確定申告 – 個人事業主

個人事業主の確定申告ガイド

いつ・何を・どうやって提出するか、ゼロからわかる。

確定申告が必要な人の判定から、必要書類の準備・記帳・提出・納付まで、個人事業主・フリーランスが知っておくべきことを一気にまとめました。

📋 確定申告とは?

確定申告とは、1月1日〜12月31日の1年間の所得を計算し、納めるべき所得税を自分で申告・納付する手続きです。会社員の場合は会社が年末調整してくれますが、個人事業主・フリーランスは自分で行う必要があります。

📅
申告期間

毎年 2月16日〜3月15日
(土日祝にかかる場合は翌営業日)

💴
計算の対象

前年1月1日〜12月31日の所得(≒利益)が対象

🏛️
提出先

納税地(住所地)を管轄する税務署
またはe-Taxでオンライン提出

💳
納付期限

所得税は3月15日まで
振替納税(口座振替)は4月中旬

確定申告の全体像
1
日々の記帳
1〜12月
2
書類収集
1月〜
3
決算整理
1〜2月
4
申告書作成
2〜3月
5
提出・納付
3/15まで
📐 所得税の計算の流れ
売上(収入)
必要経費
事業所得
各種控除
(青色特別・基礎・社保 等)
課税所得
×
税率
所得税額

※ 所得税率は課税所得に応じて5〜45%(超過累進課税)。これに住民税10%が別途かかります。

❓ 申告が必要な人

個人事業主・フリーランスは原則として確定申告が必要ですが、所得が少ない場合や、給与所得との組み合わせによっては状況が異なります。以下のフローで確認してください。

事業所得(売上 − 経費)は
48万円超ですか?
はい(超えている)
✅ 確定申告 必要

基礎控除(48万円)を超えた分に所得税がかかるため、申告が必要です。

いいえ(48万円以下)
△ 状況による

所得税はゼロでも、住民税の申告が必要な場合があります。また還付を受けたいなら申告できます。

申告が必要なケース一覧

必須
事業所得が48万円(基礎控除)を超える

個人事業主・フリーランスの基本パターン。事業所得 = 売上 − 経費 が48万円を超えたら申告必要。

必須
給与所得がある会社員が副業で20万円超の所得を得た

本業は年末調整済みでも、副業の事業所得・雑所得が20万円を超えれば確定申告が必要。

必須
不動産所得・譲渡所得・一時所得がある

賃料収入、土地・建物・株式の売却益なども所得に加算されます。

任意
源泉徴収されすぎた税金を取り戻したい(還付申告)

医療費控除・住宅ローン控除・寄附金控除(ふるさと納税)を適用したい場合。申告すると還付が受けられます。

任意
赤字(損失)を翌年に繰り越したい

青色申告では、事業の赤字を3年間繰り越せます(純損失の繰越控除)。この恩恵を受けるには申告が必要。

📌 個人事業主は「所得ゼロ」でも申告すべき理由

たとえ税額がゼロでも、申告することで所得証明書が発行されます。住宅ローン・保育園の入園審査・各種補助金申請など、所得証明を求められる場面で必要になります。

📒 青色申告 vs 白色申告

確定申告には青色申告白色申告の2種類があります。個人事業主なら、手間はかかりますが圧倒的に節税できる青色申告を強く推奨します。

比較項目📒 青色申告📄 白色申告
事前届出 必要(青色申告承認申請書)
開業から2ヶ月以内 or 前年12月31日まで
不要
帳簿の種類 複式簿記(65万円控除)
または簡易簿記(10万円控除)
単式簿記(収支内訳書)
特別控除額 最大 65万円(e-Tax利用時) 0円(控除なし)
赤字の繰越 3年間繰り越し可能 不可
家族への給与 青色事業専従者給与として全額経費化可 上限あり(配偶者50万円・その他86万円の控除のみ)
30万円未満備品 一括経費計上できる(少額減価償却の特例) 原則として減価償却が必要
手間 やや多め(会計ソフトで大幅軽減可) 比較的シンプル
📊 計算例:年間売上500万円・経費200万円の場合
📄 白色申告
売上5,000,000円
経費-2,000,000円
特別控除0円
事業所得3,000,000円
基礎控除等-730,000円
課税所得2,270,000円
所得税(10%)≒ 約172,500円
VS
📒 青色申告(e-Tax)
売上5,000,000円
経費-2,000,000円
青色特別控除-650,000円
事業所得2,350,000円
基礎控除等-730,000円
課税所得1,620,000円
所得税(5%)≒ 約81,000円
→ 約91,500円の節税!
💡 青色申告に切り替えるだけで年間9万円以上の節税になることも。所得税+住民税(10%)も合わせると節税効果はさらに大きくなります。
📌 青色申告を始める手順
  1. 税務署に「青色申告承認申請書」を提出(開業から2ヶ月以内 or その年の3月15日まで)
  2. 会計ソフト(freee・マネーフォワード・弥生など)を導入する
  3. 銀行口座・クレジットカードを連携し、日々の取引を自動取込する
  4. 期末に減価償却・棚卸しを入力し、青色申告決算書を作成する
  5. e-Taxで提出(65万円控除を適用するには電子申告が必要)

