個人事業主向け – 経費一覧

経費にできるもの一覧

個人事業主・フリーランスが知っておくべき経費の全知識

何を経費にできるか・できないかを勘定科目別に整理しました。必要経費を正しく計上することが、最も身近な節税の第一歩です。

📌 経費の基本ルール

税法上の必要経費とは、「事業の収入を得るために必要な支出」です。事業との関連性(業務関連性)が認められれば経費に計上できますが、プライベートの支出は認められません。

経費になる

事業と直接関連する支出。または事業と関連することが合理的に説明できる支出。

例:取引先との打ち合わせ代、業務用PC、事務所の家賃
経費にならない

プライベートの支出、事業との関連性が説明できない支出、所得税・住民税・罰金など。

例:家族との食事、趣味の用品、個人の生命保険料(控除として別途申請)
按分で一部経費

事業とプライベートが混在する支出は、業務使用割合を算出して案分計上できる。

例:自宅家賃・スマホ代・車・インターネット代
📌 経費計上に必要な3つの証拠
  • 領収書・レシート:日付・金額・支払先が記載されたもの(7年間保管)
  • 帳簿への記録:勘定科目・摘要(何のための支出か)を記帳
  • 業務関連性の根拠:按分の場合は割合の計算根拠を残す

🗂️ 勘定科目別 経費一覧

個人事業主がよく使う勘定科目を15種類まとめました。「何の科目で処理するか」を知ることで、帳簿づけがスムーズになります。

📡 通信費 按分必要なものあり
✅ 経費にできるもの
  • 事業専用スマホの通話・通信料
  • 事業専用のインターネット(光回線など)
  • オンラインミーティングツール(Zoom、Teams等)の月額
  • クラウドサービス(Dropbox、Google Workspace等)
  • ドメイン・サーバー代
  • FAX・郵便料金(業務用)
⚡ 按分で一部経費
  • プライベートと兼用のスマホ代
    → 業務使用割合で按分(例:60%を経費に)
  • 自宅の固定回線・Wi-Fi
    → 業務使用割合で按分
🚃 旅費交通費 出張・移動は幅広く認められる
✅ 経費にできるもの
  • 取引先・打ち合わせへの電車・バス代
  • 業務上の出張(新幹線・飛行機・宿泊費)
  • タクシー(業務移動・終電後の帰宅含む)
  • セミナー・勉強会への交通費
  • 業務での有料道路・駐車場代
  • ICカード(Suica等)の業務利用分
❌ 経費にできないもの
  • プライベートの旅行・観光
  • 通勤(自宅⇄事務所)は原則経費外
    ※ 自宅が事業所の場合は異なる
🚗 車両費・ガソリン代 兼用の場合は按分
✅ 経費にできるもの
  • 業務専用車のガソリン代
  • 業務用の駐車場代(月極)
  • 車検・整備費(業務専用)
  • 自動車保険料(業務専用)
  • 自動車税(業務専用)
⚡ 按分で一部経費
  • プライベート兼用の車のガソリン代
    → 走行距離日誌をつけて業務割合を算出
  • 自動車保険・税金・修繕費
    → 同じ按分割合を使用
📌 走行距離日誌のポイント

「日付・行き先・目的・走行距離」を記録する。按分の根拠として税務調査でも有効。月次でまとめれば十分。

🍽️ 接待交際費・会議費 目的と相手の記録が重要
✅ 経費にできるもの
  • 取引先との食事・接待代(接待交際費)
  • 打ち合わせ中の飲食(会議費)
  • 取引先への贈答品・手土産
  • 業務上の慶弔見舞金
❌ 経費にできないもの
  • プライベートの友人との食事
  • 家族だけでの外食
  • 一人での食事(原則外:同席者が必要)
接待交際費 vs 会議費の違い
🍽️ 接待交際費☕ 会議費
目的取引先をもてなす打ち合わせ中の飲食
金額感高額になりやすい1人5,000円程度まで
個人事業主への制限原則制限なし(全額経費)原則制限なし(全額経費)
法人との違い法人は800万円 or 50%制限あり会議費は全額損金

