6月に税務署から「予定納税額の通知書」が届いて驚いていませんか? 予定納税は、前年の所得税が一定額以上だった人が、今年の税金の一部を7月と11月に前払いする制度です。罰金でも追徴でもなく、確定申告で必ず精算される「前払い」。ただし払わないと延滞税がかかり、利益が減った年は「減額申請」で減らせるので、しくみを正しく知っておきましょう。
① 対象:予定納税基準額(おおむね前年の申告納税額)が15万円以上の人。6月15日までに税務署から通知が届く[国税庁 No.2040]。
② 納付:基準額の3分の1ずつを第1期(7/1〜7/31)・第2期(11/1〜11/30)に納付。
③ 今年の利益が減りそうなら「減額申請」:6月30日の現況で見積もり、7月15日までに提出(第2期のみは11月15日まで)。
④ 払った分は確定申告で精算。納めすぎなら還付(還付加算金つき)。無視して払わないと延滞税(年8.7%・2か月以内は2.4%)が付くので注意。
だれが対象?(基準額15万円以上)
予定納税基準額が15万円以上の人が対象です。基準額は、おおむね「前年分の申告納税額(源泉徴収された分を除いた、確定申告で納めた所得税)」です[国税庁 No.2040]。典型的には:
- 個人事業主・フリーランスで前年に利益が出て、確定申告で15万円以上納めた人
- 不動産所得・副業などで大きな申告納税があった会社員
申請は不要で、対象者には6月15日までに通知書(またはe-Taxのメッセージ)が自動的に届きます。e-Tax利用者は書面が来ない場合があるので、メッセージボックスも確認を。
いつ・いくら払う?
| 納付額 | 納期 | |
|---|---|---|
| 第1期 | 予定納税基準額の 1/3 | 7月1日〜7月31日 |
| 第2期 | 予定納税基準額の 1/3 | 11月1日〜11月30日 |
| 残り | 確定申告で精算(不足分を納付/払いすぎは還付) | 翌年3月15日(確定申告) |
納付方法は、振替納税(口座引落し・手数料0)のほか、ダイレクト納付・スマホアプリ納付・クレジットカードなどが使えます。比較は税金のキャッシュレス納付で解説しています。年間の納付スケジュールは税金カレンダーへ。
利益が減った年は「減額申請」
「去年は良かったが今年は厳しい」。そんな年は、前払いを減らせます[国税庁 No.2040]。
- 第1期から減らす:その年6月30日の現況で年間の所得・税額を見積もり、「予定納税額の減額申請書」を7月15日までに税務署へ提出(e-Tax可)。
- 第2期のみ減らす:10月31日の現況で見積もり、11月15日までに提出。
- 認められる例:廃業・休業・業績不振で今年の見積税額が基準額より明らかに少ない、災害・盗難、多額の医療費控除が見込まれる、など。
予定納税を多めに払って確定申告で還付になると、還付加算金(利息に相当・年率は延滞税の軽減割合と同水準)が付きます。資金繰りに余裕があるなら、無理に減額しないのも一つの考え方です。逆に資金繰り優先なら、期限内の減額申請が有効です。
払わないとどうなる?/よくある誤解
よくある質問
予定納税の通知が来ました。必ず払わないといけませんか?
原則は納付義務があります。ただし今年の所得が減る見込みなら、7月15日(第2期のみは11月15日)までに減額申請をすれば減らす・ゼロにすることができます。放置して払わないと延滞税が付くため、「払う」か「減額申請」のどちらかを期限内に行いましょう。
予定納税はいくらから対象になりますか?
予定納税基準額(おおむね前年の申告納税額)が15万円以上の人です。源泉徴収だけで完結している会社員は通常対象になりません。
払った予定納税はどうなりますか?
翌年の確定申告で年間の所得税から差し引いて精算します。納めすぎていれば還付され、還付加算金も付きます。申告書の「予定納税額」欄への記載を忘れないでください。
資金がなくて期限までに払えません。
まず減額申請を検討してください。要件に当てはまらない場合も、税務署に相談すると納付の猶予などの制度があります。無断で滞納すると延滞税(最大年8.7%)が増えるため、放置が最も不利です。
関連コラム
- 税金のキャッシュレス納付(納付方法の比較)
- 税金カレンダー(年間の納付期限)
- 個人事業税(8月に来るもう一つの通知)/e-Taxで確定申告
データの出典
- 予定納税(基準額15万円以上・6/15までに通知・第1期7月/第2期11月・減額申請7/15):国税庁 No.2040 予定納税
- 延滞税の割合:国税庁 延滞税の割合
※期限が土日祝にあたる年は翌平日が期限です。本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。