📂 必要書類の準備

確定申告の準備は、年末から1月にかけて書類を集めるところから始まります。以下のチェックリストを参考に、早めに揃えましょう。

① 事業に関する書類

青色申告決算書 / 収支内訳書

会計ソフトから出力。青色=損益計算書+貸借対照表。白色=収支内訳書のみ。

必須
帳簿・領収書・レシート(7年間保管)

提出は不要だが税務調査に備えて保管。電子データ(スキャン)でもOK。

必須
支払調書(取引先から送付)

源泉徴収された取引先から届く。提出は不要だが、源泉税額を申告書に記入するために確認必要。

確認

② 控除に関する書類

社会保険料控除証明書(国民年金)

毎年10〜11月に日本年金機構から郵送される。国民健康保険は自治体の納付履歴を確認。

必須
小規模企業共済等掛金払込証明書

小規模企業共済・iDeCoに加入している場合、11月頃に送付される。

該当者
生命保険料控除証明書

各保険会社から10〜11月に届く。生命・介護医療・個人年金の3区分それぞれ最大4万円控除。

該当者
医療費の領収書・医療費通知

年間10万円超(または所得の5%超)の医療費がある場合。健康保険組合の通知でまとめて確認可能。

該当者
ふるさと納税の受領証明書

各自治体から送付される受領証(寄附金受領証明書)。ワンストップ特例を使わない場合に必要。

該当者
住宅借入金等特別控除証明書

住宅ローン控除2年目以降は税務署から届く年末残高証明書とともに申告。

該当者

③ 本人確認書類

マイナンバーカード(e-Tax利用の場合)

電子申告にはマイナンバーカードとカードリーダー(またはスマホ)が必要。

必須
振替納税の場合は口座情報

口座振替で納税する場合は銀行口座番号・金融機関コードを用意。

該当者
💡 書類のデジタル管理がおすすめ

領収書はスマホカメラやスキャナーでPDF化して保存しておくと、いざ申告するときに探す手間が省けます。電子帳簿保存法の要件(解像度・タイムスタンプ等)を満たせば紙の保管は不要になります。

🪜 申告の手順(STEP別)

確定申告をスムーズに進めるための手順を、年間スケジュールとともに解説します。「申告期間になってから慌てる」を防ぐのが最大のコツです。

通年
📓
STEP 1 | 日々の記帳・領収書の保管

売上・経費を会計ソフト(freee・マネーフォワード等)に都度入力します。銀行口座やクレジットカードを連携すれば、ほとんど自動で入力できます。

📌 領収書は「日付・金額・購入内容・支払先」が揃っているか確認
📌 プライベートと事業の口座・カードを分けると仕訳が楽になる
📌 現金払いは特に忘れやすいので、その場でスキャン・入力する習慣を
1月
📬
STEP 2 | 控除証明書・支払調書の収集

年末〜1月にかけて、国民年金の控除証明書・生命保険料控除証明書・取引先からの支払調書などが届きます。届いたらすぐにひとつのファイルにまとめておきましょう。

📌 支払調書は送付義務がない(任意)ため届かないことも。取引先に確認を
📌 ふるさと納税の受領証明書が揃っているか確認する
1〜2月
📊
STEP 3 | 決算整理(帳簿の締め)

1年間の帳簿を締め、決算書を作成します。会計ソフトを使っている場合は「決算整理」の画面で以下の作業を行います。

減価償却費の計上

PC・機械・車両など、30万円以上の資産は毎年定額法・定率法で費用化。青色申告の30万円未満特例を活用すると一括計上できる。

棚卸し(在庫がある業種)

12月末時点の在庫金額を確認し、「期末棚卸高」として計上。在庫が多いほど費用(売上原価)が減る点に注意。

未払費用・前払費用の調整

12月に支払いが発生しているが翌年分に相当する経費(例:1〜3月分の家賃を12月に前払い)は「前払費用」として処理。

売掛金・買掛金の確認

年末時点で請求済み未回収の売掛金、未払いの仕入れ代を正確に計上する。

2〜3月
📝
STEP 4 | 申告書の作成

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」(e-Tax)または会計ソフトから申告書を作成します。画面の指示に従って入力すれば自動で計算してくれます。

