贈与税の非課税枠

相続・贈与

贈与税の非課税枠110万円|正しい使い方と「定期贈与」と認定されるリスク

「子どもに毎年110万円を贈与すれば贈与税がかからない」という話は有名です。しかし、やり方を間違えると「定期贈与」として一括で課税されたり、相続財産に持ち戻されて相続税の対象になったりするリスクがあります。正しい使い方を理解することが重要です。

贈与税の基礎控除(年110万円の非課税枠)

基礎控除の仕組み
受贈者1人あたり 年間110万円まで → 贈与税ゼロ・申告不要

「110万円」は贈与者1人あたりではなく、受け取る側(受贈者)1人あたりの合計です。複数の人から贈与を受けた場合は合計が対象になります。

計算例

祖父・父母から合計200万円の贈与を受けた場合:200万円 − 110万円 = 90万円 → 90万円 × 10% = 9万円の贈与税(申告必要)

「定期贈与」と認定されるリスク

毎年同じ金額を継続して贈与すると、税務署から「定期贈与」とみなされる可能性があります。10年間毎年100万円という約束に基づく贈与とされると、合計1,000万円を一括で受けたとみなして課税されます。

✅ 定期贈与と認定されないための対策

① 毎年同じ金額にしない(100万円、80万円、120万円など変化をつける)
② 贈与のタイミングを変える(12月と4月など時期をばらす)
③ 毎年、贈与契約書を作成する(「今年の贈与」であることを書面で明確にする)
④ 受贈者の口座に振り込む(現金手渡しは証拠が残りにくい)
⑤ 受贈者が自由に使える口座に振り込む(親管理の子名義口座は「名義預金」とみなされる場合あり)

相続前7年以内の贈与は相続財産に持ち戻される(2024年改正)

持ち戻し期間が3年から7年に延長(2024年1月以降の贈与から適用)

相続前3年以内の贈与:全額が相続財産に加算
相続前3〜7年の贈与:合計100万円を超えた部分が相続財産に加算

晩年の親への対策として贈与を始めた場合、7年以内に相続が発生すると節税効果が薄れます。できるだけ早く(親が元気なうちから)贈与を始めることが重要です。

目的別の大型非課税枠

教育資金

最大1,500万円

祖父母・父母から30歳未満の子・孫への教育資金。学校への直接支払い1,500万円・塾・習い事500万円まで非課税(金融機関の専用口座が必要)。

結婚・子育て

最大1,000万円

18歳以上50歳未満の子・孫への結婚・子育て資金として1,000万円まで非課税(結婚費用は300万円まで)。

住宅取得

最大1,000万円

父母・祖父母からの住宅取得・リフォーム資金。省エネ基準適合住宅は最大1,000万円、一般住宅は500万円まで非課税。

相続時精算課税制度

累計2,500万円まで非課税で贈与できる制度(ただし相続時に精算)

通常の暦年贈与の代わりに選択する制度。2,500万円を超えた部分は一律20%の贈与税が課税されます。相続時には贈与財産を相続財産に加算して精算します。

2024年改正で年110万円の基礎控除が新設。精算課税を選択しても年110万円以下の贈与は相続財産への加算不要になりました。

まとめ

基礎控除年110万円。受け取る側1人あたり、複数人からの合計が対象
定期贈与リスク毎年同じ金額を続けると一括課税。金額・時期を変え、毎年贈与契約書を作成する
持ち戻し(2024年)相続前7年以内の贈与は相続財産に加算(3〜7年分は100万円を超えた部分)
目的別非課税枠教育資金1,500万円・住宅取得最大1,000万円など
相続時精算課税累計2,500万円まで非課税だが、相続時に精算される