家族が亡くなったとき、故人のその年の所得税の申告は、相続人が代わって行います。これが「準確定申告」です。期限は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内と、通常の確定申告より厳しめ。一方で、年金暮らしの親なら申告不要のことも多く、逆に医療費控除などで「還付」になるケースも少なくありません。必要かどうかの判定から手順まで、国税庁の出典つきで整理します。
① 期限:相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告・納税[国税庁 No.2022]。
② 必要な人:故人が個人事業主・不動産収入あり・給与2,000万円超・年金400万円超など、生前なら確定申告が必要だった場合。
③ 公的年金400万円以下(かつ他の所得20万円以下)なら申告不要のことが多い。ただし医療費控除などで還付になるなら、任意の還付申告をする価値あり(こちらは4か月に縛られず5年可)。
④ 相続人が2人以上いるときは全員連署の「付表」を添付。納めた所得税は相続税の債務控除、還付金は相続財産になる。
準確定申告が「必要な人」「不要な人」
| 判定 | 故人の状況の例 |
|---|---|
| 必要 | 個人事業・フリーランスの所得があった/不動産の家賃収入があった/給与が2,000万円超/公的年金が400万円超/給与・年金以外の所得が20万円超/株や不動産を売って利益が出ていた など |
| 不要 | 年金が400万円以下で他の所得が20万円以下/給与1か所で年末調整相当の精算がされる場合 など |
| 不要だが「すると得」 | 入院・介護で医療費が多かった/年金や給与から源泉徴収されていた/生命保険料控除などが未精算 → 還付申告で取り戻せる(5年以内) |
判定の考え方は通常の確定申告と同じです(確定申告が必要な人)。亡くなった年の1月1日〜死亡日までの所得で計算します。なお、前年分の申告がまだ済んでいないまま亡くなった場合(1〜3月の死亡など)は、前年分も同じく4か月以内に申告します[国税庁]。
手順と必要書類
- 申告者:相続人(包括受遺者を含む)。2人以上いる場合は、原則全員が連署した「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」を添付します[国税庁]。
- 提出先:故人の住所地を管轄する税務署(相続人の住所地ではない点に注意)。e-Taxでも提出できます。
- 主な書類:源泉徴収票(年金は日本年金機構から死亡後に「準確定申告用」が送られてきます)・医療費の領収書・保険料控除証明書・事業の帳簿など。
- 所得控除の扱い:社会保険料・生命保険料・医療費などは死亡日までに故人が支払った分が対象。配偶者控除や扶養控除は死亡日の現況で判定します。
相続税との関係(ここを見落とさない)
- 納めた所得税 → 相続税の計算で債務控除として遺産から差し引けます。
- 還付された税金 → 故人の財産として相続財産に含めます(相続税の対象)。
- 死亡日以降の入院費を相続人が払った場合、準確定申告の医療費控除には入れられませんが、相続税の債務控除の対象になります。生計が同じ相続人なら、自分の確定申告の医療費控除に入れられる場合もあります。
- 相続全体のスケジュール(相続税は10か月以内)は相続税の基礎控除と節税対策を参照してください。
よくある質問
準確定申告の期限はいつまでですか?
相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、申告と納税の両方を行います。期限を過ぎると無申告加算税や延滞税の対象になります。なお還付を受けるためだけの申告なら、4か月にかかわらず5年間提出できます。
年金暮らしの親が亡くなりました。申告は必要ですか?
公的年金が年400万円以下で、ほかの所得が20万円以下なら申告不要です。ただし入院・介護で医療費が多かった場合や年金から所得税が源泉徴収されていた場合は、還付申告をするとお金が戻ることが多いので、源泉徴収票が届いたら確認しましょう。
相続人が複数いる場合はどうしますか?
原則として相続人全員が連署した付表を添えて1通で申告します。各相続人が別々に提出する方法もありますが、その場合は他の相続人に申告内容を通知する必要があります。
還付金は誰のものになりますか?
故人の相続財産となり、法定相続分などに応じて相続人が受け取ります。相続税の課税対象にも含まれるため、遺産の集計に入れ忘れないようにしましょう。
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データの出典
- 準確定申告(4か月以内・付表・前年分の扱い):国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
※本記事は一般的な情報提供であり、税務上の助言ではありません。個別の判定・相続税との関係は税務署・税理士にご確認ください。