第一表(申告書A廃止→全員が申告書B相当)

所得・所得控除・税額の合計を記入するメインの用紙。

第二表

各控除の明細(社会保険料・生命保険料など)を記入。

青色申告決算書(青色申告の場合)

損益計算書(1〜2ページ目)と貸借対照表(3〜4ページ目)。複式簿記なら貸借対照表も必要。

📌 源泉徴収された税額は「源泉徴収税額」欄に記入して還付を受けること
📌 予定納税をした場合は「予定納税額」欄に記入
3/15
📤
STEP 5 | 提出(期限:3月15日)

申告書の提出方法は3つ。e-Tax(電子申告)が最もおすすめです。

💻 e-Tax(電子申告)★推奨
  • 24時間・365日提出可能
  • マイナンバーカード+スマホで完結
  • 青色申告特別控除が65万円に(紙だと55万円)
  • 還付が早い(通常3週間以内)
  • 控除証明書の添付省略可能
📮 郵送(税務署への書類送付)
  • 3月15日消印有効
  • 控除証明書などの原本を同封
  • 控えは必ず自分でコピーしておくこと
🏛️ 税務署窓口への持参
  • 混雑しやすいので早めに行く
  • 申告相談窓口で確認しながら提出できる
  • 期間中は日曜日も一部開設
3〜4月
💰
STEP 6 | 納付または還付の確認
納付(税額がある場合)
  • 3月15日までに納付
  • 振替納税(口座振替)は4月中旬に引落し
  • ダイレクト納付・コンビニ・クレカ払いも可
還付(払いすぎた場合)
  • e-Taxなら通常3週間以内に振込
  • 紙申告は1〜2ヶ月かかることも
  • 振込先口座を申告書に正確に記入すること
📌 予定納税(7月・11月):前年の所得税額が15万円以上の場合、翌年分の税金を先払いする制度。確定申告時に精算される。

💻 e-Tax(電子申告)の方法

e-Taxはスマートフォンのみで申告が完結できます。マイナンバーカードを使うスマホ申告が最もシンプルな方法です。

スマートフォンで申告する手順

1
マイナポータルアプリをインストール

iOS・Android両対応。マイナンバーカードのNFC読み取り機能を使うため、対応スマホが必要(ほぼ全ての最近のスマホが対応)。

2
マイナポータルで外部サービスと連携

控除証明書の自動連携を設定する(国民年金・民間保険等)。事前連携しておくと入力が大幅に省略できる。

3
確定申告書等作成コーナーへアクセス

国税庁のサイトまたはマイナポータルの「確定申告」メニューから開始。「スマートフォンを使用する」を選択。

4
マイナンバーカードで本人認証

カードをスマホにかざしてICチップを読み取り、利用者証明用電子証明書のパスワード(数字4桁)を入力。

5
申告書の作成・送信

画面の指示に従って収入・経費・控除を入力。会計ソフトで作成した決算書のデータを連携(XML形式)すると入力を省略できる。最後に送信ボタンを押せば完了。

申告方法必要なもの青色申告特別控除難易度
スマホ(マイナカード) マイナンバーカード・NFC対応スマホ 65万円 ★★☆
PC(マイナカード) マイナンバーカード・ICカードリーダー・PC 65万円 ★★★
PC(ID・パスワード方式) 税務署で事前取得したID・パスワード 65万円 ★★☆
書面(郵送・窓口) 印刷・控除証明書原本 55万円 ★☆☆
📌 会計ソフトとe-Taxの連携

freee・マネーフォワード・弥生などの会計ソフトは、作成した決算書をe-Taxに直接送信する機能を持っています。申告書の作成コーナーへ個別に入力する手間が省けるため、会計ソフトを使っている場合はその機能を活用するのが最もスムーズです。