※ 個人事業主は法人のような接待交際費の上限制限はありませんが、「事業上の必要性」の説明が求められます。

📣 広告宣伝費 幅広く認められる
✅ 経費にできるもの
  • Web広告費(Google広告・SNS広告等)
  • ホームページ制作・維持費
  • 名刺・チラシ・パンフレット作成費
  • ポータルサイト・クラウドソーシング掲載料
  • SNSアカウント運用のためのツール・素材費
  • 展示会・イベント出展費
  • サービスのサンプル・試供品代
📚 研修費・書籍代・セミナー代 事業関連なら全額経費
✅ 経費にできるもの
  • 業務に関連する書籍・雑誌・電子書籍
  • 業務関連のセミナー・勉強会の参加費
  • 資格取得費用(業務に直接必要な場合)
  • オンライン学習サービス(Udemy等)
  • 業務関連の研修・スクール費用
❌ 経費にできないもの
  • 趣味の書籍・趣味のセミナー
  • 業務と無関係な資格取得費
    例:エンジニアが料理教室に通う費用
🤝 外注費・業務委託費 源泉徴収に注意
✅ 経費にできるもの
  • デザイナー・エンジニア・ライターへの業務委託料
  • 税理士・社労士・弁護士への報酬
  • コンサルタント費用
  • 翻訳・通訳費用
  • 業務委託先への支払い全般
📌 源泉徴収の義務に注意

個人への外注(特定の業種:デザイン、翻訳、著述等)には源泉徴収(10.21%)の義務があります。支払い時に天引きして、翌月10日までに納付が必要です。法人への外注は不要。

🖊️ 消耗品費・事務用品費 10万円未満は全額即時経費
✅ 経費にできるもの(取得価額10万円未満)
  • 文房具・コピー用紙・封筒などの事務用品
  • プリンターインク・トナー
  • 10万円未満のPC周辺機器(マウス・キーボード・モニター等)
  • ソフトウェアのライセンス費用
  • 作業服・ユニフォーム(業務専用)
  • 梱包材・発送用資材

※ 取得価額が10万円以上の場合は「減価償却資産」として複数年にわたり経費化。ただし青色申告の30万円特例あり(後述)。

その他の勘定科目まとめ

勘定科目主な内容注意点
地代家賃 事務所・倉庫・駐車場の家賃 自宅兼事務所は家事按分が必要
水道光熱費 事務所の電気・ガス・水道代 自宅兼事務所は家事按分が必要
保険料 事業用の損害保険・火災保険料 生命保険は経費外(控除として別途申請)
租税公課 固定資産税・個人事業税・印紙代 所得税・住民税は経費にならない
福利厚生費 従業員の健診費・社員旅行等 一人親方(従業員なし)は適用外
給料賃金 従業員への給与・アルバイト代 青色専従者給与は別科目で処理
修繕費 事務所・機器の修繕・メンテナンス 価値を高める改修は資本的支出として減価償却
雑費 他の科目に当てはまらない少額の支出 多用しすぎると税務調査で指摘される。できるだけ適切な科目へ

🏠 家事按分のしくみ

自宅を事務所として使っている場合、家賃・光熱費・通信費などを家事按分によって一部経費にできます。「業務に使っている割合」を合理的な根拠をもとに計算します。

よく使われる按分の根拠

📐
① 面積比(家賃・光熱費)

部屋全体の床面積に対する仕事専用スペースの面積で割合を算出。間取り図があると根拠として強い。

仕事スペース8㎡ ÷ 全体40㎡ = 20%を経費化
② 時間比(光熱費・通信費)

1日のうち業務に費やした時間の割合。通信費などは時間ベースで按分するのが合理的。

業務時間8時間 ÷ 1日24時間 = 33%を経費化
📱
③ 使用割合(スマホ・車)

通話履歴や走行距離日誌などをもとに、業務使用率を実態に合わせて設定する。

業務通話70% → スマホ代の70%を経費化
📐 家事按分の計算式
経費計上額 = 支出合計 × 業務使用割合(%)

※ 合理的な根拠があれば割合は自分で設定できます。あまりに高い割合(面積比なのに80%以上など)は否認リスクがあります。

📊 計算例:自宅の25%を仕事スペースとして使用・月間固定費合計18万円の場合
家賃(120,000円 × 25%)30,000円/月
電気・ガス・水道(20,000円 × 25%)5,000円/月
インターネット(6,000円 × 60%)3,600円/月
スマホ(10,000円 × 60%)6,000円/月
月間 経費計上額44,600円
年間 経費計上額535,200円 🏠
💡 年間約54万円の経費化。税率30%(所得税20%+住民税10%)なら 約16万円の節税 効果になります。

💻 減価償却と一括経費化

取得価額が10万円以上の備品・設備は、原則として複数年にわたって経費化(減価償却)します。ただし青色申告の特例を使えば、30万円未満なら即時に全額経費化できます。

10万円未満
消耗品費として即時全額経費化
例:マウス、Webカメラ、書籍
10〜30万円未満
青色申告の少額減価償却資産特例
→ 即時全額経費化(年300万円まで)
例:PC、スマートフォン、カメラ
30万円以上
法定耐用年数で分割して減価償却
例:高額機材、車、業務用エアコン

