤りによる取りすぎの還付例は実際に毎年起きています。
計算のしくみ(モデルケース)
- 土地:3,000万円 × 1/6(小規模住宅用地)=課税標準500万円 → ×1.4% = 7万円
- 建物:1,200万円 × 1.4% = 16.8万円 → 新築減額で×1/2 = 8.4万円(当初3年間)
- 合計 約15.4万円/年(+市街化区域なら都市計画税 約2.5万円)
- 4年目以降:建物の減額終了で約23.8万円/年に。「急に上がった」のはこれ
※評価額は購入価格ではなく、自治体が固定資産評価基準で算定した額(建物はおおむね建築費の5〜6割、土地は公示価格の7割水準)。経年で建物評価は下がっていきます。
2つの大きな軽減(自動適用だが要チェック)
| 軽減 | 内容 | 注意 |
|---|---|---|
| 住宅用地特例 | 住宅の敷地200㎡以下=評価額1/6(都市計画税1/3)/200㎡超の部分=1/3(同2/3) | 店舗併用・住宅の取壊し・「特定空家」の勧告で特例が外れる(空き家の税金) |
| 新築住宅の減額 | 新築後3年間(耐火3階建以上は5年間)税額1/2(居住部分120㎡まで)。長期優良住宅は5年(同7年) | 適用期限は令和8年度税制改正で5年延長(床面積要件の見直しあり)[国交省 R8改正概要] |
安くなる・取り戻せるケース
- リフォーム減税:耐震改修・省エネ改修・バリアフリー改修をすると、翌年度の固定資産税が1/3〜1/2減額される制度があります(工事後3か月以内に自治体へ申告。要件・期限あり)[国土交通省]。
- 適用漏れのチェック:家を新築したのに土地が更地評価のまま、二世帯住宅で戸数分(200㎡×2)の特例が取れていない、などの誤りは現実に起きており、過大徴収の還付(最大過去5年+自治体の要綱で10〜20年)を受けた事例が多数あります。納税通知書の課税明細で「小規模住宅用地」の記載を確認しましょう。
- 縦覧・審査申出:毎年4月ごろ、自分の評価額を他の土地・家屋と比較できる「縦覧」期間があります。評価に不服があれば固定資産評価審査委員会への審査申出(評価替え年度など)が可能です。
- 免税点:同一市区町村内で課税標準が土地30万円・家屋20万円未満ならそもそも課税されません。
- 支払いはキャッシュレス納付(eL-QR)対応。年4回の分納・一括が選べます(期限は税金カレンダー)。
よくある疑問(なぜ?シリーズ)
- 「建物は古くなったのに税金が下がらない」:建物評価には下限(再建築価格の約2割)があり、ゼロにはなりません。また評価替えは3年ごとなので、その間は原則据え置きです。
- 「タワマンの上層階と下層階で同じ?」:2017年以降に建ったタワーマンションは階層で按分補正されています(高層階ほどやや高い)。
- 「賃貸に出したら上がる?」:賃貸住宅でも「住宅」なら住宅用地特例は維持されます。事務所・店舗に転用すると特例が外れます。
- 「1月1日に売ったのに請求が来た」:固定資産税は1月1日時点の所有者に1年分課税されます。売買時は引渡し日で日割り精算するのが商慣習です。
よくある質問
新築の固定資産税はいくらくらいですか?
目安として、土地150㎡・建物評価1,200万円の戸建てで当初3年間は年15万円前後(都市計画税込みで18万円前後)、減額終了後は年23万円前後です。評価額は建築費の5〜6割程度が目安で、地域・仕様により大きく変わります。
4年目(6年目)に固定資産税が急に上がったのはなぜですか?
新築住宅の税額1/2減額(戸建て3年・耐火マンション5年)が終了したためです。故障や誤りではなく制度どおりの動きで、納税通知書の課税明細にも減額終了が反映されています。
家を取り壊して更地にすると税金はどうなりますか?
住宅用地特例(1/6)が外れるため、土地の固定資産税は翌年度から最大で約6倍に上がります(実際は負担調整等で変動)。建て替え中の一定の場合は特例が継続する救済もあるので、取壊し前に自治体へ確認しましょう。
固定資産税が間違っている気がします。どうすればいいですか?
まず課税明細書で住宅用地特例・新築減額の適用を確認し、4月ごろの縦覧で近隣と比較できます。評価に不服があれば固定資産評価審査委員会へ審査申出、明らかな課税誤りは自治体に申し出れば還付(最低5年分)を受けられます。
関連コラム
データの出典
- 新築住宅の減額措置(1/2・3年/5年・120㎡)・リフォーム減税:国土交通省 新築住宅に係る税額の減額措置/延長(令和8年度改正):国土交通省 令和8年度税制改正概要
- 住宅用地特例(1/6・1/3)・税率1.4%・免税点:地方税法349条の3の2ほか/各自治体の解説(例:大阪市・横浜市)
※税率(1.4%は標準税率で自治体により異なる場合あり)・減額の要件・縦覧の日程は自治体ごとに異なります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の税額はお住まいの市区町村にご確認ください。