💰 忘れやすい所得控除

確定申告では、経費計上の他にも多くの所得控除が適用できます。控除を取り漏らすと余分な税金を払うことになるため、以下をしっかり確認してください。

🏦
社会保険料控除
全額控除

国民年金・国民健康保険料の全額。家族分をまとめて支払った場合も控除可。

🏢
小規模企業共済等掛金控除
全額控除

小規模企業共済・iDeCoの掛金全額。個人事業主が使える最強の節税手段。

🏥
医療費控除
10万円超の部分

年間医療費が10万円超(所得の5%を超える場合はその金額)なら控除。家族分も合算可。

🛡️
生命保険料控除
最大12万円

生命・介護医療・個人年金の3種類それぞれ最大4万円、合計最大12万円控除。

🏠
地震保険料控除
最大5万円

地震保険料の全額(上限5万円)。賃貸でも家財保険に地震特約があれば対象。

🎗️
寄附金控除(ふるさと納税)
寄附額 − 2,000円

個人事業主はワンストップ特例が使えないので確定申告で控除を受ける必要がある。

👨‍👩‍👧
扶養控除・配偶者控除
38〜63万円

生計を共にする扶養家族がいる場合。配偶者の所得が48万円以下なら配偶者控除(38万円)。

🧑‍🦼
障害者控除・寡婦控除
27〜75万円

本人または扶養家族に障害がある場合、ひとり親・寡婦に該当する場合に適用。

🎓
セルフメディケーション税制
12,000円超の部分

OTC医薬品(市販薬)の購入費が12,000円を超えた部分(上限88,000円)。医療費控除との選択制。

📊 控除を最大限活用した場合の計算例(事業所得350万円・会社員なしの個人事業主)
事業所得3,500,000円
青色申告特別控除(e-Tax)-650,000円
基礎控除-480,000円
社会保険料控除(国民年金+国保)-580,000円
小規模企業共済(月3万円×12ヶ月)-360,000円
iDeCo(月2万円×12ヶ月)-240,000円
生命保険料控除-80,000円
課税所得1,110,000円
所得税(5%)+住民税(10%)概算約166,500円 💰
💡 控除を使わないと税額は約42万円。各控除をフル活用することで約25万円の節税になります。

⚠️ よくあるミスと対処法

確定申告で多くの人が失敗するポイントをまとめました。事前に知っておくことでトラブルを回避できます。

01
申告期限を過ぎてしまった(無申告)
問題

無申告のまま放置すると、本来の税額に無申告加算税(5〜20%)延滞税(年利2〜14.6%)が加算されます。

対処法

気づいたらすぐに申告する(期限後申告)。自主的に申告した場合は加算税が5%に軽減されます。税務署から指摘された後では加算税が増えます。

02
記入ミス・計算ミスがあった(修正申告・更正の請求)
問題

所得を少なく申告した(税金を少なく払った)、または控除を申告し忘れた(税金を払いすぎた)場合。

対処法

税金が増える場合は「修正申告」を提出。税金が減る場合(払いすぎ)は「更正の請求」を申告期限から5年以内に提出することで還付を受けられます。

03
経費の計上漏れ・計上しすぎ
問題

事業と無関係な支出を経費にした場合、税務調査で否認されペナルティが発生します。逆に計上漏れがあると余分な税金を払います。

対処法

事業との関連性を明確にできる支出のみ経費計上する。グレーな支出は「事業目的のメモ」をレシートに書き添えておく。家事按分は合理的な根拠(面積比・時間比)を記録しておく。

04
源泉徴収税額を申告書に記入し忘れた
問題

取引先に源泉徴収されている場合(10.21%が差し引かれている)、その金額を申告書に記入しないと還付を受けられません。

対処法

支払調書や会計ソフトの帳簿で源泉徴収額を合計し、申告書の「源泉徴収税額」欄に正確に記入。記入することで払いすぎた税金が還付されます。

05
青色申告の届出を出していなかった
問題

青色申告をしたつもりでも、承認申請書を提出していないと白色申告として扱われ、65万円控除が受けられません。

対処法

今年の申告を白色で行い、来年分から青色申告にする場合は3月15日までに承認申請書を税務署へ提出します。開業したばかりなら開業から2ヶ月以内が期限。

06
予定納税を払い忘れた
問題

前年の所得税が15万円以上の場合、7月と11月に「予定納税」の義務があります。払い忘れると延滞税が発生します。

対処法

税務署から「予定納税額の通知書」が6月に届くので見逃さないこと。収入が大幅に減った場合は「予定納税額の減額申請書」を提出すると減額できます。

📅 個人事業主の税金カレンダー(年間スケジュール)
1月

• 支払調書・控除証明書の収集

• 帳簿の締め作業開始

2月

• 確定申告書作成開始

2/16〜 申告受付開始

3月

3/15 確定申告・納付期限

• 翌年青色申告の申請期限(3/15)

4月

• 振替納税の引落し(4月中旬)

• 住民税の決定通知(5〜6月)

6月

• 住民税の支払い開始(6月〜)

• 予定納税通知書が届く

7月

予定納税 第1期(7/31まで)

10〜11月

• 控除証明書が届き始める

予定納税 第2期(11/30まで)

12月

• 青色申告承認申請書の提出期限(翌年分)

• 年間の領収書・帳簿の整理