主な資産の法定耐用年数

資産の種類耐用年数定額法での年間経費(100万円の場合)
パソコン・サーバー4年約25万円/年
普通自動車6年約17万円/年
カメラ・撮影機材5年約20万円/年
コピー機・複合機5年約20万円/年
エアコン・空調設備6年約17万円/年
木造建物(事務所)24年約4万円/年
💡 青色申告の「30万円未満の即時経費化」を最大活用する

青色申告者であれば、取得価額30万円未満の備品を一括で全額経費計上できます(年間合計300万円まで)。年末に必要な備品をまとめて購入することで、その年の所得を大きく圧縮できます。

📊 計算例:年末にPC(25万円)と周辺機器(8万円)を購入した場合
PC(25万円):青色申告30万円特例適用250,000円 全額経費
周辺機器(8万円):10万円未満なので消耗品費80,000円 全額経費
合計経費計上額330,000円
節税効果(税率30%)約99,000円 💻
💡 同じ購入でも白色申告だと減価償却が必要。青色申告なら買った年に全額を経費化できます。

⚠️ 注意が必要な経費

「経費にできる」と誤解されやすいもの、グレーゾーンの経費を整理します。無理な経費計上は税務調査での否認リスクにつながります。

NG 生命保険料・個人年金保険料

個人事業主が支払う生命保険・個人年金は経費にはなりません。ただし「生命保険料控除」として確定申告で所得控除できます(最大12万円)。

NG 国民健康保険料・国民年金保険料

社会保険料は経費ではなく、社会保険料控除として全額を所得から差し引けます。帳簿には計上せず、確定申告書で控除として申請します。

グレー 一人での食事・ランチ代

自分一人での食事は原則として経費になりません(生活費扱い)。取引先との食事(接待交際費)や打ち合わせを兼ねた複数人での会食なら経費化できます。

グレー 家族への給与(配偶者・親族)

白色申告では家族への給与は経費にできません(一定の控除はあり)。青色申告の「青色事業専従者給与」を届け出ることで、実際に従事している家族への給与を全額経費化できます。

グレー スーツ・服代

業務用の制服・ユニフォーム(作業着等)は経費になりますが、通常のスーツは「プライベートでも着用できる」として否認されるケースが多いです。ロゴ入り作業服など業務専用性が明確なものは経費化可能です。

グレー 旅行費(視察・取材名目)

「視察」「取材」名目の旅行は、業務との関連性が明確でないと否認されます。旅行の成果(ブログ記事・報告書等)が残っていること、プライベート観光との区別が説明できることが重要です。

📌 税務調査で指摘されないためのポイント
  • 領収書には「誰と・何の目的で」の摘要を記録する
  • 私的使用の支出を経費に混ぜない(故意でなくても指摘対象になる)
  • 家事按分の割合は合理的な根拠を文書化しておく
  • 高額な接待費・交際費は相手先・目的を帳簿に記録する

📊 節税効果の計算例

経費を正しく計上することで、所得税・住民税・国民健康保険料がすべて下がります。1円の経費は税率分だけ節税になるという関係です。

所得税率(課税所得ごとの税率)
課税所得所得税率住民税率合計税率経費100万円増加→節税額
〜195万円5%10%15%15万円
195〜330万円10%10%20%20万円
330〜695万円20%10%30%30万円
695〜900万円23%10%33%33万円
900〜1,800万円33%10%43%43万円
1,800万円〜40〜45%10%50〜55%50〜55万円

※ 所得税は累進課税(超過分に高い税率)。課税所得は売上 − 経費 − 各種控除後の金額。国民健康保険料も所得に連動するため実際の節約効果はさらに大きくなります。

📐 節税額の計算式
節税額 = 増加した経費 × (所得税率 + 住民税率10%)

※ 経費を増やすことで課税所得が下がり、複数の税目に同時に節税効果が生じます。

📊 計算例:売上800万円・課税所得500万円(税率20%)の個人事業主が経費を年間100万円追加した場合
課税所得(変更前)5,000,000円
経費追加額(家事按分・通信費・研修費等)− 1,000,000円
課税所得(変更後)4,000,000円
所得税の節税(100万円 × 20%)200,000円
住民税の節税(100万円 × 10%)100,000円
国民健康保険料の節約(概算)約90,000円
合計節約額約390,000円 📊
💡 100万円の経費増加で約39万円の実質節約。「お金を使うと損」ではなく、事業に必要な支出はむしろ積極的に計上することが賢い選択です。

📎 参照元・公式情報

本記事は以下の公式情報をもとに作成しています。制度は改正されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

※ 本記事の内容は情報提供を目的としており、税務・法務アドバイスではありません。個別の税務判断については、所轄の税務署または税理士にご相談ください。